社会保障費用統計は,額が大きいので,年度によって大きな変化がほとんどありません。
ただし,社会保障給付費の機能別の割合では,近年「家族」の割合が増えてきているため,現時点(2023年10月)では,10%未満区ですが,近い将来は,10%を超えるでしょう。
それでは今日の問題です。
第32回・問題50
「平成28年度社会保障費用統計」(国立社会保障・人口問題研究所)に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 2016年度(平成28年度)の社会保障給付費は,150兆円を超過した。
2 2016年度(平成28年度)の社会保障給付費を部門別(「医療」,「年金」,「福祉その他」)にみると,「福祉その他」の割合は1割に満たない。
3 2016年度(平成28年度)の社会保障給付費を機能別(「高齢」,「保健医療」,「家族」,「失業」など)にみると,「家族」の割合は1割に満たない。
4 2016年度(平成28年度)の社会保障財源における公費負担の割合は,社会保険料の割合よりも大きい。
5 2015年度(平成27年度)における社会支出の国際比較によれば,日本の社会支出の対国内総生産比は,フランスよりも高い。
とても古い統計ですが,今でもそのまま使えます。
社会保障費用統計の出題頻度は極めて高いので,確実に得点したいです。
それでは,解説です。
1 2016年度(平成28年度)の社会保障給付費は,150兆円を超過した。
現時点でも150兆円までは達していません。
2 2016年度(平成28年度)の社会保障給付費を部門別(「医療」,「年金」,「福祉その他」)にみると,「福祉その他」の割合は1割に満たない。
福祉その他は,約2割です。
〈部門別〉
年金 5
医療 3
福祉その他 2
の割合です。
3 2016年度(平成28年度)の社会保障給付費を機能別(「高齢」,「保健医療」,「家族」,「失業」など)にみると,「家族」の割合は1割に満たない。
これが正解です。この問題が出題された時点では,5%もありませんでした。
しかし,近年では,10%に迫るところまで増加しています。
近年,増加している統計としては,男性の育児休業の取得率です。
数年前までは,数パーセントに過ぎなかったものが,近年では10%を超えてきています。
合わせて覚えておきたいです。
4 2016年度(平成28年度)の社会保障財源における公費負担の割合は,社会保険料の割合よりも大きい。
財源割合で,最も大きいのは社会保険料です。
5 2015年度(平成27年度)における社会支出の国際比較によれば,日本の社会支出の対国内総生産比は,フランスよりも高い。
フランスの社会支出は,主要各国の中では最も高くなっています。
高福祉・高負担で知られるスウェーデンよりも上回るくらいです。
〈今日の注意ポイント〉
本文でも書きましたが,社会保障費用統計の出題頻度はかなり高いです。
しかし,勉強不足だと正解できないので,資格試験に適した問題だと言えます。
受験者の差がはっきり出るためです。
今日の問題では,選択肢5などが特に注意が必要です。
日本は社会保障にかかる費用が増えているという一般の人でも知っている知識では,正解することができないからです。
近年,社会保障給付費が増加しているのは確かですが,主要各国と比較すると,日本はまだまだ低いほうの部類だからです。
今日の問題を正解できなかった人は,国家試験までには,社会保障費用統計の問題に強くなるように学習してください。
出るか出ないかわからないものに時間をかけて勉強するよりも,出る確率が高いものを確実に押さえていくことのほうが得点力をアップさせるためには効率的です。