今回は,国民医療費の概況からの出題です。
過去問で出題ポイントを押さえて,実際の概況を見てみることをおすすめします。
表やグラフになっているので,覚えやすいはずです。
それでは今日の問題です。
第26回・問題71
2010年度(平成22年度)までの「国民医療費の概況」(厚生労動省)に関する次の記述のうち, 正しいものを1つ選びなさい。
1 国民医療費に占める公費負担医療給付分の割合は,過去4年間一貫して減少し続けている。
2 薬局調剤医療費は,過去4年間一貫して減少し続けている。
3 財源別国民医療費では,患者負担は,過去4年間一貫して増加し続けている。
4 制度区分別国民医療費では,医療保険等給付分の次に比率が多いのは,後期高齢者医療給付分である。
5 75歳以上の人口一人当たり国民医療費は,年間100万円を超えている。
古い問題ですが,今も使えます。
国民医療費の範囲
含まれるもの
医科診療や歯科診療にかかる診療費、薬局調剤医療費、入院時食事・生活医療費、訪問看護医療費等が含まれる。
含まれないもの
正常な妊娠・分娩に要する費用、健康の維持・増進を目的とした健康診断、予防接種等に要する費用、固定した身体障害のために必要とする義眼や義肢等の費用。
※これらが国民医療費に含まないのは,傷病の治療費に限っているためです。
それでは詳しく見ていきましょう。
1 国民医療費に占める公費負担医療給付分の割合は,過去4年間一貫して減少し続けている。
一貫して減少するには,何かの理由があります。
減少する何かは思い当たるものがありましたか?
データを見れば一目瞭然ですが,減るわけがない,と思うことが肝心です。
もちろん一貫して減少していません。
2 薬局調剤医療費は,過去4年間一貫して減少し続けている。
これも1と同じように一貫して減少するには,何かの理由があります。
もちろん誤りです。
3 財源別国民医療費では,患者負担は,過去4年間一貫して増加し続けている。
財源別では,公費と保険料はいずれも一貫して増加しています。しかし,患者負担は一貫していないのです。
診療報酬のマイナス改定の時は減り,プラス改定の時は増える
というのが基本的な構図です。
これは覚えておきたいです。
「一貫して」というのは,間違い選択肢を作るときの常とう手段です。
「一貫して」が間違いになる確率が高い理由
①本当は,その逆。
例:一貫して増えている ⇒ 一貫して減少している。
②一貫していない
例:2000年以降国民医療費は,一貫して増えている。
「一貫して」は,とても便利な言葉です。いろいろな間違いのバリエーションを広げることができるからです。
4 制度区分別国民医療費では,医療保険等給付分の次に比率が多いのは,後期高齢者医療給付分である。
2番目に多いのは,後期高齢者医療給付分です。
よって正解です。
国民医療費の概況をしっかり見ていた人はわかったと思いますが,難しいですね。
このような2番目を問うものは出題されないでしょう。
5 75歳以上の人口一人当たり国民医療費は,年間100万円を超えている。
65歳未満 約20万円
65歳以上 約70万円
75歳以上 約90万円
100万円は超えていません。
よって×。
国民医療費に関するものとしては,ほかに以下のようなものも押さえておきましょう。
覚える数値はおおよそで大丈夫です。
国民医療費の診療種類別構成割合
入院医療費約40%,入院外医療費(外来)約40%,歯科診療医療費約5%,薬局調剤医療費約15%
国民医療費の傷病分類別構成割合
循環器系の疾患約20%,新生物約10%。
※循環器系が最も多いところに注意!
国民医療費の年齢階級別構成割合
75歳以上約40%,70歳以上約50%,65歳以上約60%。
「保健医療と福祉」は,出題範囲が狭いので,覚えなければならないことも少ないのが特徴の科目です。
しかしその分,他の科目と違って掘り下げて出題されることが多くあります。なぜならほかの科目と違って,普段の日常生活の中で得られる情報が多いため,掘り下げないと勉強しなくても点数が取れてしまう恐れがあるからです。
勉強したら点数が取れる。
勉強が足りない人は点数が取れない。
これが国家試験の理想形です。