国家試験では,第22・23・24・29回に出題されています。
特定非営利活動法人の定義は以下の通りです。
一 次のいずれにも該当する団体であって,営利を目的としないものであること。
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イ 社員の資格の得喪に関して,不当な条件を付さないこと。
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ロ 役員のうち報酬を受ける者の数が,役員総数の三分の一以下であること。
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二 その行う活動が次のいずれにも該当する団体であること。
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イ 宗教の教義を広め,儀式行事を行い,及び信者を教化育成することを主たる目的とするものでないこと。
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ロ 政治上の主義を推進し,支持し,又はこれに反対することを主たる目的とするものでないこと。
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ハ 特定の公職(公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)第三条に規定する公職をいう。以下同じ。)の候補者(当該候補者になろうとする者を含む。以下同じ。)若しくは公職にある者又は政党を推薦し,支持し,又はこれらに反対することを目的とするものでないこと。
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それでは,今日の問題です。
第24回・問題112 特定非営利活動法人制度に関する次の記述のうち,正しいものを一つ選びなさい。
1 特定非営利活動法人は,その主たる目的を,宗教の教義を広める活動とすることはできないが,政治上の主義を推進する活動とすることはできる。
2 特定非営利活動法人の社員(法人の構成員)は,10名以上であるとともに,社員の資格の得喪について不当な条件を付さずに,加入脱退の自由を保障する必要がある。
3 特定非営利活動法人の業務は,定款で社員総会の決議によるとしたものを除き,すべて理事会の決議によって行う。
4 特定非営利活動法人の理事は,当該法人から報酬を受け取ることはできない。
5 特定非営利活動法人が解散する場合,残余財産は,法人の開設者に帰属させることができる。
社会福祉士の国試で出題される社会福祉法人,NPO法人,医療法人は,それぞれの特徴があります。
その一つが最高議決機関です。
法人の種類
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最高議決機関
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社会福祉法人
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評議員会
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特定非営利活動法人
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社員総会
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医療法人
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財団
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評議員会
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社団
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社員総会
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このように書くと覚えるのがとても難しく感じるかもしれません。
しかし押さえておきたいのは,それぞれ違うということです。
それでは解説です。
1 特定非営利活動法人は,その主たる目的を,宗教の教義を広める活動とすることはできないが,政治上の主義を推進する活動とすることはできる。
宗教の教義を広める活動も政治上の主義を推進することもNPO法人の主たる活動にすることはできません。
2 特定非営利活動法人の社員(法人の構成員)は,10名以上であるとともに,社員の資格の得喪について不当な条件を付さずに,加入脱退の自由を保障する必要がある。
これが正解です。
3 特定非営利活動法人の業務は,定款で社員総会の決議によるとしたものを除き,すべて理事会の決議によって行う。
特定非営利活動促進法では,以下のように規定されています。
(社員総会の権限)
第十四条の五 特定非営利活動法人の業務は、定款で理事その他の役員に委任したものを除き、すべて社員総会の決議によって行う。
4 特定非営利活動法人の理事は,当該法人から報酬を受け取ることはできない。
特定非営利活動促進法では,以下のように規定されています。
役員のうち報酬を受ける者の数が、役員総数の三分の一以下であること。
三分の一以下であれば,受け取ることができます。
5 特定非営利活動法人が解散する場合,残余財産は,法人の開設者に帰属させることができる。
特定非営利活動促進法では,以下のように規定されています。
(残余財産の帰属)
第三十二条 解散した特定非営利活動法人の残余財産は、合併及び破産手続開始の決定による解散の場合を除き、所轄庁に対する清算結了の届出の時において、定款で定めるところにより、その帰属すべき者に帰属する。
2 定款に残余財産の帰属すべき者に関する規定がないときは、清算人は、所轄庁の認証を得て、その財産を国又は地方公共団体に譲渡することができる。
3 前二項の規定により処分されない財産は、国庫に帰属する。
つまり,定款で定めた者に帰属します。
<今日の一言>
今日の問題には出題されていませんでしたが,NPO法人にはいくつか特徴的なものがあります。
その一つが設立です。
設立にあたっては,
NPO法人は,所轄庁の「認証」を受けて設立されます。
社会福祉法人及び医療法人は,「認可」を受けて設立されます。
「認証」と「認可」は,たった一文字違いです。
国試会場の独特な雰囲気の中では,見落とす恐れがあります。
「設立」ときたら,認証なのか,認可なのか,この部分を真っ先に確認することが大切です。