わが国の難病対策は,長年にわたって厚生労働省事業として行われ,2014年・平成26年の「難病法」(難病の患者に対する医療等に関する法律)によってようやく法的根拠が生まれました。
難病法の指定難病に対しては,医療費が助成されます。
難病とは,発病の機構が明らかでなく,かつ,治療方法が確立していない希少な疾病であって、当該疾病にかかることにより長期にわたり療養を必要とすることとなるものをいいます。
難病法の医療費助成は,都道府県(及び指定都市)が行います。
医療に関するものの多くは,都道府県が行います。
市町村が医療にかかわるものの代表は,障害者総合支援法の自立支援医療のうちの育成医療と更生医療です。
それでは,今日の問題です。
第33回・問題5 障害に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 後天性免疫不全症候群による免疫機能障害は,内部障害に該当しない。
2 「難病法」で定められた指定難病患者の全てに,身体障害者手帳が交付される。
3 外傷性脳損傷による注意力の低下は,高次脳機能障害の症状の一つである。
4 一つの疾患から,複数の身体機能の障害を来すことはない。
5 糖尿病による視覚障害では,身体障害者手帳を取得できない。
(注) 「難病法」とは,「難病の患者に対する医療等に関する法律」のことである。
またまた,高次脳機能障害が出題されて,それが正解となっています。
3 外傷性脳損傷による注意力の低下は,高次脳機能障害の症状の一つである。
高次脳機能障害の症状は,記憶障害,注意障害(ぼんやりすることなど),遂行機能障害(順序立てて行動することができないなど),社会的行動障害(周囲の人に合わせることができなくなるなど)などです。
これ以外も解説します。
1 後天性免疫不全症候群による免疫機能障害は,内部障害に該当しない。
内部障害には,後天性免疫不全症候群による免疫機能障害が含まれます。
2 「難病法」で定められた指定難病患者の全てに,身体障害者手帳が交付される。
身体障害者手帳が交付されるのは,身体障害者福祉法の別表に掲げる身体障害のある者です。
指定難病の対象者であっても,別表に掲げる身体障害がなければ身体障害者手帳の対象にはなりません。
4 一つの疾患から,複数の身体機能の障害を来すことはない。
一つの疾患で,複数の身体機能の障害を来すことはよくあります。
たとえば,脳卒中であれば,身体の麻痺,言語の障害,嚥下機能の障害などがあります。
5 糖尿病による視覚障害では,身体障害者手帳を取得できない。
身体障害者手帳の交付は,原因疾患は問われません。
別表に掲げる身体障害があれば,交付されます。