2019年8月18日日曜日

福祉サービスの組織と経営に係る基礎理論~レヴィンらのリーダーシップ理論~

今回は,レヴィンらが提唱したリーダーシップ理論を紹介したいと思います。

国試問題からリーダーシップ理論を追っかけているので,体系的ではないことをお許しください。

レヴィンらが提唱したリーダーシップのスタイル

①専制型リーダーシップ
②放任型リーダーシップ
③民主型リーダーシップ

このうち,最も優れているのは「民主的リーダーシップ」だとしています。

これでわかるように,行動理論です。コンティンジェンシー理論ではありません。

それでは,今日の問題です。


第26回・問題122 リーダーシップに関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 人間関係を友好的に保つための配慮と,集団目標の達成に向けてメンバーを統合する体制づくりは,専制的リーダーシップの特徴である。

2 リーダーシップのあり方として,状況に合わせたスタイルや行動が重視される。

3 変革型リーダーシップは,安定した環境において効力を発輝するといわれている。

4 リーダーシップは,組織的に位置づけられた公式的な管理者だけが発揮できるものである。

5 フォロワーがリーダーを支えるフォロワーシップは,リーダーシップに影響を与えることはない。


今までこのブログを読んでいただいた方は,答えはすぐわかると思います。

この問題は「魔の第25回国試」の次の年度に実施されたものです。

第25回国試は,合格基準点が過去最低の72点になった年です。

そのため,第26回国試以降はいかにして合格基準点を90点に近づけるかの取り組みがなされていきます。この流れは,今も続いています。第32回国試の試験委員はがらっと変わりますが,メインストリームは変更されないはずです。

さて,この問題の答えは,選択肢2です。

2 リーダーシップのあり方として,状況に合わせたスタイルや行動が重視される。

今までずっと紹介し続けてきた「コンティンジェンシー理論」を述べたものです。
コンティンジェンシー理論は,現代のリーダーシップ研究の主流です。

リーダーシップ理論に関連する問題を出題する時は,必ずコンティンジェンシー理論を中心として展開されることでしょう。

それでは,ほかの選択肢はどこが間違っているのか確認していきましょう。


1 人間関係を友好的に保つための配慮と,集団目標の達成に向けてメンバーを統合する体制づくりは,専制的リーダーシップの特徴である。

これがレヴィンらのリーダーシップ理論に関連するものです。
レヴィンらが提唱したリーダーシップのスタイルは,以下のものでしたね。

①専制型リーダーシップ
②放任型リーダーシップ
③民主型リーダーシップ

それぞれのスタイルを詳しく説明しておりませんが,専制型(専制的)リーダーシップという言葉から,いわゆるワンマン型のリーダーシップだとイメージできることでしょう。
人間関係を友好的に保つための配慮と,集団目標の達成に向けてメンバーを統合する体制づくりは,民主型リーダーシップです。


3 変革型リーダーシップは,安定した環境において効力を発輝するといわれている。

変革型リーダーシップを聞いたことがなくても,「変革型」と「安定した環境」は,馴染まないことはイメージできることでしょう。

安定した環境では,前例に従うのが一番です。

変革型が必要なのは,環境変化が大きい状況です。

江戸時代に黒船が来航して,江戸幕府は混乱し,各藩に意見を求めたことから幕府の威厳が低下していきます。変化に対応できた雄藩が次の時代を作っていきます。

歴史小説が,いつも経営者に人気があるのは,歴史にはいくつも学ぶべき点を見つけることができるからでしょう。


4 リーダーシップは,組織的に位置づけられた公式的な管理者だけが発揮できるものである。

リーダーシップは,上位者から下位者だけではなく,同僚に対して,下位者から上位者に対して,他部門に対して,など様々な側面があります。


5 フォロワーがリーダーを支えるフォロワーシップは,リーダーシップに影響を与えることはない。

新しい言葉としてフォロワーシップが出現してきました,。
リーダーシップは,人と人の関連性の中で発揮するものです。

フォロワーの態度形成は極めて大きな意味を持ちます。


<今日の一言>

国試は,勉強不足の人にとっては,とても難しいものです。

しかし,勉強した人は得点できるように,工夫されているのが今の国試です。断言できます。
「魔の第25回国試」の合格基準点が72点になったとの対照的に,第30回国試では,合格基準点が99点になりました。

このように,今の国試は勉強した人は点数が取れるように作られています。

合格基準点が高くなろうと,ポイントをしっかり押さえていけば,必ず合格基準点は越えます。

なぜなら,多くの受験生は勉強不足で国試に臨むので,せっかく試験委員が点数を取りやすいように問題を作っているにもかかわらず,そこに気がつかないからです。

こういったところでどんどん差がついていくので,勉強不足の人は,合格基準点を上回ることが極めて厳しくなります。

しっかり勉強した人は,点数が取れる試験です。

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