2024年4月14日日曜日

国,都道府県,市町村の役割の覚え方

法制度は,領域が違っても共通項があります。

国,都道府県,市町村の役割もその一つです。


地方自治法では以下のように定められています。


第一条の二  地方公共団体は、住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担うものとする。

○2  国は、前項の規定の趣旨を達成するため、国においては国際社会における国家としての存立にかかわる事務、全国的に統一して定めることが望ましい国民の諸活動若しくは地方自治に関する基本的な準則に関する事務又は全国的な規模で若しくは全国的な視点に立つて行わなければならない施策及び事業の実施その他の国が本来果たすべき役割を重点的に担い、住民に身近な行政はできる限り地方公共団体にゆだねることを基本として、地方公共団体との間で適切に役割を分担するとともに、地方公共団体に関する制度の策定及び施策の実施に当たつて、地方公共団体の自主性及び自立性が十分に発揮されるようにしなければならない。


基本的には,国が資本指針を定めて,基礎的自治体である市町村がサービス提供を行い,都道府県は,広域的な立場から指定や人材育成等を行って市町村の支援を行っています。


これらを押さえながら今日の問題を見ましょう。


第26回・問題58 

「障害者総合支援法」における行政の役割に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 都道府県知事は,障害福祉サービス事業者の指定を行う。

2 地域生活支援事業の実施については,市町村は必ず行わなければならないが,都道府県はその判断に任されている。

3 厚生労働大臣は,「障害福祉サービス等の提供体制を整備するために障害者基本計画を定める。

4 都道府県知事は,障害福祉サービス受給者証を交付する。

5 都道府県は,基幹相談支援センターを設置しなければならない。


国,都道府県,市町村の役割についての出題です。


先ほどの知識で推測できるもの,他領域の似たような制度から推測できるもの,障害者総合支援法を知らなければわからないものに分けられます。


なるべく法則を見つけて,「効率的」そして「確実」に押さえていくことが,こつです。


それでは詳しく見ていきましょう。


1 都道府県知事は,障害福祉サービス事業者の指定を行う。


障害者自立支援法(現・障害者総合支援法)は介護保険を参考に作られたことは以前述べました。


そのため,とてもよく似た制度となっています。


高齢者分野で働いている人は,介護保険を下敷きにして,どこが同じでどこが違うのかを押さえていきましょう。



障害福祉サービス事業者の指定は,都道府県の役割です。


よって正解です。



介護保険と違って,地域密着型サービスがないので,ここはシンプルです。


この先がちょっと複雑になります。


地域計画相談(地域移行支援・地域定着支援)事業所の指定は都道府県。

計画相談支援(サービス利用支援・継続サービス利用支援)事業所の指定は市町村。


地域計画相談は介護保険にはないもので,病院・施設等から地域生活に移行し定着するための支援事業です。指定されるのは指定一般相談支援事業者です。


計画相談支援は,介護保険では居宅介護支援にあたります。指定されるのは,指定特定相談支援事業所です。



2 地域生活支援事業の実施については,市町村は必ず行わなければならないが,都道府県はその判断に任されている。


地域生活支援事業は,介護保険の地域支援事業にあたるものです。


地域生活支援事業には,市町村,都道府県ともに必須事業と任意事業があります。


よって×。


市町村事業と都道府県事業の違いは,市町村事業は,障害者が地域生活を送るために必要な支援を行うのに対し,都道府県事業は専門性の高い支援しているのが特徴です。


3 厚生労働大臣は,「障害福祉サービス等の提供体制を整備するために障害者基本計画を定める。


障害者に関する法律は,障害者基本法と障害者総合支援法を整理する必要があります。


計画に関しては・・・


障害者基本法は,


国・・・・・・障害者基本計画

都道府県・・・都道府県障害者計画

市町村・・・・市町村障害者計画



障害者総合支援法は,


国・・・・・・基本指針

都道府県・・・都道府県障害福祉計画

市町村・・・・市町村障害福祉計画



障害者総合支援法において国が策定するのは「基本指針」です。


よって×。



4 都道府県知事は,障害福祉サービス受給者証を交付する。



これも介護保険と同様ですね。


都道府県知事ではなく市町村長なので×。



5 都道府県は,基幹相談支援センターを設置しなければならない。



基幹相談支援センターは,介護保険では地域包括支援センターに相当するものです。


設置者は介護保険と同じ市町村です。


よって×。


委託できるのも同じですが,介護保険と違うのは,地域包括支援センターの設置は任意であるのに対し,基幹相談支援センターの設置は,努力義務であることです(令和4年~)。


<今日の一言>


勉強していくと知識がつながっていきます。それまでは辛いですが,耐えて耐えて辛抱して勉強を続けていきましょう!

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