社会福祉士の国家試験の出題範囲は広いので,毎年出題されるようなものはほとんどありません。
その中で,心理療法は毎年必ず出題されている数少ないものの一つです。
つまり,出題確率は100%!
出るか出ないかわからないものに時間をかけるのではなく,こういったものを確実に正解できるようにすることを優先するほうが得点は上がります。
それでは,今日の問題です。
第28回・問題14 心理療法に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 自律訓練法は,筋肉を漸進的に弛緩させる技法である。
2 認知行動療法は,転移関係についての解釈と洞察が重要である。
3 家族療法のシステムズ・アプローチでは,家族間の関係性の悪循環を変化させる。
4 来談者中心療法は,夢分析を行い無意識の意識化を促進させる。
5 精神分析療法は自己認知の変容のために認知再構成法を用いる。
心理療法は,必ず出題されると言っても,難易度が高い問題が多いです。
なぜなら,少しずつ表現を変えて出題されるからです。
丸暗記の学習では,おそらくこういった問題が出題された時,対応不能です。
自分なりに,おおよそこういうことだということをつかんでおくことが必要です。
暗記を中心に勉強している人は,表現を変えられると対応が難しいのです。
さて,今日の問題の正解は,選択肢3です。
3 家族療法のシステムズ・アプローチでは,家族間の関係性の悪循環を変化させる。
家族メンバーのうち,問題のある人は,「IP」と言います。
IPに目が向きがちですが,ほかのメンバーに原因があることもあります。
家族システムアプローチではIPにだけ働きかけるものではなく,家族全体にアプローチします。
そのことによって,家族というシステムが変化を起こします。
システムというと,機械的なイメージを持ちがちですが,システムは,変化・成長するものだととらえるのが特徴です。
機械的なイメージだと,そのシステムは初期条件がその後を拘束するものになってしまいます。
理解を間違えないようにしましょう。
それでは,ほかの選択肢も確認しましょう。
1 自律訓練法は,筋肉を漸進的に弛緩させる技法である。
自律訓練法は,一種の催眠療法で,受動的注意集中という態度を通してリラックス状態になるようにするものです。
2 認知行動療法は,転移関係についての解釈と洞察が重要である。
認知行動療法は,自己認知の変容のために認知再構成法を用います。
4 来談者中心療法は,夢分析を行い無意識の意識化を促進させる。
来談者中心療法は,「共感的理解」と「無条件的肯定的関心」でかかわります。
5 精神分析療法は自己認知の変容のために認知再構成法を用いる。
精神分析療法は,無意識の領域に働きかけます。