社会保障制度の分類方法はいくつかあります。
社会保障制度審議会の1962年勧告では以下のように分類しています。
社会保険制度
社会福祉制度
生活保護制度(公的扶助)
社会保険制度は,社会保険料を財源として,事前の拠出を給付の要件とします。
社会福祉制度と生活保護制度は,税を財源として,事前の拠出を給付の要件としません。
それでは,細部は問題で確認していきましょう。
第28回・問題50 日本の社会保険制度と公的扶助制度の基本的な特質に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 公的扶助は防貧的な機能をもつ。
2 公的扶助は個別の必要に応じて給付を行う。
3 社会保険の給付は,実施機関の職権により開始される。
4 社会保険では原因のいかんを問わず,困窮の事実に基づいて給付が行われる。
5 公的扶助は,保険料の拠出を給付の前提条件としている。
日本の社会保障制度の中心は,社会保険制度です。
先述の1962年勧告では,社会保険制度は一般所得層を対象にした制度だからです。
社会福祉制度は,低所得者層を対象
生活保護制度は,生活困窮者を対象
社会保険制度と社会福祉制度・生活保護制度は,制度設計が違うのは,このようなところにもあると思います。
それでは解説です。
1 公的扶助は防貧的な機能をもつ。
公的扶助 → 救貧的に作用
社会保険 → 防貧的に作用
よって間違いです。その理由は後述します。
2 公的扶助は個別の必要に応じて給付を行う。
生活保護法では「必要即応の原則」があります。
個別の必要に応じて,有効且つ適切に保護を行う原則です。よって正解です。
社会保険は,その社会保険が定めている保険事故が発生することで給付されます。
3 社会保険の給付は,実施機関の職権により開始される。
社会保険の給付は,先述のように保険事故が発生したら,給付されます。
例えば,年金保険の場合は,年齢が65歳になることが保険事故です。
今ならその年齢でも働いている人もいるかもしれませんが,その年齢になれば,稼働所得はあまり望めません。
そのため,貧困に陥らないように給付します。
それが防貧的という意味です。
職権によって開始されるのは,生活保護の中でも,要保護者が急迫した場合に,行われる市町村長による職権保護です。それ以外には,申請によって保護は実施されます。
4 社会保険では原因のいかんを問わず,困窮の事実に基づいて給付が行われる。
生活保護法では「無差別平等の原則」があります。
困窮に陥った理由を問わず保護するものです。したがって,この文章は,公的扶助を述べたものです。よって間違いです。
5 公的扶助は,保険料の拠出を給付の前提条件としている。
保険料の拠出を給付の前提条件としているのは,社会保険です。
よって間違いです。
社会保険は,事前に保険料を拠出することから,受給するのに権利意識を持ちます。
それに比べると,公的扶助は,往々にして受給にスティグマを感じてしまいます。
生活保護の不正受給があると,生活保護受給者に厳しい目が向けられます。
中には,生活保護を受けることを当然の権利だと思っている人もいるかもしれません。
しかし,多くの人は,スティグマを感じながら,ひっそりと生活していることを忘れてはなりません。
(2018/11/16追記)
<社会保障制度の4つの柱(社会保障の範囲)>
1950年の社会保障制度審議会の勧告では,社会保障制度を以下の4つであるとしています。
①社会保険
②国家扶助(生活保護)
③社会福祉
④公衆衛生及び医療
現在は,これに⑤老人保健を含めて,5つが社会保障の範囲となります。
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