今回は,主な認知症について学んでいきたいと思います。
主な認知症とその症状
疾患名
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特徴
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アルツハイマー型認知症
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脳にアミロイドタンパクが蓄積することで,脳に変性を来す認知症。
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脳血管性認知症
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脳卒中などで脳がダメージを受けることで,発症する認知症。
意識がクリアな時とクリアではない時があるため「まだら認知症」と呼ばれることがある。
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レビー小体型認知症
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大脳などにレビー小体が蓄積することで,脳に変性を来す認知症。
この認知症の特徴は,はっきりした幻視とパーキンソン病のような症状があることである。
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ピック病
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大脳の前頭葉と側頭葉が萎縮することで発症する認知症。
ピックさんが発見したことでピック病とも呼ばれる。
この認知症の特徴は,記憶力は比較的保たれるが,初期から人格が変わることがみられることである。
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これを押さえたところで,今日の問題です。
第29回・問題6 レビー小体型認知症に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 米国人によって提唱された疾患である。
2 レビー小体は主に脊髄に蓄積する。
3 臨床診断に用いる中核的特徴にパーキンソン症状がある。
4 幻覚症状の中では幻聴が最も多い。
5 前頭側頭型認知症とも呼ばれる。
レビー小体型認知症に絞った出題です。
認知症が出題されたときには,必ずレビー小体型を絡めて出題されるので要注意です。
ポイントは,症状です。
レビー小体型認知症の症状の特徴を2つ挙げてください。
答えは,パーキンソン症状とはっきりした幻視です。
今日の問題の答えは,もうわかっていると思いますが,解説します。
1 米国人によって提唱された疾患である。
レビー小体型認知症を提唱したのは,日本人です。
具体的には,横浜市立大学名誉教授の小阪憲司氏です。
2 レビー小体は主に脊髄に蓄積する。
レビー小体が主に蓄積するのは,大脳などです。
たとえ脊髄に蓄積しても,認知症状は生じないでしょう。
3 臨床診断に用いる中核的特徴にパーキンソン症状がある。
これが正解です。
4 幻覚症状の中では幻聴が最も多い。
最も多いのは幻視です。
5 前頭側頭型認知症とも呼ばれる。
前頭側頭型認知症とも呼ばれるのは,ピックさんが発見したピック病です。
<今日の一言>
唐突感のあるものは,正解になりにくい
国家試験を受けると無力感にさいなまれます。
あれだけ勉強したのに,わからないものが出題されるからです。
今日の問題の中では,
1 米国人によって提唱された疾患である。
これがそんなタイプのものになるでしょう。
レビー小体型認知症の問題なのに,提唱者を出題するというのは,唐突感があると思いませんか?
こういったものは,正解にはなりにくいものです。
このようなものを排除(つまり消去)することは,問題慣れしないと難しいかもしれませんが,この感覚をつけられれば,つまらないミスは減らせます。