WHO憲章では,健康を以下のように定義しています。
健康とは,身体的,精神的そして社会的に完全に良好な状態を指す。
これによって,アセスメントするときは
身体的(バイオ)
精神的(サイコ)
社会的(ソーシャル)
を見ていくことになります。
これを「バイオ-サイコ-ソーシャルモデル」といいます。
社会福祉士の国家試験の科目の並びもこの順番になっていることに気がつきましたか?
WHOでは,1990年代にその3つに「スピリチュアル」を加えることを検討しましたが,それは実現せず,現在に至ります。
それでは,今日の問題です。
第23回・問題4 健康に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 WHO憲章による健康の定義は,「健康とは,身体的にも精神的にも社会的にもスピリチュアルにも完全に良好な状態をいう」とされている。
2 アルマ・アタ宣言では,人々が自らの健康とその決定要因をコントロールし,改善することができるようにするヘルスプロモーションが強調された。
3 オタワ憲章では,地域住民が参加して包括的,継続的で,身近な保健・医療サービスを組織的に提供することを目指すプライマリ・ヘルスケアが提唱された。
4 我が国の地域保健法においては,内臓脂肪型肥満に着目した特定健診(特定健康診査)の受診が義務づけられている。
5 我が国の健康増進法においては,学校,体育館,病院,劇場その他,多数の者が利用する施設を管理する者は受動喫煙を防止するための措置を講ずるよう努めることが定められている。
今では,国家試験でおなじみになっている「アルマ・アタ宣言」と「オタワ憲章」が初めて登場した問題です。
アルマ・アタ宣言(1978年)は,それまでの高度医療中心から「プライマリ・ヘルスケア」(予防医療)へ転換するように提唱したものです。
オタワ憲章(1986年)は,「ヘルスプロモーション」(人々が自らの健康をコントロールし,改善することができるようにするプロセス)を強調したものです。
一応,それぞれの年を入れていますが,これらは覚える必要は一切ありません。
さて,正解は,選択肢5です。
5 我が国の健康増進法においては,学校,体育館,病院,劇場その他,多数の者が利用する施設を管理する者は受動喫煙を防止するための措置を講ずるよう努めることが定められている。
何の変哲もないものが正解です。国家試験はこんなものです。
それでは,解説です。
1 WHO憲章による健康の定義は,「健康とは,身体的にも精神的にも社会的にもスピリチュアルにも完全に良好な状態をいう」とされている。
スピリチュアルが余計です。
2 アルマ・アタ宣言では,人々が自らの健康とその決定要因をコントロールし,改善することができるようにするヘルスプロモーションが強調された。
ヘルスプロモーションが強調されたのは,オタワ憲章です。
3 オタワ憲章では,地域住民が参加して包括的,継続的で,身近な保健・医療サービスを組織的に提供することを目指すプライマリ・ヘルスケアが提唱された。
プライマリ・ヘルスケアが提唱されたのは,アルマアタ宣言です。
4 我が国の地域保健法においては,内臓脂肪型肥満に着目した特定健診(特定健康診査)の受診が義務づけられている。
特定健康診査が規定されているのは,高齢者の医療の確保に関する法律です。