個人情報保護法は知っていても実際に同法に目を通したことがある人はそれほど多くないかもしれません。
個人情報保護法で規定されているさまざまな定義を整理します。
個人情報 生存する個人に関する情報であって,次の各号のいずれかに該当するものをいう。 一 当該情報に含まれる氏名,生年月日その他の記述等(文書,図画若しくは電磁的記録)に記載され,若しくは記録され,又は音声,動作その他の方法を用いて表された一切の事項(個人識別符号を除く。)をいう。以下同じ。)により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と容易に照合することができ,それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。) 二 個人識別符号が含まれるもの 個人識別符号 一 特定の個人の身体の一部の特徴を電子計算機の用に供するために変換した文字,番号,記号その他の符号であって,当該特定の個人を識別することができるもの 二 個人に提供される役務の利用若しくは個人に販売される商品の購入に関し割り当てられ,又は個人に発行されるカードその他の書類に記載され,若しくは電磁的方式により記録された文字,番号,記号その他の符号であって,その利用者若しくは購入者又は発行を受ける者ごとに異なるものとなるように割り当てられ,又は記載され,若しくは記録されることにより,特定の利用者若しくは購入者又は発行を受ける者を識別することができるもの 要配慮個人情報 本人の人種,信条,社会的身分,病歴,犯罪の経歴,犯罪により害を被った事実その他本人に対する不当な差別,偏見その他の不利益が生じないようにその取扱いに特に配慮を要するものとして政令で定める記述等が含まれる個人情報をいう。 個人情報取扱事業者 個人情報データベース等を事業の用に供している者をいう。ただし,次に掲げる者を除く。 一 国の機関 二 地方公共団体 三 独立行政法人等 四 地方独立行政法人 |
個人情報取扱事業者は,以前は,個人データの取扱量が一定数以上に限定されていましたが,現在はその規定はありません。
また,国や地方公共団体等は含まれません。
それでは,今日の問題です。
第30回・問題117 個人情報の保護に関する法律に関する次の記述のうち,正しいものを2つ選びなさい。
2 個人情報取扱事業者の義務は,規定されていない。
3 健康診断やその他の検査の結果の情報の取得に当たっては,原則として本人の同意を得ることが必要とされている。
4 個人情報の有用性に配慮しつつ,個人情報取扱事業者の権利利益を保護することを目的としている。
5 個人情報保護に関する官民を通じた基本となる事項を定めた法律である。
法を知らないと正解するのはかなり難しい問題です。
それでは解説です。
1 個人情報取扱事業者には,地方公共団体が含まれる。
かなりびっくりですが,個人情報取扱事業者には,国や地方公共団体等は含みません。
2 個人情報取扱事業者の義務は,規定されていない。
もちろん規定されています。
3 健康診断やその他の検査の結果の情報の取得に当たっては,原則として本人の同意を得ることが必要とされている。
これが1つめの正解です。
4 個人情報の有用性に配慮しつつ,個人情報取扱事業者の権利利益を保護することを目的としている。
目的としているのは,個人の権利利益です。
5 個人情報保護に関する官民を通じた基本となる事項を定めた法律である。
これが2つめの正解です。
この問題の難易度が高いのは,
受験生は個人情報保護法について詳しくないため,選択肢1で引っ掛けられてしまうからです。
本当にびっくりしますが,個人情報取扱事業者には,国や地方公共団体等が含まれないのです。