2022年8月31日水曜日

正常圧水頭症とは

現時点での医療では,認知症という疾患を治すことはできません。


早く治療法が見つかれば良いと思いますが,現時点の治療薬は脳の機能を活性化させる効果があるものであり,認知症そのものを治すものではありません。


しかし,認知症の中でも治すことができるものがあります。


それが今日のテーマの正常圧水頭症です。


正常圧水頭症とは,脳の中に髄液が貯留することで認知症状を生じるものです。

そのため外科手術によって髄液を抜けば治すことができます。


それでは今日の問題です。


第26回・問題5 認知症に関する次の記述のうち,正しいものを2つ選びなさい。

1 アルツハイマー型認知症の治療に用いられる薬物は,現在,存在しない。

2 レビー小体型認知症では,パーキンソン症状を生じることはまれである。

3 血管性認知症は,生活習慣病(糖尿病,脂質異常症,高血圧など)が原因となっていることが多い。

4 正常圧水頭症による認知症は,外科手術で回復することがある。

5 認知症に伴うせん妄は,夜間よりも昼間の方が多い。


そんなに難しい問題ではないかもしれませんが,一応解説します。


1 アルツハイマー型認知症の治療に用いられる薬物は,現在,存在しない。


現時点で,アルツハイマー型認知症の治療薬として認可されている薬物には,アセチルコリンエステラーゼ阻害薬(商品名:アリセプトなど)とNMDA受容体拮抗薬(メマリー)があります。


アセチルコリンエステラーゼ阻害薬の中でよく知られるアリセプトは,レビー小体型認知症に唯一効果がある薬剤でもあります。


2 レビー小体型認知症では,パーキンソン症状を生じることはまれである。


レビー小体型認知症の特徴は,パーキンソン症状とはっきりした幻視を生じることです。


3 血管性認知症は,生活習慣病(糖尿病,脂質異常症,高血圧など)が原因となっていることが多い。


これが一つ目の正解です。


これは経験的に知っていることでしょう。


4 正常圧水頭症による認知症は,外科手術で回復することがある。


これがもう一つの正解です。正常圧水頭症は,この時初めて出題されたものです。


今の受験者は勉強していますが,この当時の受験者は知らなかったと思います。


それでもほかの選択肢を消去することで正解できます。国家試験の多くはそのようなタイプの問題です。


5 認知症に伴うせん妄は,夜間よりも昼間の方が多い。


せん妄を多く発症するのは,夜間です。

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