地域生活定着支援センターは,厚生労働省の地域生活定着促進事業によって設置されます。
厚生労働省のホームページ「高齢又は障害により福祉的な支援を必要とする矯正施設退所者等の地域生活定着支援(地域生活定着促進事業)」では,地域生活定着支援センターについて,以下のように説明しています。
https://www.mhlw.go.jp/content/000827745.pdf
それでは,今日の問題です。
第31回・問題149 更生保護の機関と就労支援及び福祉機関・団体との連携に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 生活困窮者自立支援制度は,更生保護対象者には適用されない。
2 地域生活定着支援センターは,法務省により設置されている。
3 公共職業安定所(ハローワーク)の職員は,保護観察所に所属して就労支援を行っている。
4 協力雇用主には,対象者の身分や前歴等を知らせずに協力してもらっている。
5 公共職業安定所(ハローワーク)には,刑務所出所者等を対象とした就労支援メニューがある。
いろいろ考えさせてくれる問題です。
過去問を解く意義を思い知らされます。
それでは,解説です。
1 生活困窮者自立支援制度は,更生保護対象者には適用されない。
更生保護対象者も生活困窮者自立支援制度の対象となり得ます。
なぜこのような問題が出題されるかと言えば,更生緊急保護では,こういった出題でも正解になるからです。
更生緊急保護は,保護観察に付されている者は対象にならない。
と出題されれば正解になります。
同じような文章でも,内容が異なれば正解になるのです。
2 地域生活定着支援センターは,法務省により設置されている。
更生保護に関するものは,基本的に法務省が所掌しています。
地域生活定着支援センターは,福祉的支援を行うために厚生労働省の事業として実施しています。
このようなことがあるので,社会福祉士のカリキュラムに,更生保護制度が加わり,さらに令和元年度カリキュラム改正では,共通科目となり,「刑事司法と福祉」という科目として生まれ変わりました。
3 公共職業安定所(ハローワーク)の職員は,保護観察所に所属して就労支援を行っている。
公共職業安定所(ハローワーク)の職員が所属するのは,ハローワークです。
法の基本は,別の法制度にかかわることはないということです。
ハローワークは,厚生労働省のうち,労働局に属する機関です。それが法務省の保護観察所に所属するというのは,通常考えられないことです。
法制度の問題では,こういった出題がみられることがあるので,基本を押さえておくことが大切です。
4 協力雇用主には,対象者の身分や前歴等を知らせずに協力してもらっている。
協力雇用主は,対象者を理解した上で雇用しています。
対象者の身分や前歴等を知らせずに雇用するなら,一般雇用と同じでしょう。
5 公共職業安定所(ハローワーク)には,刑務所出所者等を対象とした就労支援メニューがある。
これが正解です。
国家試験は,「こんなことをしているよ」というアピールの場です。試験委員が大切だと思うものを出題します。
ここが理解できれば,このメニューを知らなくても,この選択肢を選ぶことができます。
国試問題の醍醐味と言えるかもしれません。
国試問題は本当に奥が深いものです。