2024年4月21日日曜日

国家試験突破の秘策~クイズのように解く

中学受験を目指す小学生は,


考えることを徹底的に訓練します。


国語では,わからない言葉があっても文章の前後の言葉から推測する。

算数では,類似の問題から解き方の糸口を見つけ出す。

社会では,知っている情報を繋ぎ合わせて推論する(暗記だけではない)。

理科では,発生する事象を想像してみる。


などです。


有名中学になればなるほど,教科書通りの問題は出題しません。

電車の中などの塾の問題を見たことがある人はこの意味がよくわかることでしょう。


中学受験の塾に通っている成績優秀な小学生に社会福祉士の国試問題を解かせたら,

半分取れた,という話を以前聞いたことがあります。


その話は眉唾物だとずっと思っていました。

少し誇張があるとは今でも思っていますが,もしかするとそういうこともあるのかなぁ,と思います。


というのは,


内容がわからなくても,クイズのように問題を読む


からです。


私たちはややもすると


覚えること,問題を解くことに躍起になって,大事なものが見えなくなってきているのかもしれません。


さて,今日の問題です。


第26回・問題67 

福祉事務所に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 福祉事務所の現業を行う所員の定数については,特に法令上の定めはない。

2 指導監督を行う所員,現業を行う所員,事務を行う所員はいずれも社会福祉法で定める社会福祉主事でなければならない。

3 市の設置する福祉事務所の長は,市長の指揮監督を受けて,所務を掌理する。

4 都道府県及び市町村は,福祉事務所を設置しなければならない。

5 福祉事務所に置かれる社会福祉主事は,18歳以上の者でなければならない。


この問題自体の難易度はまったく難しくないと思います。

しかし小学生なら福祉事務所も社会福祉主事も当然知らないことでしょう。

小学生ならどのように解くでしょうか。


それでは,詳しく見て行きましょう。


1 福祉事務所の現業を行う所員の定数については,特に法令上の定めはない。


社会福祉法

第十六条 所員の定数は、条例で定める。ただし、現業を行う所員の数は、各事務所につき、それぞれ次の各号に掲げる数を標準として定めるものとする。

一 都道府県の設置する事務所にあつては、生活保護法の適用を受ける被保護世帯(以下「被保護世帯」という。)の数が三百九十以下であるときは、六とし、被保護世帯の数が六十五を増すごとに、これに一を加えた数

二 市の設置する事務所にあつては、被保護世帯の数が二百四十以下であるときは、三とし、被保護世帯数が八十を増すごとに、これに一を加えた数

三 町村の設置する事務所にあつては、被保護世帯の数が百六十以下であるときは、二とし、被保護世帯数が八十を増すごとに、これに一を加えた数


と定められています。


よって×。


国試では具体的な数字を覚えることは求められません。

ご安心ください。


社会福祉主事の数は,「基準を標準として」定めることになります。

「基準に従い」ではありませんのでしっかり覚えておきましょう。


易しすぎる問題の時には,間違い選択肢になっているものを次に出題する時の布石にする可能性が高いです。


「基準を標準として」

福祉サービスの利用定員などが「基準を標準として」とするものが多いです。


2 指導監督を行う所員,現業を行う所員,事務を行う所員はいずれも社会福祉法で定める社会福祉主事でなければならない。


社会福祉主事でなければならないのは,指導監督を行う所員(査察指導員),現業を行う所員(ケースワーカー)です。


所の長,事務を行う所員は,社会福祉主事でなくてもよいことになっています。


よって×。


3 市の設置する福祉事務所の長は,市長の指揮監督を受けて,所務を掌理する。


所務を掌理するとは難しい言葉ですが,管理することなのだという想像はつくでしょう。

福祉事務所に限らず,指揮監督を受けるのは,設置した者です。


市が設置した福祉事務所なのに,都道府県知事の指揮監督を受けることはありません。


よって正解です。


4 都道府県及び市町村は,福祉事務所を設置しなければならない。


これは超頻出ですね。


今まで何度出題されたかわからない,間違い選択肢の常とう手段と言えます。


都道府県及び市は必置ですが,町村は任意設置ですね。


よって×。


5 福祉事務所に置かれる社会福祉主事は,18歳以上の者でなければならない。


その問題が出題されたときは,社会福祉主事の年齢は20歳以上でしたが,成年年齢が18歳となったことから,社会福祉主事も18歳以上になっています。


ということで,今は正解です。


それでは,小学生の解き方です。


1 福祉事務所の現業を行う所員の定数については,特に法令上の定めはない。

2 指導監督を行う所員,現業を行う所員,事務を行う所員はいずれも社会福祉法で定める社会福祉主事でなければならない。

3 市の設置する福祉事務所の長は,市長の指揮監督を受けて,所務を掌理する。

4 都道府県及び市町村は,福祉事務所を設置しなければならない。

5 福祉事務所に置かれる社会福祉主事は,18歳以上の者でなければならない。


「1245は『ない』で終わっているけれど,3だけがちょっと違うよね」


「これが答えじゃない?」


秒殺です。


恐ろしや~小学生

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