民生費とは,地方公共団体の支出のうち,福祉にかかる費用です。
社会保険に関する費用は含まれません。
前説なしに今日の問題です。
第32回・問題44
「平成31年版地方財政白書」(総務省)における民生費に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 地方公共団体の目的別歳出純計決算額のうち,民生費は教育費に次いで多い。
2 都道府県の目的別歳出では,生活保護費の割合が最も高い。
3 都道府県の性質別歳出では,扶助費の割合が最も高い。
4 市町村の目的別歳出では,児童福祉費の割合が最も高い。
5 市町村の性質別歳出では,人件費の割合が最も高い。
古いデータですが,そのまま使えます。
令和3年度だけは,傾向が変わっている部分がありますが,基本を押さえていれば,大丈夫です。
それでは,解説です。
1 地方公共団体の目的別歳出純計決算額のうち,民生費は教育費に次いで多い。
純計とは,市町村と都道府県の支出額の総計のことです。
目的別歳出の純計で最も高いのは,民生費です。
市町村で最も高いのは,民生費です。
都道府県で最も高いのは,教育費です。
令和3年は,都道府県で最も多いのは商工費となっていますが,これは例の感染症によって,飲食店に対する補償を行なったためです。
2 都道府県の目的別歳出では,生活保護費の割合が最も高い。
民生費の内訳のうち,都道府県で最も高いのは老人福祉費です。
市町村で最も多いのは,児童福祉費です。
純計で最も多いのも児童福祉費です。
老人福祉費ではないの? と思う人も多いと思いますが,高齢者施策の多くは,介護保険制度で行われているため,民生費には計上されません。
3 都道府県の性質別歳出では,扶助費の割合が最も高い。
扶助費とは,住民に対して給付するものです。
多くの福祉サービスは,市町村が行っているため,扶助費が最も高くなっています。
都道府県が多いのは,団体などに給付する補助費等です。
4 市町村の目的別歳出では,児童福祉費の割合が最も高い。
これが正解です。
市町村が最も高いのは,児童福祉費です。
5 市町村の性質別歳出では,人件費の割合が最も高い。
選択肢3の解説に書いた通り,市町村の性質別歳出で最も高いのは,扶助費です。
〈今日の注意ポイント〉
民生費の目的別歳出
純計 児童福祉費
市町村 児童福祉費
都道府県 老人福祉費
純計と市町村では,児童福祉費が最も高いのがポイントです。
何度も何度も繰り返して出題されているので,確実に押さえておきたいです。