医療観察法(心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律)は,
心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者に対し、その適切な処遇を決定するための手続等を定めることにより、継続的かつ適切な医療並びにその確保のために必要な観察及び指導を行うことによって、その病状の改善及びこれに伴う同様の行為の再発の防止を図り、もってその社会復帰を促進することを目的としています。
心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者に対し、その適切な処遇を決定するための手続等を定めることにより、継続的かつ適切な医療並びにその確保のために必要な観察及び指導を行うことによって、その病状の改善及びこれに伴う同様の行為の再発の防止を図り、もってその社会復帰を促進することを目的としています。
実際には,
実際には,
入院による「医療」
通院の際の「精神保健観察」
の2つの処遇があります。
そのうち,精神保健観察を実施するのが,保護観察所に配置されている「社会復帰調整官」です。
社会復帰調整官の職務
生活環境の調査
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裁判所からの求めに対して,対象者の生活環境全般の調査を行う。
裁判所は,調査結果も参考にして,審判を行う。
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生活環境の調整
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対象者の退院後の生活環境の整備を行う。
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精神保健観察
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対象者が通院による医療を受ける際に実施する。
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連携
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関係機関相互間の連携の確保。
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連携に関しては,精神保健観察に付されている者の処遇に携わる関係機関の担当者が集まって「ケア会議」を実施します。
精神保健観察の内容
・対象者と適当な接触を保ち、指定通院医療機関の管理者並びに都道府県知事及び市町村長から報告を求めるなどして、当該決定を受けた者が必要な医療を受けているか否か及びその生活の状況を見守る。
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・継続的な医療を受けさせるために必要な指導その他の措置を講ずる。
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それでは,今日の問題です。
第31回・問題150 社会復帰調整官に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 社会復帰調整官は,地方検察庁に配属されている。
2 社会復帰調整官は,医療刑務所入所中の者の生活環境の調整を行う。
3 社会復帰調整官が,「医療観察法」の審判で処遇を決定する。
4 社会復帰調整官は,精神保健観察のケア会議に支援対象者の参加を求めることができる。
5 社会復帰調整官が,指定通院医療機関の指定を行う。
(注) 「医療観察法」とは,「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」のことである。
社会復帰調整官の任用資格は,社会福祉士や精神保健福祉士などです。
そんなこともあって,しっかり押さえておきたいと思います。
この問題の正解は,選択肢4です。
4 社会復帰調整官は,精神保健観察のケア会議に支援対象者の参加を求めることができる。
ケア会議を開催するのは,保護観察所ですが,実際には社会復帰調整官が開催します。
ケア会議には,必要があれば,本人や家族の参加も求めることがあります。
念のために,ほかの選択肢も確認しておきましょう。
1 社会復帰調整官は,地方検察庁に配属されている。
社会復帰調整官が配属されているのは,保護観察所です。
2 社会復帰調整官は,医療刑務所入所中の者の生活環境の調整を行う。
社会復帰調整官が生活環境の調整を行うのは,医療観察法の指定入院医療機関に入院中の者です。
医療観察の対象となるのは,以下の通りです。
重大な他害行為を行った者のうち
心神喪失等のために不起訴となった者
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起訴されて,心神喪失等のために無罪となった者
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医療刑務所に入所している者は,有罪判決を受けたものなので,医療観察法の対象にはなりません。
3 社会復帰調整官が,「医療観察法」の審判で処遇を決定する。
処遇を決定するのは,一人の裁判官及び一人の精神保健審判員の合議体です。
精神保健審判員は,精神保健判定医の名簿に記載された者のうちから,地方裁判所が毎年あらかじめ選任して,処遇事件ごとに地方裁判所が任命します。
5 社会復帰調整官が,指定通院医療機関の指定を行う。
指定通院医療機関の指定を行うのは,厚生労働大臣です。
<今日の一言>
「更生保護制度」は,4問しか出題されない科目なので,「医療観察法」は,出題されたりされなかったりしていますが,この科目の中の中心をなす法制度です。
特に,社会復帰調整官には社会福祉士が任用資格になっていることもあり,しっかり覚えておきたいです。