2022(令和4)年の通常国会で「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律」が成立しました。
これまでの女性保護制度の中心は売春防止法でしたが,今後は2024(令和6)年に施行されるこの法律が中心となります。
売春防止法の婦人相談所,婦人補導院などが廃止されます。
現在の保護観察制度は1号から5号まであり,婦人補導院からの退所者は5号観察に付されます。
しかし,今後は婦人補導院が廃止されるために5号観察もなくなります。近年では5号観察はほとんどなかったので,廃止されるのは,当然と言えば当然でしょう。
「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律」を覚えなければならない時代がすぐやってきますが,現時点(2022年)では,売春防止法に関する出題はされないと思うので,覚えなければならないものは,ちょっぴり少ない良い時期だと言えます。
平成19年度カリキュラムで生まれた「更生保護制度」は,令和元年度カリキュラムでは「刑事司法と福祉」という科目に生まれ変わり,精神保健福祉士との共通科目に移ります。
刑事司法の内容が加わるので,覚えることが増えます。平成19年度カリキュラムで学んだ人は,できるだけ第35回と第36回国試で合格したほうが良いです。
それでは,今日の問題です。
第31回・問題147 保護観察制度に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 保護観察では,施設収容を伴う処遇は行われない。
2 仮釈放を許された者には,保護観察が付される。
3 刑の一部の執行猶予を言い渡された者には,保護観察が付されることはない。
4 保護観察所は,都道府県によって設置される。
5 保護観察は,少年を対象としない。
保護観察は,社会内処遇と単純に考えていると間違います。
それでは,解説です。
1 保護観察では,施設収容を伴う処遇は行われない。
これが要注意です。更生保護施設を忘れてはなりません。
2 仮釈放を許された者には,保護観察が付される。
これが正解です。
5号観察を除くと,保護観察は以下のようになります。
1号観察 |
保護観察処分の少年 |
2号観察 |
少年院からの仮退院した少年 |
3号観察 |
刑務所などから仮釈放された者 |
4号観察 |
保護観察付きの施行猶予者 |
仮釈放を許された者は,3号観察に付されるということになります。
仮釈放の許否を決定するのは,地方更生保護委員会です。
3 刑の一部の執行猶予を言い渡された者には,保護観察が付されることはない。
刑の一部の執行猶予とは,一定期間を刑に服した後,残りの期間を執行猶予とする制度です。
薬物犯罪者が刑の一部の執行猶予となった場合は,保護観察に必ず付されます。
4 保護観察所は,都道府県によって設置される。
更生保護制度に関して,都道府県の役割はほとんどありません。保護観察所は国が設置します。だから保護観察官は国家公務員なのです。
5 保護観察は,少年を対象としない。
もちろん保護観察は少年を対象とします。1号観察と2号観察が少年です。