福祉計画の策定期間を覚え得るのは,大変です。
それでは今日の問題を見てみましょう。
第26回・問題48 都道府県が策定する福祉計画等の計画期間に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 次世代育成支援に関する都道府県行動計画は,3年を一期として定めるものとされている。
2 都道府県介護保険事業支援計画は,3年を一期として定めるものとされている。
3 都道府県健康増進計画は,3年を一期として定めるものとされている。
4 都道府県高齢者居住安定確保計画は,3年を一期として定めるものとされている。
5 都道府県地域福祉支援計画は,3年を一期として定めるものとされている。
計画期間がずらっと並んでいる問題です。
今は,これと同じ問題が何回も出題されるようになっているので,目新しくないかもしれません。
しかし,この試験を受けた人は,この問題を見たときは,「ナニコレ?」と思った人が多かったはずです。
頭の中が真っ白になった人もいたでしょう。こういう問題を見たら,まずは深呼吸です。
冷静に問題を見ることができたなら,答えのヒントは見つけられます。
合格できる人とそうではない人の差は,こういったところにあります。
それでは,詳しく見ていきましょう。
1 次世代育成支援に関する都道府県行動計画は,3年を一期として定めるものとされている。
行動計画は,今となっては過去のものである印象があります。これから出題されるとしたら,「子ども・子育て支援事業計画」でしょう。
行動計画は5年を一期です。
よって×。
介護保険事業計画は,介護保険法が根拠法です。
第1・2期は,5年を一期として3年ごとに見直していましたが,第3期からは,3年を一期に変更されています。
よって〇。
3 都道府県健康増進計画は,3年を一期として定めるものとされている。
健康増進計画は,健康増進法が根拠法です。
これに関しては策定期間の定めがありません。
よって×。
4 都道府県高齢者居住安定確保計画は,3年を一期として定めるものとされている。
高齢者居住安定確保計画は,高齢者住まい法(サ高住を規定している法律)が根拠法です。
これに関しても策定期間の定めがありません。
よって×。
5 都道府県地域福祉支援計画は,3年を一期として定めるものとされている。
地域福祉計画は,社会福祉法が根拠法です。策定義務がありません。策定期間は,おおむね5年を一期とされています。おおむねというのは自治事務だからです。
策定期間に関しては,
①3年を一期
②5年を一期
③定めがない
の3種類があることがわかるでしょう。
行政計画の基本は5年を一期
そのため,介護保険事業計画も最初は5年を一期として3年ごとと定められたのではないでしょうか。
「子ども・子育て支援事業計画」も5年を一期としているところからもこれが基本であることがうかがわれます。
介護保険事業計画は第1号被保険者の介護保険料を決めるために重要です。
そこで単純に5年を一期として,ではなく,5年を一期として3年ごとに,というちょっと変わった策定方法になったのだと思います。
しかし,毎回5年ごとに定めても3年ごとに見直すのだったら,最初から3年を一期とするもので良いのではないか,と誰かが気づいたのではないでしょうか。第3期から3年を一期(平成18~20年)と変更になっています。
時を同じくして,障害者自立支援法(現・障害者総合支援法)が成立しました。
障害福祉計画は,介護保険事業計画と違って,保険料を定めるなどがないので5年を一期としてもよかったのだと思いますが,障害者自立支援制度は介護保険制度を参考に作られたので,介護保険と同じ3年を一期としたと考えられます。
ここでわかるのは,
①3年を一期
②5年を一期
③定めがない
のうち,①は,法で規定されているものは,介護保険事業計画と障害福祉計画しかないということです。
今まで出題されてきたような行政計画の策定期間は覚えておく必要はあるかと思いますが,その中に今まで出題されたことがない行政計画を混ぜて出題されるはずです。
<今日の一言>
事務量が増えるのは誰もが避けたいもの。それにもかかわらず3年を一期とするのはそれなりの意味があるから。