2022年8月3日水曜日

保護観察制度

2022(令和4)年の通常国会で「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律」が成立しました。

 

これまでの女性保護制度の中心は売春防止法でしたが,今後は2024(令和6)年に施行されるこの法律が中心となります。

  

売春防止法の婦人相談所,婦人補導院などが廃止されます。

 

現在の保護観察制度は1号から5号まであり,婦人補導院からの退所者は5号観察に付されます。

 

しかし,今後は婦人補導院が廃止されるために5号観察もなくなります。近年では5号観察はほとんどなかったので,廃止されるのは,当然と言えば当然でしょう。

 

「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律」を覚えなければならない時代がすぐやってきますが,現時点(2022年)では,売春防止法に関する出題はされないと思うので,覚えなければならないものは,ちょっぴり少ない良い時期だと言えます。

 

平成19年度カリキュラムで生まれた「更生保護制度」は,令和元年度カリキュラムでは「刑事司法と福祉」という科目に生まれ変わり,精神保健福祉士との共通科目に移ります。

 

刑事司法の内容が加わるので,覚えることが増えます。平成19年度カリキュラムで学んだ人は,できるだけ第35回と第36回国試で合格したほうが良いです。

 

それでは,今日の問題です。

 

31回・問題147 保護観察制度に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 保護観察では,施設収容を伴う処遇は行われない。

2 仮釈放を許された者には,保護観察が付される。

3 刑の一部の執行猶予を言い渡された者には,保護観察が付されることはない。

4 保護観察所は,都道府県によって設置される。

5 保護観察は,少年を対象としない。

 

保護観察は,社会内処遇と単純に考えていると間違います。

 

それでは,解説です。

 

1 保護観察では,施設収容を伴う処遇は行われない。

 

これが要注意です。更生保護施設を忘れてはなりません。

 

2 仮釈放を許された者には,保護観察が付される。

 

これが正解です。

 

5号観察を除くと,保護観察は以下のようになります。


1号観察

保護観察処分の少年

2号観察

少年院からの仮退院した少年

3号観察

刑務所などから仮釈放された者

4号観察

保護観察付きの施行猶予者


仮釈放を許された者は,3号観察に付されるということになります。

 

仮釈放の許否を決定するのは,地方更生保護委員会です。

 

3 刑の一部の執行猶予を言い渡された者には,保護観察が付されることはない。

 

刑の一部の執行猶予とは,一定期間を刑に服した後,残りの期間を執行猶予とする制度です。

 

薬物犯罪者が刑の一部の執行猶予となった場合は,保護観察に必ず付されます。

 

4 保護観察所は,都道府県によって設置される。

 

更生保護制度に関して,都道府県の役割はほとんどありません。保護観察所は国が設置します。だから保護観察官は国家公務員なのです。

 

5 保護観察は,少年を対象としない。

 

もちろん保護観察は少年を対象とします。1号観察と2号観察が少年です。

最新の記事

ノーマライゼーションの国家試験問題

 今回は,ノーマライゼーションに取り組みます。 前説なしで,今日の問題です。 第26回・問題93 ノーマライゼーションの理念に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。 1 すべての人間とすべての国とが達成すべき共通の基準を宣言した世界人権宣言の理念として採用された。 2...

過去一週間でよく読まれている記事