2018年7月11日水曜日

社会保障の攻略法~7問の出題になったメリット

社会福祉士の国家試験は,基本的に7問出題される科目と10問出題される科目があります。

この違いによって,出題の傾向も実は違います。

7問の科目は,基本的に出題基準に忠実に出題されています。

余談ですが・・・

今は,現行カリキュラム末期なので,出題基準にはあるのに,出題されてこなかった中項目を埋めるような出題がされるようになってきています。

さて,社会保障の攻略法です。

過去3年間の問題を持っている人は,この科目だけを見てみてください。

制度が変わってすぐ出題されたものがありますか?

制度が変わったところが出題されるよ

これは社会福祉士の国試では実はほとんどないのです。

試験の一般論を述べているに過ぎません。

出たとしても150問中1・2問です。

そんなところに力を入れて勉強するより,確実に取らなければならない問題を正解する勉強が適切です。

参考書を読むことは重要ですが,どのように出題されているかを知ってから覚えていく方法もあると思います。

できるだけ効率的に覚えたいです。

今日の問題に入る前に,前回のおさらいから・・・


<労災保険>
労災保険は,労働者の業務災害と通勤災害に対する保険です。
そのため,労働者を雇用している事業所に適用されます。
雇用形態,勤務時間,国籍に関係なく適用されます。


第26回・問題53 事例を読んで,労働者災害補償保険制度(以下「労災保険」という。)に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

〔事 例〕
 W国から日本に来たKさんは,家電量販店を営むP社に雇用され,その指揮命令を受けて,積み下ろし作業をしていたところ,荷物が崩れて大けがをした。 

1 Kさんが留学生であり,アルバイトとして働いていた場合,労災保険は適用されず,労災保険給付は行われない。

2 Kさんが故意に負傷の原因となった事故を生じさせた場合であっても,労災保険給付は行われる。

3 荷崩れの責任がP社にある場合,Kさんは,労災保険給付の価額の限度を超える損害について,民事損害賠償を請求できる。

4 P社が労災保険のための保険料を滞納していた場合,Kさんには労災保険給付は行われない。

5 Kさんの負傷が業務上の災害に当たると認定されても,KさんがW国に帰国した場合には労災保険給付は行われない。

正解は,選択肢3です。

前回とくらべてちょっとひねってある分,難しいかもしれません。
これが国試の現実です。

しかし,労災保険の基本が分かっていれば,これしか答えはないです。

ほかの選択肢も確認しましょう。

1は,労災保険は,国籍や雇用形態にかかわらず給付されます。
2は,故意に起こした事故でのけがでは給付されません。
3は,正解。
4は,事業主が滞納していても給付されます。
5は,帰国したあとでも給付されます。自国で医療を受けた際も,適切であると判断されればそれに対しても給付されます。

それでは,もう一問行きます。

第30回・問題53 事例を読んで,労働者災害補償保険(以下,「労災保険」という。)に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

〔事 例〕
 Aさんは正社員として建設会社に就職した。正社員は他に7名いて,アルバイトとして学生のBさんが雇われている。Aさんは業務上の事由により右足を骨折してしまった。 
1 この会社は,正社員が10名以下なので労災保険は適用されない。

2 Bさんは,学生なので労災保険の適用対象にならない。

3 骨折した事故が労災認定された場合,療養の給付について,Aさんに自己負担はない。

4 骨折した事故が労災認定された場合,Aさんが治療のため会社を休み,賃金が得られなくなった初日から休業補償給付を受けることができる。

5 会社が労災保険の保険料を滞納していた場合,Aさんは,労災保険の給付を受けることができない。

正解は,選択肢3です。ここが医療保険と労災保険の違うところです。

それでは,ほかの選択肢も簡単に触れておきます。

1は,労働者を一人でも雇っていれば適用されます。労働者保護ですから当然です。

2は,学生であってもアルバイトであっても適用されます。

3は,正解です。

4は,休業補償給付は,4日目から給付されます。

5は,またまた滞納です。もちろん滞納していても給付されます。


<今日の一言>

国試は,少しずつ重なっていて,少しずつ違う

前回と今日の問題は同じタイプの事例問題です。

前回の問題

第24回・問題52 事例を読んで,労働者災害補償保険(以下「労災保険」という。)に関する次の記述のうち,正しいものを一つ選びなさい。
〔事例〕
 Lさんは,飲食店を開くために会社を設立し,正社員としてMさんを雇用したほか,開業当初の手伝いのためにアルバイトとしてNさんを雇った。
1 Mさんが,店に出勤する途中で事故に遭い,けがをしてしまった場合,これは業務上の事故ではないので,労災保険から給付は受けられない。
2 Nさんが,皿洗いをしている最中に,グラスで手を切ってしまった場合,Nさんはアルバイトなので,労災保険の給付は受けられない。
3 Lさんは,飲食店の経営者であり,労働者ではないが,労災保険に任意で加入することができる。
4 Lさんに頼まれ,Mさんが近くのスーパーに足りなくなった食材を買いに行く途中で事故に遭った場合,店から離れてしまったので,労災保険の給付は受けられない。
5 Mさんが仕事の最中に包丁で指を切ってしまったが,Lさんが労災保険の保険料を滞納していた場合,Mさんは,労災保険の給付を受けることはできない。

答えは,3の「特別加入制度」が正解です。

基本を押さえれば,決して難しくないです。

ここが7問科目の特徴です。

しっかり基本を押さえていきましょう。

そうすることで,少し違っているものは,消去法で答えを導くことができるでしょう。

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