過去問を3回やれば合格できるよ
合格した人のアドバイスは,貴重です。そこには真実があります。
しかしそこには「どのように」の視点がありません。
この学習部屋では,過去問を使って,その「どのように」を考えていきたいと思います。
過去問は合格をつかむためのヒントが満載です。
国試で,
いろいろ考える余裕はない
とおっしゃる人もいると思います。
国試で急にそれを実践するのは無理です。
しかし毎日考えることで,問題を見た時点で極めて自然に「スーっ」と頭に浮かんでくるようになると思います。
ぜひ毎日お付き合いくださいね。
それでは,今日の問題にいきましょう。
第26回・問題47
福祉計画等の実施状況の評価・監視に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 医療法に規定する医療計画は,保健所が調査,分析及び評価を行うものとされている。
2 「高齢者医療確保法」に規定する都道府県医療費適正化計画は,高齢社会対策会議が調査,分析及び評価を行うものとされている。
3 「障害者総合支援法」に規定する市町村障害福祉計画は,市町村審査会が調査,分析及び評価を行うものとされている。
4 障害者基本法に規定する障害者基本計画は,障害者政策委員会が実施状況を監視するものとされている。
5 次世代育成支援対策推進法に規定する市町村行動計画は,市町村児童福祉審議会が実施状況に関する評価を行うものとされている。
この年の国試を受けた人は,この問題を見たとき「何,これ?」と思ったと思います。
計画の評価については,それまでおそらく出題されたことがなかったからです。
ここから評価についての出題の歴史が始まりました。今では,評価はかなりの頻度で出題されるようになりました。
それでは,詳しく見ていきましょう。
1 医療法に規定する医療計画は,保健所が調査,分析及び評価を行うものとされている。
各種の行政計画は,策定主体が調査・分析・評価も行うのが基本です。
しっかり覚えておきましょう。
よって×。
2 「高齢者医療確保法」に規定する都道府県医療費適正化計画は,高齢社会対策会議が調査,分析及び評価を行うものとされている。
医療に関する計画は,医療計画(医療法),医療費適正化計画(高齢者医療確保法)の2つがあります。
医療費適正化計画も都道府県が策定するものです。
医療に関するものは市町村ではなく都道府県であることがわかるでしょう。
高齢社会対策会議は,内閣府に設置されています。
「〇〇会議」は新聞を見ていると時々出てきています。
例えば,子ども・子育て支援新制度に基づく「子ども・子育て会議」などです。
首相官邸のホームページを見てみたら,「〇〇会議」はあることあること。首相もそんな会議があったかなぁ,と思うような会議もあるのではないかと思うほどです。
会議の内容は問われることはありませんが,設置されるのは,厚生労働省ではなく内閣府であることは覚えておきたいところです。
さて,問題に戻ります。
1の選択肢でも述べましたが,行政計画は策定主体が,調査・分析・評価も行うのが基本です。
よって×。
3 「障害者総合支援法」に規定する市町村障害福祉計画は,市町村審査会が調査,分析及び評価を行うものとされている。
市町村審査会はなじみがないかもしれませんが,障害支援区分の審査・判定を行う機関です。介護保険の介護認定審査会の障害者版です。
1・2の選択肢と同じように,行政計画は策定主体が,調査・分析・評価も行うのが基本です。よって×。
4 障害者基本法に規定する障害者基本計画は,障害者政策委員会が実施状況を監視するものとされている。
障害者政策委員会は,障害者基本法が平成23年に改正された際に,障害者基本計画の策定又は変更に当たって調査審議や意見具申を行うとともに,計画の実施状況について監視や勧告を行うための機関として設置されました。
これも高齢社会対策会議と同じように内閣府に設置されています。
よって〇。
政策という名称がついているので,中央政府のものであることは想像できることでしょう。
5 次世代育成支援対策推進法に規定する市町村行動計画は,市町村児童福祉審議会が実施状況に関する評価を行うものとされている。
市町村行動計画は,現在は策定義務がなくなっています。しかしこの時点では策定義務がありました。
一方児童福祉審議会は,都道府県は必置(地方社会福祉審議会の中に児童に関する分科会がある場合は必置ではない)ですが,市町村は任意設置です。
市町村に必ずあるものではないので,市町村児童福祉審議会が評価するのには無理があります。
1・2・3の選択肢と同じように,行政計画は策定主体が,調査・分析・評価も行うのが基本です。
よって×。