2021年9月9日木曜日

身体構造の出題

国家試験問題は,5つの選択肢で構成されます。

以前は,誤っているものを選ぶ問題が出題されていましたが,現在はそのスタイルはありません。


そのため,正解以外は,すべて誤っている選択肢だということになります。


これが問題を作る側にとっては,大変つらいことです。


そこで,よく使われるのは,


・数字を変える。

・「~より~」の前後を入れ替える。

・前後左右などを入れ替える。


などの方法です。


今回は,身体構造の問題を取り上げますが,よく使われるのは,「前後左右などを入れ替える」という作問法です。


順番のあるものも要注意です。


そういったところを意識しながら問題を読むとミスを減らすことができます。


それでは今日の問題です。


第22回・問題3 心身機能と身体構造の概要に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 心臓の左の心房と心室の間にある弁を三尖弁,右の心房と心室の間にある弁を僧帽弁という。

2 健康な成人において,血液細胞を作り出しているのは骨髄である。

3 脳幹は,上部から橋・中脳・延髄の順に並んでいる。

4 肺は左右2つからなり,左は3つ,右は2つの肺葉に分かれている。

5 細胞性免疫は,主にBリンパ球が関与する免疫である。


この問題の中で近年に出題が全くないのは,免疫系です。


一時はかなり頻出だったのですが,今は出題されていません。おそらく今日の問題が出題された頃には,試験委員の中に免疫系を専門としている試験委員いたのではないかと思います。


さて,この問題の中で,前後左右,順番のあるものが含まれる選択肢は,以下のとおりです。


1 心臓の左の心房と心室の間にある弁を三尖弁,右の心房と心室の間にある弁を僧帽弁という。

3 脳幹は,上部から橋・中脳・延髄の順に並んでいる。

4 肺は左右2つからなり,左は3つ,右は2つの肺葉に分かれている。


選択肢1は,左と右を入れ替えています。


正しくは,三尖弁は右,僧帽弁は左です。


選択肢3は,順番を入れ替えています。

正しくは,


中脳 → 橋(きょう) → 延髄


覚えにくいですが,「橋(きょう)」は,真ん中でなければなりません。


「橋」の名称は,中脳と延髄をつなぐところから名づけられているからです。


選択肢4も左と右を入れ替えています。


正しくは,


左が2つ

右が3つ


心臓は左側にあるために,右よりも容量が小さいのです。


選択肢5も実は入れ替えとなっています。


免疫系には,細胞性と液性の2つがあります。


おそらく,人間の進化の過程で免疫系を2つ持つ者が生き残ってきたのでないかと思います。


細胞性免疫にかかわるのは,Tリンパ球です。

液性免疫にかかわるのは,Bリンパ球です。


覚えるのは面倒ですが,近年は出題されていないので,覚える優先性とは低いと言えるかもしれません。


さて,残るのは,選択肢2です。


2 健康な成人において,血液細胞を作り出しているのは骨髄である。


これが正解です。


これは,このあとに出題されていないものですが,覚えておきたいです。


かつては,「骨髄は造血機能を持つ」(第14回)といったように出題されたこともあるからです。

最新の記事

児童手当法と児童手当

  今回は児童手当法と児童手当を学びます。 児童手当法,児童扶養手当法,特別児童扶養手当法は,児童扶養手当法(1961年),特別児童扶養手当法(1964年),児童手当法(1971年)の順で成立していきました。 児童手当法の児童の定義は,18歳に達する日以後の最初の3月31日までの...

過去一週間でよく読まれている記事