同じデータを何年も続けて出題することはめったにあるものではありませんが,生活のしづらさなどに関する調査(全国在宅障害児・者等実態調査)は,
第31回
第32回
第33回
第34回
と4年も続けて出題されました。しかし,しばらくは出題されないように思います。
というのは,令和4年に調査が実施され,そのうち,そのデータが公表されるからです。
厚生労働省
生活のしづらさなどに関する調査(全国在宅障害児・者等実態調査)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/seikatsu_chousa_list.html
しかし,とりあえず,今日の問題で取り上げます。
知らなくても落ち着いて知っている知識を駆使すると,おそらく道は開けます。
第32回・問題56
「平成28年生活のしづらさなどに関する調査(全国在宅障害児・者等実態調査)」(厚生労働省)における障害児・者の実態に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 身体障害者手帳を所持している身体障害児(0~17歳)では,内部障害が最も多い。
2 「障害者手帳所持者等」(65歳未満)で,「障害者総合支援法」に基づく福祉サービスを利用している者は半数を超えている。
3 「障害者手帳所持者等」(65歳未満)で,「今後の暮らしの希望」をみると,「施設で暮らしたい」が最も多い。
4 「障害者手帳所持者等」(65歳未満)で,「困った時の相談相手」をみると,家族が最も多い。
5 「障害者手帳所持者等」(65歳未満)で,「外出の状況」をみると,「1ヶ月に1~2日程度」が最も多い。
(注) 1 「障害者総合支援法」とは,「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」のことである。
2 「障害者手帳所持者等」とは,障害者手帳所持者及び障害者手帳非所持でかつ「障害者総合支援法」に基づく自立支援給付等を受けている者のことである。
この問題の正解は,選択肢4です。
4 「障害者手帳所持者等」(65歳未満)で,「困った時の相談相手」をみると,家族が最も多い。
これを正解にした理由が何となくわかるような気がします。
相談相手は,行政機関や障害福祉サービス事業者ではない,ということを知ってもらいたかったのではないかと思います。
ソーシャルワーク専門職にとって,相談は日常です。そのため,クライエントは困っていることがあると話してくれると思うのは大間違いだということを知っていて,ソーシャルワークを行うことが必要であるということではないかと思います。
正解以外のものも解説します。
1 身体障害者手帳を所持している身体障害児(0~17歳)では,内部障害が最も多い。
最も多いのは肢体不自由です。
2 「障害者手帳所持者等」(65歳未満)で,「障害者総合支援法」に基づく福祉サービスを利用している者は半数を超えている。
約3割です。
3 「障害者手帳所持者等」(65歳未満)で,「今後の暮らしの希望」をみると,「施設で暮らしたい」が最も多い。
施設で暮らしたいと答えたのは,ほんのわずかです。
最も多かったのは,「今までと同じように暮らしたい」です。
5 「障害者手帳所持者等」(65歳未満)で,「外出の状況」をみると,「1ヶ月に1~2日程度」が最も多い。
最も多かったのは,「毎日」です。
〈今日の注意ポイント〉
今日の問題で迷うのは,おそらく選択肢2です。
2 「障害者手帳所持者等」(65歳未満)で,「障害者総合支援法」に基づく福祉サービスを利用している者は半数を超えている。
どのくらいの人がサービスを利用しているのかを知らなくても,半数というのは,かなり多い率です。
身体障害者の中には,福祉用具を使うことで日常生活を送れる人も大勢います。
手指の欠損の障害なら,福祉用具を利用することも必要ではないかもしれません。
そういったことを考え合わせると半数まではないだろうと推測できます。