①社会福祉法人
②特定非営利活動法人(NPO法人)
③医療法人
の3つです。
今回は,医療法人を取り上げたいと思います。
第37回国試から新しいカリキュラムに移行します。
新しいカリキュラムの教えるべき内容は,以下のとおりです。
①福祉サービスに係る組織や団体の概要と役割 |
1 福祉サービスを提供する組織 |
・社会福祉施設の現状や推移
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・各種法人の特性
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・非営利法人,営利法人
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・社会福祉法人,NPO法人,一般社団法人,株式会社
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・福祉サービスと連携するその他の法人
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・法人格を有しない団体(ボランティア団体)等
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社会福祉法人とNPO法人は,明記されていますが,医療法人は明記されていません。
そのため,医療法人が新しいカリキュラムで出題されることはないかもしれません。
現行カリキュラムで,医療法人が出題されたのは,
第23回,第26回,第29回の3回です。
3回に1回の頻度で出題されています。出題確率は33.3%です。
この頻度が続けば,第32回にも出題されそうな感じです。
それでは今日の問題です。。
第26回・問題11 社会福祉法人又は医療法人の経営に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 社会福祉法人は,病院や診療所を開設することはできない。
2 社会福祉法人は,介護老人保健施設を開設することはできない。
3 医療法人は,障害福祉サービス事業を経営することはできない。
4 医療法人は,保育所を経営することはできない。
5 医療法人は,特別養護老人ホームを経営することはできない。
まず先に社会福祉事業を考えてみたいと思います。
社会福祉事業には,第一種と第二種があります。
(経営主体)
第六十条 社会福祉事業のうち、第一種社会福祉事業は、国、地方公共団体又は社会福祉法人が経営することを原則とする。
押さえるべきポイント
第二種社会福祉事業は,経営主体は限定されていません。
第一種社会福祉事業は,経営主体は限定されていることに着目しましょう。
それでは解説です。
1 社会福祉法人は,病院や診療所を開設することはできない。
社会福祉法人は,社会福祉事業を実施しますが,そのほかに公益事業及び収益事業を行うことができます。
病院や診療所は,これらの事業で行うことになります。
2 社会福祉法人は,介護老人保健施設を開設することはできない。
選択肢1と同じです。
3 医療法人は,障害福祉サービス事業を経営することはできない。
社会福祉事業には,第一種と第二種があり,第二種は経営主体は限定されません。
医療法人でも第二種であれば,経営できます。
4 医療法人は,保育所を経営することはできない。
保育所は規制緩和によって,現在は営利企業であっても経営することができます。
5 医療法人は,特別養護老人ホームを経営することはできない。
これが正解です。
特別養護老人ホームは,第一種社会福祉事業です。
もう一度確認しましょう。
(経営主体)
第六十条 社会福祉事業のうち、第一種社会福祉事業は、国、地方公共団体又は社会福祉法人が経営することを原則とする。
原則は,原理と違って例外があります。
現在の例外は,日本赤十字社と厚生連(農協が実施するもの)です。しかし例外が出題されることはまずないでしょう。
<今日の一言>
法律は,その適用範囲はきっちり定められています。
ごちゃごちゃ考えるとわけがわからなくなるので,原点に戻って考えるのが良いです。
今日の問題で言えば,
(経営主体)
第六十条 社会福祉事業のうち、第一種社会福祉事業は、国、地方公共団体又は社会福祉法人が経営することを原則とする。
が原点です。しっかり覚えておきましょう。
(余談)
医療法人の類型には「社会医療法人」があります。
地方公共団体が設置する病院・診療所が閉鎖されていく中,地域医療を支える役割を担うために創設されたものです。
認証されるための要件のハードルが高いですが,社会医療法人に指定されると,一部の第一種社会福祉事業の実施,税制面での優遇など,一般の医療法人にはない恩恵があります。
社会医療法人の見直しの中で,特別養護老人ホームの経営も検討されましたが,結局見送られて現在に至ります。
今日の問題の選択肢5は,こういった見直し論議を踏まえた上で出題されたものだと考えられます。