市町村は,障害者総合支援法の実施主体です。
支給決定は,基本的に市町村が行います。
しかし,障害者総合支援法に規定されているものでも,都道府県の役割もあります。
都道府県の主な役割
自立支援医療の精神通院医療の支給決定
ただし,申込窓口は市町村です。
障害福祉サービス事業者の指定
ただし,指定特定相談支援事業者の指定は市町村が行います。
地域生活支援事業の一部の実施
地域生活支援事業は,基本的に市町村が実施しますが,専門性の高いものや専門職の育成などの事業は,都道府県が実施します。
それでは,今日の問題です。
第32回・問題59
「障害者総合支援法」に定められている市町村の役割などに関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 障害支援区分の認定のための調査を,指定一般相談支援事業者等に委託することができる。
2 障害支援区分の認定に関する審査判定業務を行わせるため,協議会を設置する。
3 市町村障害福祉計画を策定するよう努めなければならない。
4 指定障害福祉サービス事業者の指定を行う。
5 高次脳機能障害に対する支援普及事業などの特に専門性の高い相談支援事業を行う。
市町村と都道府県の役割の違いは,とても複雑に思うかもしれませんが,分野が異なっても,基本的には同じです。
介護保険分野は,地域密着型サービスがあるので,それが普通だと思っていると足元をすくわれます。
市町村が事業者を指定してサービスを提供するするという地域密着型サービスは,社会保障制度全体では,ほかに類似のものがほとんどないタイプのものです。
それでは,解説です。
1 障害支援区分の認定のための調査を,指定一般相談支援事業者等に委託することができる。
これが正解です。
障害支援区分認定は,市町村の役割です。
認定調査は,市町村が実施しますが,指定一般相談支援事業者等に委託することができます。
これを知らずとも,ほかの選択肢を丁寧に考えていけば,結果的にこの選択肢が残ります。
2 障害支援区分の認定に関する審査判定業務を行わせるため,協議会を設置する。
審査判定業務を行うために市町村が設置するのは,市町村審査会です。
3 市町村障害福祉計画を策定するよう努めなければならない。
障害福祉計画は策定の義務があります。
4 指定障害福祉サービス事業者の指定を行う。
サービス提供事業者の指定は,基本的には都道府県の役割です。
市町村が指定するのは,
・特定相談支援事業者
・障害児相談支援事業者
・居宅介護支援事業者
そして,地域密着型サービスなど,ほんの一部しかありません。
これら以外は,基本的には都道府県の役割です。
5 高次脳機能障害に対する支援普及事業などの特に専門性の高い相談支援事業を行う。
地域生活支援事業のうちで,専門性の高いものや専門職の育成などは,都道府県が実施します。
これらは,ほかの分野も共通です。
〈今日の注意ポイント〉
市町村と都道府県の役割は,覚えるのが複雑そうに見えますが,実は極めてシンプルです。
市町村は,基本的な住民サービスを実施します。
都道府県は,市町村では実施できないような専門的なもの,事業者指定などの基盤整備,専門職の育成などを実施します。