「社会福祉法人」「特定非営利活動法人」「医療法人」
の3種類です。
法人設立の手続きは以下のとおりです。
法人種別
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設立の手続き
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社会福祉法人
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認可
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特定非営利活動法人
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認証
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医療法人
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認可
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認可は,所轄庁が設立を認めるものです。
認証は,定款などの必要書類を提出して,書類に不備がなければ認証を受けることができます。
認可と認証を比べると,認証のほうが設立しやすくなっています。
NPO法人の設立手続きに認証主義を採用している理由は,特定非営利活動の自主性,自律性を尊重する観点からだそうです。
さて,それでは今日の問題です。
第22回・問題112 特定非営利活動法人と社会福祉法人に関する次の記述のうち,正しいものを一つ選びなさい。
1 特定非営利活動法人は,行政への届出の手続きだけで設立できる。
2 社会福祉法人と特定非営利活動法人は,原則として,実施する事業のために必要な資産を自ら所有することが,法人設立の条件となっている。
3 特定非営利活動法人における「理事会」と社会福祉法人の「理事会」は,業務に関して,同じ役割をもっている。
4 社会福祉法人は,介護サービス事業を実施する上で,特定非営利活動法人に比べ,法人税の取扱いが優遇されている。
5 社会福祉法人は,社会福祉事業以外の事業を実施することについて,特に制限が設けられていない。
第22回の問題なので,ちょっと前の問題です。
そのためなのか,問題の作り方が下手な感じがします。
それであっても決して簡単な問題ではありません。
正解は,選択肢4です。
4 社会福祉法人は,介護サービス事業を実施する上で,特定非営利活動法人に比べ,法人税の取扱いが優遇されている。
社会福祉法人が実施する介護サービス事業は,公益事業として実施するため,非課税です。
それに対して特定非営利活動法人は,課税対象となります。
3法人の中で,税制面で最も優遇措置のあるものは,社会福祉法人です。
医療法人と特定非営利活動法人は,ほとんど優遇がありません。
医療法人は,社会医療法人に認定されることで,医療保健業の法人税等は非課税となります。
特定非営利活動法人は,認定特定非営利活動法人がありますが,税制面で優遇されるのは,NPO法人に寄付をした者です。所得税の寄付金控除の対象となります。認定を受けていないNPO法人に寄付しても寄付金控除の対象とはなりません。
特定非営利活動法人は税制面で優遇されているようなイメージがあるかもしれませんが,一般のNPO法人であっても,認定NPO法人であっても,法人自体の優遇は変わりありません。
医療法人には,税制上の特定医療法人という制度があります。国税庁長官の承認を受けると税制面での優遇があります。
かつては,そのほかに特別医療法人という制度もありましたが,現在は廃止されて,社会医療法人に移行しています。(特定医療法人も特別医療法人も国試では出題されません)
それでは,ほかの選択肢も見ていきましょう。
1 特定非営利活動法人は,行政への届出の手続きだけで設立できる。
特定非営利活動法人は,所轄庁の認証を受けることで設立されます。
この問題は届出の手続き「だけ」と出題されているので,間違いっぽい感じがすると思います。
2 社会福祉法人と特定非営利活動法人は,原則として,実施する事業のために必要な資産を自ら所有することが,法人設立の条件となっている。
原則として,実施する事業のために必要な資産を自ら所有することが,法人設立の条件となっているのは,社会福祉法人の特徴です。
3法人の中で,この規定があるのは,社会福祉法人のみです。
3 特定非営利活動法人における「理事会」と社会福祉法人の「理事会」は,業務に関して,同じ役割をもっている。
特定非営利活動法人の理事会は,設置する必要はありません。
社会福祉法人の理事会は,設置しなければなりません。
社会福祉法人の理事会の職務は,以下のとおりです。
一 社会福祉法人の業務執行の決定
二 理事の職務の執行の監督
三 理事長の選定及び解職
社会福祉法人の理事会は,かつては法人の最高議決機関でしたが,社会福祉法の改正によって,現在の最高議決機関は評議員会に代わっています。
特定非営利活動法人の最高議決機関は,社員総会です。
法人の種類
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最高議決機関
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社会福祉法人
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評議員会
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特定非営利活動法人
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社員総会
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医療法人
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財団
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評議員会
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社団
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社員総会
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5 社会福祉法人は,社会福祉事業以外の事業を実施することについて,特に制限が設けられていない。
社会福祉法人は,公益事業も収益事業も行うことができます。しかし制限はあります。
必須事業(法人の事業の主たる地位を占めていなければならない)
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〇社会福祉事業
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第一種社会福祉事業及び第二種社会福祉事業
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任意事業(社会福祉事業の円滑な遂行を妨げるおそれのないもの)
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〇公益事業
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公益を目的としたもので,社会福祉事業以外の事業。例えば,子育て支援,有料老人ホームの経営など。
要件:社会福祉と関係のないものは認められない。社会福祉事業の円滑な遂行を妨げるおそれのないものであること。
剰余金は,当該法人が行う社会福祉事業又は公益事業に充てること。
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〇収益事業
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収益を社会福祉事業又は公益事業の財源に充てるために実施する事業。
事業の種類:制限はないが,法人の社会的信用を傷つけるおそれがあるもの又は投機的なものは適当ではない。
収益は,当該法人が行う社会福祉事業又は公益事業の経営に充てること。
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<今日の一言>
今日の問題の作り方は,ちょっと下手だと感じる理由は以下のとおりです。
特定非営利活動法人は,行政への届出の手続きだけで設立できる。
これが,
特定非営利活動法人の設立にあたっては,所轄庁の認可を受けなければならない。
と出題されれば,とたんに難易度は上がります。
「のみ」「だけ」が含まれる選択肢の多くは正解になりにくいことを経験的に多くの受験生は知っています,
そのため,近年の国試問題では,極力こういった表現はしないように工夫されているのです。
①特定非営利活動法人は,行政への届出の手続きだけで設立できる。
②特定非営利活動法人の設立にあたっては,所轄庁の認可を受けなければならない。
どちらも間違い選択肢です。
①は,知識がなくても×はつけやすいと言えます。
②は,知識がないと,正解か間違いなのか判断することはできません。
ネットの情報を見ると,
国試は日本語の問題だ
と言う人もいます。
確かに現在も甘めな問題もなくはないですが,日本語的に判断できる問題は,とても少ないです。
知識がない人が合格できる試験では決してありません。
地道に勉強した人のみが合格できる試験です。
この問題で,もう一つ着目したいのは
5 社会福祉法人は,社会福祉事業以外の事業を実施することについて,特に制限が設けられていない。
特に制限が設けられていないなら,出題する意味はありません。
制限が設けられているから出題されているのです。
皆さんが学んでいるのは,法制度です。
国試は法制度から出題されます。
法制度は,必要がないものを規定しません。
例えば,この選択肢であれば,
社会福祉法人が実施する公益事業及び収益事業は,どんなものでも行うことができる。
という法規定はないということです。法制度は,必要なものを規定します。
いちいち,やってもよいものを規定するよりも,やってはいけないものを規定した方が効率的ですし,法としての厳密性が担保できます。
そこに気がつくと,内容がわからなくても消去できる選択肢はたくさんので,得点力は伸びます。