2020年5月26日火曜日

加齢に伴う生理機能の変化


老化に関する出題は,かなりの高確率で出題されています。

一問丸ごと出題されたものの出題確率は,45.4%です。
問題のどこかに含まれているものを含めるとほぼ毎回出題されています。

しかも身近な内容でもあり,難易度はそれほど高くはありません。

気を付けるべきポイントは,問題1が難しいために,それを引きずってしまい,落ち着いて問題を読むことができなくなってしまうことです。

それでは今日の問題です。

第29回・問題2 加齢に伴う生理機能の変化に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 体重に占める水分の割合は増加する。

2 収縮期血圧と拡張期血圧の差は縮小する。

3 聴力は高周波音域から低下する。

4 肺活量は維持される。

5 流動性知能は維持される。


落ち着いて問題を読むことができれば,それほど難しい問題ではないと思います。

問題文が短いこともあり,おかしな引っ掛けはありません。

それでは解説です。

1 体重に占める水分の割合は増加する。

体重に占める水分の割合は低下します。
そのために,脱水をきたしやすくなります。


2 収縮期血圧と拡張期血圧の差は縮小する。

収縮時血圧とは,最高血圧のことです。
拡張期血圧とは,最低血圧のことです。

加齢に伴い,上がるのは収縮時血圧(最高血圧)です。
拡張期血圧(最低血圧)は,それほど上がりません。

そのため,差は拡大します。


3 聴力は高周波音域から低下する。

これが正解です。

老化に伴う難聴は,感音難聴といいます。
感音難聴は,高音域から聞こえにくくなります。
この5つの選択肢の中で,過去最も出題回数が多いのは,この選択肢です。


4 肺活量は維持される。

肺は,加齢に伴い,機能低下をきたしやすい臓器の一つです。
そのほかに機能低下しやすい臓器には,腎臓などもあります。


5 流動性知能は維持される。

流動性知能は,結晶性知能とセットで覚えておきたいものです。

流動性知能は,新しいことへの適応力です。その場の判断力なども流動性知能の一つです。
高齢者の自動車運転による事故が社会問題化していますが,事故を起こす原因の一つには,流動性知能の低下が考えられます。

このように流動性知能は加齢とともに低下します。

一方,結晶性知能は,経験などにより培われていく知能です。
いわば,「おばあちゃんの知恵袋」といったところでしょうか。


<今日の一言>

社会福祉士の国家試験は,正しいもの,あるいは適切なものを1つまたは2つ選ぶ問題で構成されています。

そのため,当然のことながら,正解以外は間違いです。

しかし,試験委員にとって,間違い選択肢をつくるのは,結構難しいものです。

そのため,さまざまな方法を用いて問題を作ります。

今日の問題で気がついた人もいるかもしれませんが,以下のようなものが多用されます。

高い ⇔ 低い
増加 ⇔ 減少
拡大 ⇔ 縮小
右  ⇔ 左
上  ⇔ 下

などなどです。

これらが含まれた選択肢は,より慎重に考えることが必要です。

答えがわからないという時は,極力選ばないという慎重さも必要です。

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