今回は,生活習慣病のうちの高血圧を取り上げます。
高血圧は,今日のテーマである本態性高血圧と続発性高血圧に分けることができます。
本態性高血圧 (一次性高血圧) |
原因がわからない高血圧。高齢者の高血圧のうち90%以上を占める。 生活習慣に関係するのが本態性高血圧。 |
続発性高血圧 (二次性高血圧) |
原因がわかっている高血圧。 最も多いのは,腎実質性高血圧。 |
これを読んで意味がわからないという人もいると思います。
本態性高血圧は,生活習慣に関連しているなら,原因がわかっているのではないか,という疑問です。
しかし生活習慣=高血圧ではありません。
同じ生活習慣であってもある人は高血圧にあり,ある人は高血圧にならない,ということもあります。
そのために,原因がわからないとされます。
それでは,今日の問題です。
第31回・問題5 高血圧に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 高血圧の診断基準は,収縮期(最高)血圧160mmHg以上あるいは拡張期(最低)血圧90mmHg以上である。
2 本態性高血圧(一次性高血圧)は,高血圧全体の約50%を占める。
3 続発性高血圧(二次性高血圧)の原因の第1位は,内分泌性高血圧である。
4 高血圧の合併症に脳血管障害がある。
5 血液透析の導入の原因の第1位は,高血圧性腎硬化症である。
社会福祉士は医療職ではありません。
看護師の国家試験なら,高血圧の診断基準も覚えておかなければなりません。
この高血圧の診断基準が出題されたのは,この時が初めてです。こういったものが正解になることはほぼないのが社会福祉士の国家試験です。
正解は,選択肢4です。
4 高血圧の合併症に脳血管障害がある。
誰もがよく知っているものではないかと思います。
このために,何か引っ掛けが隠されているのではないかと思ってしまいがちです。
社会福祉士の国家試験であることを考えると,高血圧の診断基準を正解にするよりもこういったものを正解にする方が適切だと思いませんか。
それでは,このほかの選択肢も確認します。
1 高血圧の診断基準は,収縮期(最高)血圧160mmHg以上あるいは拡張期(最低)血圧90mmHg以上である。
収縮期血圧 150mmHg以上
拡張期血圧 90mmHg以上
一度出題すると,次には正解として出題されることもあります。
その意味で,現時点では覚えておかなければならないものとなります。
2 本態性高血圧(一次性高血圧)は,高血圧全体の約50%を占める。
本態性高血圧(一次性高血圧)は,高血圧全体の約90%を占めます。
3 続発性高血圧(二次性高血圧)の原因の第1位は,内分泌性高血圧である。
続発性高血圧(二次性高血圧)の原因の第1位は,腎実質性高血圧です。
5 血液透析の導入の原因の第1位は,高血圧性腎硬化症である。
これは過去に出題されたことがあります。
血液透析の導入の原因の第1位は,糖尿病性腎症です。
糖尿病は,毛細血管が多く集まる部位に損傷を受けます。