2022年9月23日金曜日

心理検査の基礎知識

心理検査には,知能検査,認知症のスクリーニング検査,パーソナリティ検査などがあります。

 

公認心理師の国家試験は,第5回まで現任者も受験できたので,それが終わって現在は,社会福祉士の国家試験の勉強をしている人も多いのではないかと思います。

 

社会福祉士の国家試験は,公認心理師に影響されているように感じる出題もみられます。

 

今後,社会福祉士は公認心理師と連携する場面も増えてくると考えられるので,心理検査は,しっかり覚えたいものです。

 

まずは,パーソナリティ検査です。

 

パーソナリティ検査は,質問紙法,投影法,作業検査法に分類されます。

 

社会福祉士の国家試験で出題されているパーソナリティ検査 

質問紙法

投影法

作業検査法

矢田部ギルフォード(YG)性格検査

MMPI

MPI

CMI

TEG など

TAT

ロールシャッハ検査

PFスタディ

バウムテスト など

内田クレペリン精神検査

 

次は,障害のスクリーニング検査です。 

ベントン視覚記銘検査(高次脳機能障害などのスクーリング検査)

改訂長谷川式簡易知能評価スケール,MMSE(認知症のスクーリング検査)

 

心理検査は,練習効果といって,事前に練習してしまうと,結果が大きく変わってしまうために,一般の人が手に入れることができないように慎重に取り扱われているようです。

 

ネットで公開するのは,本来はルール違反ですが,PFスタディ,TAT,ロールシャッハ検査の図版は,ネットで見つけることができます。

 

PFスタディは,欲求不満に関係する絵の吹き出しに,どのようなことを答えるのかを記入してもらいます。

 

TATは,ある場面の絵を見せて,物語をつくってもらうものです。

 

ロールシャッハ検査は,インクの染みが何に見えるか答えてもらうものです。

 

バウムテストは,実のなる一本の木を書いてもらうものです。

 

それでは,今日の問題です。

 

31回・問題13 心理検査に関する次の記述のうち,適切なものを1つ選びなさい。

1 MMPIでは,単語理解のような言語性の知能を測定する。

2 PFスタディでは,欲求不満場面での反応を測定する。

3 TATでは,インクの染みを用いた知覚統合力を測定する。

4 WAISでは,抑うつの程度を測定する。

5 CMIでは,視覚認知機能を測定する。

 

なかなか難しい問題です。

 

正解はすぐわかるかもしれません。

 

正解は,選択肢2です。

2 PFスタディでは,欲求不満場面での反応を測定する。

 

PFスタディのPFとは,picture frustrationの略です。フラストレーションなので,欲求不満です。

 

それでは,ほかの選択肢の解説です。

 

1 MMPIでは,単語理解のような言語性の知能を測定する。

 

MMPIは,ミネソタ多面的人格目録というパーソナリティ検査です。

 

知能を測定するのは,知能検査です。

 

3 TATでは,インクの染みを用いた知覚統合力を測定する。

 

インクの染みを用いるのは,ロールシャッハ検査です。

 

4 WAISでは,抑うつの程度を測定する。

 

WAISは,知能検査です。抑うつの程度を測定することはできません。

 

5 CMIでは,視覚認知機能を測定する。

 

CMIは,パーソナリティ検査です。視覚認知機能を測定することはできません。


もう一問です。


第27回・問題12 人格検査に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 P-Fスタディは,愛着に対する特徴的な反応様式や攻撃に対する傾向を知るのに役立つ。

2 TAT(主題統覚検査,絵画統覚検査)は,提示された絵を見て作った物語の内容から,隠された欲求やコンプレックスの存在を明らかにする。

3 ロールシャッハテストは,被検査者の視覚・運動ゲシュタルト機能を通して人格特徴の把握及び理解を目的とする。

4 東大式エゴグラム(TEG)は,抑圧・不安・達成の三つの自我状態で構成され,各自我状態のバランスから性格分析を行う。

5 内田クレペリン精神検査は,積木構成課題結果の心的活動の調和・均衡の様態から,種々の場面で適切な行動を示すことができるかどうかについて見立てる。


これもなかなかの難問です。


しかし,答えはすぐわかります。


2 TAT(主題統覚検査,絵画統覚検査)は,提示された絵を見て作った物語の内容から,隠された欲求やコンプレックスの存在を明らかにする。


TATは,物語をつくってもらうパーソナリティ検査です。


それでは,ほかの選択肢です。


1 P-Fスタディは,愛着に対する特徴的な反応様式や攻撃に対する傾向を知るのに役立つ。


P-Fスタディ,欲求不満な対する特徴的な反応様式や攻撃に対する傾向を知るのに役立つパーソナリティ検査です。


3 ロールシャッハテストは,被検査者の視覚・運動ゲシュタルト機能を通して人格特徴の把握及び理解を目的とする。


ロールシャッハテストは,インクの染みをみて,何に見えるのかを答えてもらうパーソナリティ検査です。


被検査者の視覚・運動ゲシュタルト機能を測定するのは,たとえば,ベントン視覚記銘検査などです。


しかし,障害のスクリーニング検査であり,パーソナリティ検査ではありません。


4 東大式エゴグラム(TEG)は,抑圧・不安・達成の三つの自我状態で構成され,各自我状態のバランスから性格分析を行う。


東大式エゴグラム(TEG)とはまたずいぶんマニアックなものを出題したものだと思います。過去に出題されたことはありますが,自我状態は,3つではなく,5つあります。


その強弱によって,パーソナリティを理解します。


5 内田クレペリン精神検査は,積木構成課題結果の心的活動の調和・均衡の様態から,種々の場面で適切な行動を示すことができるかどうかについて見立てる。


内田クレペリン精神検査は,ひたすら足し算していくもので,作業検査法に分類されます。


途中休憩して,その前後の成績などを見ていきます。

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