2018年7月19日木曜日

社会保障の徹底理解~国試問題の劇的変化について

社会福祉士の国家試験の文字数は,第24回をピークとして,年々少なくなっています。


合格できる勉強法~基礎勉強をしっかり行う重要性
https://fukufuku21.blogspot.com/2018/02/20170206.html

ここにも書いたように,問題文の文字数が多いことは,引っ掛けポイントがいくつも作れるので,国試の難易度が上がります。

逆に,文章が長くなれば,余計な言葉が入ってくるので,勘の良い人は,知識がなくても解けます。

勉強した人が解けて,勉強が足りない人は解けない。

これが正しい国試のあり方です。

問題を一問見てみましょう。

第26回・問題52 社会保険の適用対象や給付と負担に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 国民年金の被保険者としての期間がなかった者でも,国民年金法に定める給付を受けられる場合がある。

2 国民健康保険は,農業者や自営業者等を対象とするものであり,事業所に使用される者は対象とはならない。

3 国民年金の第3号被保険者は,専業主婦など夫に扶養されている妻を対象とする制度であり,妻に扶養されている夫は対象にならない。

4 健康保険法及び厚生年金保険法で定める標準報酬月額の上限は,同一である。

5 生活保護を受けている者は,介護保険の保険料を拠出できないので,介護保険に加入できない。

第26回でもすでに文字数は少なくなっていますが,余計な言い回しは随所に見られます。

1 国民年金の被保険者としての期間がなかった者でも,国民年金法に定める給付を受けられる場合がある。

2 国民健康保険は,農業者や自営業者等を対象とするものであり,事業所に使用される者は対象とはならない。

3 国民年金の第3号被保険者は,専業主婦など夫に扶養されている妻を対象とする制度であり,妻に扶養されている夫は対象にならない。

4 健康保険法及び厚生年金保険法で定める標準報酬月額の上限は,同一である。

5 生活保護を受けている者は,介護保険の保険料を拠出できないので,介護保険に加入できない。

アンダーライン部分が余計な部分です。

人は嘘をつくとき,饒舌になる

の典型的なパターンです。

もう一つ典型的だと言えば,

あいまい表現に正解多し

も見受けられます。

そう,答えは,選択肢1です。

勘の良い人は,理由は分からなくてもこれを正解選択肢として選べるはずです。

年金制度は複雑なので覚えるのが面倒ですが,障害基礎年金は,20歳前傷病の場合は20歳になったら年金がもらえる場合があります。なぜ「もらえる場合がある」という表現をしているかと言えば,本人の収入によっては年金は受け取れないからです。

遺族基礎年金の場合は,18歳以下の子はもらえる場合もあります。これも「もらえる場合がある」という表現をしているのは,子が婚姻していたらもらえないからです。

他の選択肢は

2は,健康保険の加入対象にからない人は,国民健康保険に加入しなければなりません。

3は,第3号被保険者は,第2号被保険者の被扶養配偶者なので,妻も夫も対象なります。

4は,健康保険と厚生年金保険の標準報酬月額の上限は異なります。金額まで覚える必要はありません。

5は,第1号被保険者になれます。保険料は,生活扶助の介護保険料加算として給付されます。

さて,最新の国試問題です。

第30回・問題51 社会保険の保険者に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 国民年金の保険者は,日本年金機構である。

2 介護保険の保険者は,国である。

3 国民健康保険組合の保険者は,市町村である。

4 健康保険の保険者は,全国健康保険協会及び健康保険組合である。

5 労働者災害補償保険の保険者は,都道府県である。


無駄な言い回しが一切ないので,日本語的に答えを導くことができません。
知識がある人は解けますし,知識がない人は解けません。

実はこの問題は多くの人が引っ掛けられた問題です。

正解は4ですが,3をうっかり選んでしまいそうになります。

3が間違いのは,市町村国民健康保険なら,保険者は市町村及び都道府県ですが,この選択肢は,国民健康保険組合なので,保険者は国保組合ということになります。

1は,国民年金の保険者は政府です。

2は,介護保険の保険者は,市町村(及び市町村の広域連合)です。

5は,労災保険の保険者は,政府です。雇用保険も同じです。


<今日のまとめ>

おそらく,第31回の問題も第30回と同様の基準で問題をつくられることでしょう。

言い回しで答えがわかる問題は少ないことが想像できます。

第30回と違うだろう,と想像するのは,

選択肢の中にもっともらしい文章で,見たことがないものを入れ込んでくる

作問する際,この処理をすることで,問題を正解することがかなり難しくなります。

しかし多くの場合,

そこには正解選択肢は配置されない

しっかり勉強した人は正解できるはずです。

勉強が足りない人は,その選択肢に動揺し,頭が真っ白になって,間違えます。

理想的な国試問題となります。

国試は,しっかり勉強した人が解けて,勉強が足りない人が解けない問題でなければならないのです。

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