2024年4月15日月曜日

時間をどれだけかけるか,ではなく,どんな勉強をするか

 国試勉強にどれだけ時間をかけたら合格できる?


ネットで合格者の声を探すと,10月以降は毎日3時間,週末は8時間勉強しました,といった情報を見つけることができます。


そんな情報を見ると,そんなに時間をかけないと合格できないのか,と思ってしまいます。


重要なのは,時間ではなく,勉強の質です。


どんなに時間をかけても,覚えるポイントがずれていたり,すべての分野を丸暗記するような勉強なら,どんなに勉強に時間をかけても,臨むような成果は出ないでしょう。


一つひとつは時間がかかったとしても,理解を深めた勉強をすることが国試突破の決め手となります。


法制度は,法律の条文を崩して出題することはそうそうしないので丸暗記でも対応できます。


しかし,国が求めているのは,丸暗記でしか対応できない社会福祉士ではなく,クライエントのニーズ充足のための方法論をたくさんもった社会福祉士です。


時には,ニーズ充足のために扇のかなめになることや職場改善,ひいてはコミュニティへの働きかけなども必要です。


法制度に精通するのはあくまでもクライエントのニーズ充足のためであり,社会福祉士にはそれよりももっと先があるはずです。


社会福祉士がソーシャルワーカーだとするならば,ソーシャル=社会,ワーカー=働く人,つまり社会のために働く人,クライエントは社会全体の人ということになります。


そう考えると,地域包括などの相談機関や福祉施設の相談員に限らず,社会に向けてもっともっともっと大きな役割を果たすことができるように思います。


想像力=創造力を求めているように思えてなりません。


試験委員も過去問の焼き直しで作問しているのではなく,想像力を最大限に発揮して出題してきます。


国試は,試験委員との知恵比べです!!


丸暗記だけの知識で対応できる試験ではないことは間違いありません。


それでは今日の問題です。


第26回・問題61 

2012年(平成24年)に改正された児童福祉法に基づく障害児サービスの再編に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 障害児入所支援費は,市町村に支給申請をすることとなった。

2 情緒障害児短期治療施設の入所サービスは,障害児入所支援となった。

3 肢体不自由児通園施設の通所サービスは,障害児通所支援となった。

4 放課後等デイサービスは,児童デイサービスとなった。

5 第一種自閉症児施設の入所サービスは,医療型児童発達支援となった。


この問題は第26回です。つまり平成26年1月に実施されたものです。


それに対してこの問題は,平成24年4月に施行されたも法改正を出題しています。

これでわかるように,最新の法改正はまず出題されない,ということです。


それにもかかわらず,「何月までに成立したものは出題されるよ。押さえておいてください」と言う先生が多いこと多いこと。


その先生が資格を取った昔はそうだったかもしれませんが(昔の問題がどうなっていたのかはわかりません),今はほとんど出題されない時代です。


前のカリキュラムの国試よりも科目数が少なく,1科目あたりの問題数が多かったために,最新の改正などを出題しやすかったのかもしれません。


いずれにしても出るか出ないかわからないものに時間をかけるよりも出題される確率の高いものをしっかり押さえた方が,国試合格のためには重要な気がします。


中途半端な知識が4,000あるよりも,確実な知識が2,000あった方が,国試では間違いなく得点は伸びます!


2012年の改正ポイントは,従来は障害種別に分かれていたことから,身近な地域で支援が受けられるように障害児施設を一元化したことです。


障害児通所支援は,従来の児童デイサービス,知的障害児通園施設,難聴幼児通園施設,肢体不自由児通園施設,重症心身障害児通園事業を再編し,児童発達支援(福祉型,医療型),医療型児童発達支援,放課後等デイサービス,保育所等訪問支援となりました。


この時創設されたのは放課後等デイサービスと保育所等訪問支援です。


障害児入所支援のうち,福祉型は,従来の知的障害児施設・第2種自閉症施設・盲ろうあ児施設・肢体不自由児療護施設を再編したもの,医療型は,第1種自閉症施設・肢体不自由児施設・重症心身障害児施設を再編したものです。


そのほかの改正ポイントでは,障害児相談支援事業があります。


障害児通所支援で利用します。障害児入所支援では利用しません。窓口は障害児相談支援事業者で市町村が指定します。


特定相談支援事業者ではありませんので注意しましょう。


児童福祉法は,平成28年にも改正されています。


このときの改正の趣旨は以下のとおりです。


 全ての児童が健全に育成されるよう,児童虐待について発生予防から自立支援までの一連の対策の更なる強化等を図るため,児童福祉法の理念を明確化すると ともに,子育て世代包括支援センターの法定化,市町村及び児童相談所の体制の強化,里親委託の推進等の措置を講ずる。


さて,それでは詳しくみていきましょう。


1 障害児入所支援費は,市町村に支給申請をすることとなった。


児童福祉法は,かなりの頻度で改正されてきています。その時々の要請に合わせて改正されてきたからこそ,1947年にできた古い法律ですが,今日まで生き延びてきたのだと思います。


この時の改正では,入所支援と通所通所に再編されました。


支給申請は,通所支援は市町村,入所支援は都道府県となります。


よっで×。


市町村と都道府県の役割を整理してみると,市町村は基礎的自治体としてサービスを提供し,都道府県が市町村の支援する,ととらえるのがよいと思います。


2 情緒障害児短期治療施設の入所サービスは,障害児入所支援となった。


情緒障害児短期治療施設は,平成29年4月から児童心理治療施設と名称が変わっています。


旧名には短期という名称がついていましたが利用期間に定めはありません。


入所だけではなく,通所で利用していることもあります。


施設のことを理解しておけば,入所支援というのはちょっと変だな,と思えるのではないでしょうか。

児童心理治療施設は再編されていません。


よって×。



3 肢体不自由児通園施設の通所サービスは,障害児通所支援となった。


これが正解です。


4 放課後等デイサービスは,児童デイサービスとなった。


児童デイサービスは,放課後等デイサービスと児童発達支援に再編されています。


よって×。


5 第一種自閉症児施設の入所サービスは,医療型児童発達支援となった。


医療型児童発達支援は,障害児通所支援です。


第一種自閉症児施設の入所サービスは,障害児入所支援に再編されています。


よって×。


<今日の一言>


短期間で得点力を伸ばせるのは法制度です。丸暗記が通用するからです。

しかし国試突破には,想像力=創造力が必要です。これには訓練が必要です。


私たちと一緒に想像力=創造力をはぐくんでいきましょう。

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