2024年1月17日水曜日

日本の労働法制

 日本国憲法は,


第二十七条 すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ。

② 賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める。

③ 児童は、これを酷使してはならない。


と規定しています。


この規定に基づき,日本の労働法制が形づくられています。


その中でも,労働基準法と労働安全衛生法は,中心的な位置にある法制度です。


それでは,早速,今日の問題です。


第32回・問題143 

日本の労働法制に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 日本国憲法第28条が保障する労働三権は,団結権,団体交渉権,勤労権である。

2 労働者災害補償保険の保険料は,事業主と労働者が折半して負担する。

3 雇用保険法において失業とは,被保険者が離職し,労働の意思及び能力を有するにもかかわらず,職業に就くことができない状態にあることをいう。

4 最低賃金法に基づく地域別最低賃金は,都道府県知事が決定する。

5 労働契約法は,使用者は,労働者に1週間について40時間を超えて労働させてはならないと規定している。


それほど難しくない問題ですが,このように羅列されると混乱しそうです。


気持ちを落ち着けて問題に取り組むことが必要です。


それでは,解説です。


1 日本国憲法第28条が保障する労働三権は,団結権,団体交渉権,勤労権である。


日本国憲法が保障する労働三権は,


・団結権

・団体交渉権

・団体行動権


の3つです。


2 労働者災害補償保険の保険料は,事業主と労働者が折半して負担する。


労働者災害補償保険(労災保険)は,すべての労働者に適用される社会保険です。

被保険者という概念が存在しません。


そのために,保険料はすべて事業主負担です。


労災保険は,すべての労働者に適用されます。国籍,雇用形態,年齢,不法滞在,事業主の保険料滞納などに関係なく,労働災害,通勤災害の発生によって,適用されるのが特徴です。


3 雇用保険法において失業とは,被保険者が離職し,労働の意思及び能力を有するにもかかわらず,職業に就くことができない状態にあることをいう。


これが正解です。


労災保険と雇用保険は,日本国憲法が保障する勤労の権利を保障するための社会保険です。

いずれも戦後まもなく制度化されました。


雇用保険は,労災保険と異なり,加入要件があります。


①一週間の所定労働時間が20時間時間以上あること。

②同一の事業主の適用事業に継続して31日以上雇用されることが見込まれる者。


保険料は,基本的に労使折半ですが,雇用保険二事業は事業主のみ負担します。


4 最低賃金法に基づく地域別最低賃金は,都道府県知事が決定する。


地域別最低賃金は,厚生労働大臣又は都道府県労働局長が決定します。


5 労働契約法は,使用者は,労働者に1週間について40時間を超えて労働させてはならないと規定している。


使用者は,労働者に1週間について40時間を超えて労働させてはならないと規定しているのは,労働基準法です。


〈今日の注意ポイント〉


社会福祉士の国家試験では,根拠法がよく問われます。

根拠法を変えるだけで,簡単に問題がつくることが可能だからです。


今日の問題では,選択肢5がその例です。

根拠法が問われた場合は,落ち着いて考えてみるのが適切です。

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