今日は,自立支援プログラムです。
出題されるポイントは,明確です。
さて,それでは今日の問題です。
第26回・問題68
事例を読んで,自立支援プログラムによる支緩の進め方に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事例)
Cさんは重いうつ病を発症し療養に専念するために退職したが,経済的に困窮したため生活保護を申請した。保護開始後,Cさんは療養を要するものの病状は安定してきた。しかしCさんには,なお就労に対する躊躇があるようである。
1 Cさんには,できるだけ早期に保護から脱却することを目指す就労支援プログラムへの参加が提案された。
2 Cさんの自立支援プログラムへの参加は,ケースワーカーの判断で決定された。
3 Cさんの自立支援の内容は,共通の統一した支援目標に基づき作成されることになった。
4 Cさんに対しては,自立支援プログラムに参加することが,生活保護を継続するための必要条件であるとの説明がなされた。
5 Cさんには,ボランティア活動や試行雇用の機会の提供を視野に入れた自立支援プログラムが提案された。
まずは,自立支援プログラムを勉強しましょう。
自立支援プログラムとは
生活保護受給者への就労支援であり,福祉事務所が事前に類型化した自立支援プログラムを実施する人を選んで,本人の同意を得て実施するものです。
ポイントは,自立支援プログラムは,本人の同意を得て実施するものであり,実施を拒否したからといって,保護の停止&廃止が行われるものではありません。
それでは詳しく見ていきましょう。
1 Cさんには,できるだけ早期に保護から脱却することを目指す就労支援プログラムへの参加が提案された。
Cさんはうつ病です。回復期が大切です。
焦っちゃだめです。
よって×。
2 Cさんの自立支援プログラムへの参加は,ケースワーカーの判断で決定された。
自立支援プログラムは,あくまでも本人の同意を得て実施されるものです。
よって×。
3 Cさんの自立支援の内容は,共通の統一した支援目標に基づき作成されることになった。
自立支援プログラムは類型化して作成されています。つまりプログラムは何種類かありますが,個別に作っているわけではありません。共通の統一した支援目標に基づき作成されるのであれば個別化は完全になくなってしまいます。
よって×。
もともと自立支援プログラムが始まった背景には,優れたケースワーカーの取組みをみんなで共有しようとしたことがあります。
類型化されたプログラムを使って支援したとしても,支援目標は個別化されるものだと思います。
4 Cさんに対しては,自立支援プログラムに参加することが,生活保護を継続するための必要条件であるとの説明がなされた。
自立支援プログラムの参加を拒否しても,保護が廃止されることを意味するものではありません。
保護は最低限度の生活保障です。
もし,参加を拒否することによって保護が廃止されるのだったら,
「自立支援プログラムへの参加を拒否しましたね。あなたは自立する意欲はありません。よって保護しません。死んでください」ということにつながってしまいます。
5 Cさんには,ボランティア活動や試行雇用の機会の提供を視野に入れた自立支援プログラムが提案された。
自立支援プログラムは,就労に結びつけるためのきっかけとなるものです。
ここに優秀ケースワーカーの実践力がプログラムとなって活かされてきます。
正解はこの選択肢しか有り得ません。
絶対に覚えておいていだたきたいのは,保護の廃止は,最低限度の生活保障として機能するセーフティネットの役割を放棄することになることです。
セーフティネットは最後の最後に機能するものです。
その先はありません。