2024年4月13日土曜日

法制度は勉強したらすべて得点力になる!

社会福祉士の国試の特徴は,出題範囲が広いことです。


中心は法制度


歴史・人名が苦手だと思う人は,法制度はしっかり押さえておきたいです。


歴史・人名を覚えることに時間をかけすぎて,本来得点していかなければならない法制度系の勉強時間が少なくなってしまうことは絶対に避けなければなりません。


法制度は,知っているか知っていないか,の差です。

法制度は,勉強した分が得点力になります。


今日は,障害者福祉の問題です。中心は障害者総合支援法です。


法の目的,支給決定のプロセス,サービス内容の種類,配置職員,サービス事業者の指定,審査請求制度は絶対に覚えておかなければならないものです。


障害者分野にいない人にとってはなじみがないものが多いかもしれません。

しかし,法体系は介護保険を参考にして作られた経緯があるだけに,似た部分があります。


高齢者分野に従事する人は両制度の同じようなところ,違うところを比較しながら覚えていくと理解しやすいと思います。



それでは,今日の問題です。


第26回・問題57 

「障害者総合支援法」に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 就労移行支援は,通常の事業所に雇用されることが困難な障害者に対して,雇用契約の締結等による就労の機会を提供するとともに,必要な訓練等の便宜を供与することである。

2 障害福祉サービスの利用者負担額と補装具の利用者負担額を合算して一定の額を超える場合,特定障害者特別給付費が支給される。

3 市町村は,地域生活支援事業としてサービス管理責任者研修を実施し,事業所や施設のサービスの質の確保を図らなければならない。

4 市町村は,介護給付費の支給申請があったときは,障害者又は障害児の心身の状況,その置かれている環境等について調査を実施し,要介護認定を行わなければならない。

5 障害者又は障害児の保護者の居住地が明らかでないとき,介護給付費の支給決定は,現在地の市町村が行う。


障害者総合支援法は,障害者自立支援法を改正して2012年に成立しました。自立支援法は2010年に改正されていますが,その時に相談支援が強化されています。


障害者総合支援法には,自立支援給付と地域生活支援事業があります。


この部分は介護保険とそっくりですね。

それでは詳しく見ていきましょう。


1 就労移行支援は,通常の事業所に雇用されることが困難な障害者に対して,雇用契約の締結等による就労の機会を提供するとともに,必要な訓練等の便宜を供与することである。



障害者自立支援法が成立したときの特徴はいくつかありますが,特にサービスを日中活動と生活の場に分けたこと,就労支援を強化したことがあります。


出題される障害者の就労支援に関する法律は,障害者雇用促進法,そして障害者総合支援法の2つがあります。


それらをしっかり覚えておきたいです。このように書くと難しそうに感じるかもしれませんが,総合支援法によるものは,訓練等給付の就労支援事業が中心なのでとてもシンプルです。


これ以外が障害者雇用促進法によるものとなります。


障害者総合支援法による就労支援は,


就労移行支援事業


就労継続支援事業(A型・B型)


などがあります。


就労移行支援は,一般企業等への就労を希望する人に,一定期間,就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練を行うものです。利用期間には定めがあります。


就労継続支援事業は,一般企業等での就労が困難な人に,働く場を提供するとともに,知識及び能力の向上のために必要な訓練を行うものです。利用期間の定めはありません。


A型は雇用型,B型は被雇用型です。



さて,問題に戻ります。

雇用契約の締結等と書かれているので,就労継続支援A型だとわかります。


よって×。


2 障害福祉サービスの利用者負担額と補装具の利用者負担額を合算して一定の額を超える場合,特定障害者特別給付費が支給される。


特定障害者特別給付費は,低所得の障害者が入所等のサービスを受けた時,食事または居住にかかる費用に対して支給されるものです。


よって×。


3 市町村は,地域生活支援事業としてサービス管理責任者研修を実施し,事業所や施設のサービスの質の確保を図らなければならない。


福祉サービス従事者に関する研修のほとんどは市町村ではなく,都道府県です。


サビ管研修も都道府県です。


よって×。


研修でも市民を対象とするものは,市町村です。例えば,市民後見人育成などです。


4 市町村は,介護給付費の支給申請があったときは,障害者又は障害児の心身の状況,その置かれている環境等について調査を実施し,要介護認定を行わなければならない。



要介護認定は介護保険制度です。障害福祉サービスのうち,介護給付の支給を希望する場合は,障害支援区分認定を受けます。


よって×。

訓練等給付を受ける場合,障害支援認定は行いません。


5 障害者又は障害児の保護者の居住地が明らかでないとき,介護給付費の支給決定は,現在地の市町村が行う。


介護給付費の支給決定は市町村が行います。

居住地が明らかでないときも同じです。



よって正解。


〈今日のまとめ〉


領域別の科目は,その専門領域にいないととても難しく感じることと思います。

クライエントの多様なニーズに対応するためには,自分の専門領域だけではなく,多領域に精通していたほうが良いです。


現代はジェネラリスト・ソーシャルワークを求めています。社会福祉士はまさにそれができます。社会福祉士がその役割を果たせないとしたら,スペシャリストの枠から抜け出せないことになります。


多領域の制度を広く知っていることが,時代が求める社会福祉士になることにつながります。


なじみのないものを学ぶのは大変ですが,頑張って覚えていきましょう!!

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