共通点
保険者は政府
財源は保険料と国庫負担
保険料率は,事業によって異なる(さらに労災保険は災害率によって変わるメリット制のために事業場ごとに異なる)
保険料の納付義務者は事業主
労働者を雇用する事業所には強制適用(雇用保険は農林水産業などは任意適用)
相違点
被保険者
労災保険 賃金労働者すべて
雇用保険 ある一定以上の労働時間のある者(継続して31日以上の雇用見込みがあることと1週間の所定労働時間が20時間以上)
保険料負担
労災保険 全額事業主
雇用保険 失業等給付は事業主と被用者。雇用保険二事業は事業主のみ
窓口
労災保険 労働基準監督署
雇用保険 ハローワーク
今日は,雇用保険を取り上げます。
雇用保険は,昭和22年の失業保険法を昭和49年に改正して雇用保険法となっています。
失業保険から雇用保険に変わってから40年以上立ちますが,いまだに雇用保険のことを失業保険と呼ぶ人がいるのはそのためです。
雇用保険は,失業に備えたセーフティネットの機能があります。しかしそれだけで失業補償を賄えないので,求職者支援法でカバーしています。
基本手当は,雇用保険の中で最も中心的な給付です。
給付を受けるためには,原則として,離職の日以前に2年間に通算12か月以上の被保険者期間が必要です。
倒産や解雇等による離職の場合,離職の日以前に1年間に通算6か月以上の被保険者期間が必要です。
給付日数は,年齢,被保険者機関,その他の条件を考慮して決定されます。
ハローワークが紹介した職業訓練や職業を正当な理由なく拒否した場合は,給付が制限されます。
早期に再就職した場合には,就業促進手当を受給することができます。
さてそれでは今日の問題です。
第25回・問題54 雇用保険の基本手当に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 基本手当は,受給資格者が労働基準監督署において失業の認定を受けることにより支給される。
2 基本手当は,被保険者が転居や結婚など自己の都合により退職した場合には支給されない。
3 公共職業安定所(ハローワーク)で紹介された就職先の賃金がその地域の同種の業務及び同程度の技能に係る一般の賃金水準と比べて不当に低いときには,就業を拒否しても基本手当は支給される。
4 基本手当の給付日数は被保険者期間に応じて定められており,倒産や解雇などの離職理由は考慮されない。
5 基本手当の受給を終了し,受給資格を有しない者は,「求職者支援法」に基づく職業訓練受講給付金の対象者となることができない。
答えは,選択肢3です。
公共職業安定所(ハローワーク)で紹介された就職先の賃金がその地域の同種の業務及び同程度の技能に係る一般の賃金水準と比べて不当に低いときには,就業を拒否することは正当な理由に当たるからです。
それよりもそんな就職先を紹介するな,と思ってしまいます。
そのほかの選択肢も簡単に解説します。
1は,失業認定はハローワークで受けます。労働基準監督署は労災保険の窓口です。
2は,自己理由による退職であってももちろん給付されます。倒産や解雇などによる失業はそんなにあることではありません。
3は正解。
4は,給付日数は被保険者期間のほかに倒産や解雇の場合,年齢などによって決まります。
5は,求職者支援法は,雇用保険をカバーするものです。受給資格を有しない者が対象となります。