都道府県と市町村の役割について,今回も続けていきたいと思います。
介護保険法に基づく介護保険サービスと障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスは共通点が多いですが,異なる点もあります。
大きく異なるのは・・・
①介護保険サービスには,地域密着型サービスがある
地域密着型サービスは,市町村が独自に整備するものです。
そのため,地域密着型サービス提供事業者を管轄するのは市町村です。
障害福祉サービスには,地域密着型サービスのようなものはありません。
②障害福祉サービスには,相談支援事業者が2種類ある
指定一般相談支援事業者
基本相談支援と地域相談支援を行う。
指定は,都道府県が行う
指定特定相談支援事業者
基本相談支援と計画相談支援を行う。
指定は,市町村が行う。
ちょっと複雑に感じるかもしれませんが,一般相談支援は,もともと精神障害者地域移行事業として始まったので,市町村ではないのです。
精神障害者の地域移行は,高度な判断が求められます。何か問題があると社会からの非難を浴びることになるからです。
それに対して,指定特定相談支援事業者が行う計画相談支援は,障害福祉サービスのケアマネジメントなので,介護保険サービスの居宅介護支援事業者と同じく市町村が管轄します。
それでは,今日の問題です。
第27回・問題58 「障害者総合支援法」の実施にかかわる関係機関の役割に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 市町村は,障害福祉サービス事業者の指定を行う。
2 都道府県は,障害支援区分の認定を行う。
3 都道府県は,補装具費の支給を行う。
4 国民健康保険団体連合会は,市町村から委託を受けて介護給付費等の支払業務を行う。
5 公共職業安定所(ハローワーク)は,就労移行支援事業者の指定を行う。
前説では,詳しく説明していないので,難しく感じるかもしれません。
それでは解説です。
1 市町村は,障害福祉サービス事業者の指定を行う。
市町村が,事業者の指定を行うのは
指定特定相談支援事業者のみ
介護保険サービスには,地域密着型サービスがあって,指定は市町村が行います。
しかし障害福祉サービスにはそれがないので,極めてシンプルなのです。
障害福祉サービス事業者の指定は,都道府県の役割です。
地域密着型サービス事業者の指定と居宅支援事業者の指定は,市町村ですが,それを除く介護保険サービス事業者の指定は,都道府県の役割です。
2 都道府県は,障害支援区分の認定を行う。
障害支援区分認定と要介護認定は,高度な判断が求められますが,市町村の役割です。
これは,例外事項です。
3 都道府県は,補装具費の支給を行う。
障害福祉サービスの支給認定と支給は市町村の役割です。
4 国民健康保険団体連合会は,市町村から委託を受けて介護給付費等の支払業務を行う。
これが正解です。介護保険と共通部分です。
5 公共職業安定所(ハローワーク)は,就労移行支援事業者の指定を行う。
就労移行支援も含めて,障害福祉サービス事業者の指定を行うのは,都道府県です。