少年法では,20歳未満を少年と規定しています。
民法では,成年の年齢が18歳以上に引き下げられますが,少年法の少年は20歳未満のままです。
そのため,法を改正して,少年でも18・19歳は特定少年とされて,逆送致されると,20歳以上と同じ扱いを受けることとなります。
さて,少年法では,非行少年を3つに分けています。
犯罪少年 |
14歳以上で,罪を犯した少年。 |
触法少年 |
14歳未満で刑罰法令に触れる行為をした少年 |
虞犯少年 |
その性格又は環境に照して、将来、罪を犯し、又は刑罰法令に触れる行為をする虞(おそれ)のある少年 |
このうち,罪に問われることがあるのは,犯罪少年のみです。
犯罪少年は,全件,家庭裁判所に送致されます。家庭裁判所は必要な場合,検察官に送致します。
これを逆送致(あるいは逆送)といいます。
逆送致されて,起訴されると地方裁判所で裁判を受けることになります。
触法少年と虞犯少年は,児童福祉法が優先されて,児童相談所に送致されます。
児童相談所が必要だと判断した場合は,家庭裁判所に送致します。そこで必要な場合は,保護処分を受けます。
犯罪少年と異なり,触法少年と虞犯少年は,検察官に送致されることはありません。
犯罪少年は,刑事処分の対象となり得ますが,触法少年と虞犯少年は対象とならないからです。
それでは,今日の問題です。
第30回・問題149 触法少年に対する関係機関の対応に関する次の記述のうち,適切なものを1つ選びなさい。
1 警察は,触法少年を検察官に送致することができる。
2 警察は,触法少年を地方裁判所に送致することができる。
3 児童相談所長は,触法少年を児童自立支援施設に入所させることができる。
4 児童相談所長は,触法少年を検察官に送致することができる。
5 家庭裁判所は,触法少年を検察官に送致することができる。
触法少年に関する問題です。
触法少年は,犯罪少年と異なり,刑事処分の対象となりません。そのため,検察官にも地方裁判所にも送致されることはありません。
非行少年のうち,検察官送致や地方裁判所送致の対象となるのは,犯罪少年のみです。
その視点でこの問題を整理すると
1 警察は,触法少年を検察官に送致することができる。
2 警察は,触法少年を地方裁判所に送致することができる。
4 児童相談所長は,触法少年を検察官に送致することができる。
5 家庭裁判所は,触法少年を検察官に送致することができる。
これらの対象となるのは,犯罪少年となります。
正解は,選択肢3です。
3 児童相談所長は,触法少年を児童自立支援施設に入所させることができる。
触法少年と虞犯少年は,児童福祉法が優先され,児童相談所に送致されます。
児童相談所は,児童自立支援施設への入所が必要だと判断した場合は入所させることができます。
児童裁判所は,保護処分が必要だと判断した場合は,家庭裁判所に送致することができます。
家庭裁判所による保護処分は3種類あります。
保護観察処分(1号観察) |
児童自立支援施設・児童養護施設送致 |
少年院送致 |
このように,保護処分によっても児童自立支援施設に入所することもあります。
保護処分として,少年院送致された場合,仮退院すると保護観察の対象となりますが,児童自立支援施設送致された少年は,退所後に保護観察の対象とはならないことも覚えておきたいです。
最後に改正少年法を紹介しておきます。