生活習慣病は,以前は成人病と呼ばれていたものです。
しかし,加齢が原因というよりも食事,運動などの生活習慣が大きくかかわるために生活習慣病と言い換えられました。
糖尿病は,生活習慣病の代表と言えます。
糖尿病には,1型と2型があり,そのうち,生活習慣が関連するのは2型糖尿病です。
ただし,遺伝因子があって発症します。
それでは,今日の問題です。
第29回・問題5 生活習慣病に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 発症に生活習慣の関与が強いのは,2型糖尿病よりも1型糖尿病である。
2 アルコール摂取量は,メタボリックシンドロームの診断基準に含まれる。
3 生活習慣病の発症に,遺伝要因は関与しない。
4 喫煙は,膀胱がんの危険因子の一つである。
5 身体活動レベルの増大は,生活習慣病の発症リスクを上げる。
なかなかの難問です。
今なら参考書に書いてあると思いますが,この問題が出題された当時は,正解になったものについて書かれた参考書はなかったはずです。
こういった問題のタイプは,消去法で正解を探し出すものですが,消去でないものがあると正解することはかなり困難になります。
それでは,慎重に消去していきましょう。
1 発症に生活習慣の関与が強いのは,2型糖尿病よりも1型糖尿病である。
1型糖尿病は,自己免疫によって,すい臓のランゲルハンス島のβ細胞が破壊されることでインスリンが分泌できなくなり発症します。
生活習慣の関与が強いのは,2型糖尿病です。日本人では糖尿病患者の90%以上が2型糖尿病です。
2 アルコール摂取量は,メタボリックシンドロームの診断基準に含まれる。
メタボリックシンドロームの診断基準は,腹囲(男性85㎝以上,女性90㎝以上)に加えて,血圧,血糖,脂質の3つのうち2つ以上が基準値を外れている場合です。
アルコール摂取も生活習慣病に関連しますが,メタボリックシンドロームの診断基準には含まれません。
3 生活習慣病の発症に,遺伝要因は関与しない。
2型糖尿病の発症でわかるとおり,遺伝要因が関与します。
4 喫煙は,膀胱がんの危険因子の一つである。
これが正解です。
喫煙は,膀胱がんの危険因子の一つです。
5 身体活動レベルの増大は,生活習慣病の発症リスクを上げる。
運動は,生活習慣病の発症リスクを下げます。当然です。
国家試験では,勉強していないものも出題されます。
その時に,いかに冷静に問題を読むことができるかが重要だと強く感じます。