今回は,「1 人の成長・発達」のうちの「2 精神の成長・発達」を取り上げます。
発達心理学に内容がかぶるからかもしれませんが,国家試験ではほとんど出題されたことがありません。
今日取り上げる問題は,数少ない中の1つです。このほかには,エリクソンの発達理論が第31回に出題されています。
エリクソンによる発達段階の発達課題vs危機
乳児期(0~1歳) 基本的信頼 vs 基本的不信 幼児前期(1~3歳) 自立性 vs 恥・疑惑 幼児後期(3~6歳) 自主性 vs 罪悪感 児童期(7~11歳) 勤勉性 vs 劣等感 青年期(12~20歳) 同一性獲得vs 同一性拡散 前成人期(20~30歳) 親密 vs 孤立 成人期(30~65歳) 世代性 vs 停滞 老年期(65歳以降) 統合 vs 絶望 |
エリクソンの問題
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それでは今日の問題です。
第28回・問題1 以下は,乳幼児期にみられる標準的な発達の特徴を示したものである。2歳前後で始まるものはどれか。最も適切なものを1つ選びなさい。
1 あやすと笑うようになる。
2 「アーアー」などの意味のない発声を始める。
3 意味のある単語を言い始める。
4 集団遊びの決まりごとを守れるようになる。
5 2語文を言い始める。
こういった問題があると,子育て経験がある人はとても有利だと思うかもしれません。
しかし,それは子育て経験がない人がもつ感想です。
子育ては毎日が戦いなので,いつの時に何があったのかを覚えているのは難しいものです。
勉強すると,ああ,そうだったな,と思うくらいです。
仮に日記を書いていたとしても,エピソードを年表にまとめるなどしなければわからないと言えます。
それでは,解説です。
1 あやすと笑うようになる。
あやすと笑うようになるのがいつ頃のことかわからなくても,2歳前後で出現するものではないことはわかります。
国家試験は,小さな差を問うことはないので,この問題は2歳前後とはかなり離れた時期のことを出題しています。
勉強する時は大変そうに思うかもしれませんが,国家試験で実際に出題されたものをひもとくと実はこんな感じに出題されていることがわかります。
さて,あやすと笑うようになるのは,2・3か月ころからです。
2 「アーアー」などの意味のない発声を始める。
2歳で意味のない発声をすることはないだろうということはわかると思います。
だいたい6か月前後あたりです。
2歳とはかなり時期が離れています。
3 意味のある単語を言い始める。
意味のある単語を話せるようになるのは1歳くらいからです。
これも2歳とはかなり時期がずれています。
4 集団遊びの決まりごとを守れるようになる。
集団遊びの決まりごとが守れるようになるのは,かなり高度な発達です。
社会学的に言えば「社会化」(社会に適応できるようになること)がみられることだからです。
集団遊びの決まりごとが守れるようになるのは,一般的には4歳以降です。
これも2歳とはかなり時期がずれています。
5 2語文を言い始める。
これが正解です。
2語文を話し始めるのがいつかわからなくても,消去法でこの選択肢が残ります。
〈今日のまとめ〉
国歌試験の問題には,2つのタイプがあります。
1つは答えがすぐわかるタイプです。
もう1つは,今日の問題のように消去法で答えが残るタイプです。
試験委員は慎重に問題をつくります。
特に問題づくりが高度な試験委員は,選択肢を意味なくただ並べるのではなく,受験者がどのような思考で正解にたどりつくかを考えながら選択肢を組み合わせています。
今日の問題は,消去法で答えが残るタイプでした。
しかも,2歳前後というように,ほかの選択肢からは大きく離れた時期を答えにしています。
これが生後6か月ころのものを選ぶ問題だととても難しくなります。
しかし,国家試験ではそのようには出題していません。これが覚えるときのヒントになります。それがわかるようになると,勉強はそんなに大変ではなくなるでしょう。