2023年10月27日金曜日

同行援護と行動援護

今回は,障害福祉サービスの同行援護と行動援護を取り上げます。

 

同行援護  対象は視覚障害者

外出時に,当該障害者等に同行して移動に必要な情報を提供するとともに,移動の援護その他を行う。

行動援護  対象は知的障害者,精神障害者

当該障害者等が行動する際に生じ得る危険を回避するために必要な援護,外出時における移動中の介護その他を行う。

 

これらは,いずれも障害者総合支援法が規定する障害福祉サービスですが,障害児も利用することができます。

 

児童が利用する場合は,障害支援区分の認定は受けません。

 

それでは,今日の問題です。

 

32回・問題58

事例を読んで,Gさんが利用できる「障害者総合支援法」に基づく障害福祉サービスとして,適切なものを2つ選びなさい。

〔事 例〕

 Gさん(22歳,男性)は20歳の時に脊髄損傷を患い,現在,電動車いすを使用しながら親元で暮らしている。これまで家族から介護を受けて生活をしてきたが,親元を離れ,日中は創作活動などを行いながら自立生活をしていきたいと希望している。一般就労はしておらず,障害支援区分は5で,電動車いすを使って移動が可能だが,手足に麻痺がある。「歩行」,「移乗」,「排尿」,「排便」のいずれも見守りや部分的又は全面的な支援を必要としている。

1 重度訪問介護

2 行動援護

3 生活介護

4 同行援護

5 就労定着支援

 

障害福祉サービスの知識があって,その知識を事例と照らし合わせて考えることが必要な問題です。

 

答えを2つ選ぶ問題は正解するのが難しいので,事例の中にある情報を慎重に整理することが必要です。

 

この事例には,正解を選ぶための情報と消去するための情報がすべて入っています。

 

それでは,解説です。

 

1 重度訪問介護

 

これが2つめの正解です。

 

重度訪問介護の利用対象は,在宅生活者の場合は,障害支援区分4以上です。

 

Gさんは,障害支援区分5,「歩行」,「移乗」,「排尿」,「排便」のいずれも見守りや部分的又は全面的な支援を必要としているという情報から,重度訪問介護は適切です。

 

2 行動援護

 

行動援護は,知的障害者,精神障害者を対象とするものです。

Gさんは,身体障害者です。

 

3 生活介護

 

これが2つめの正解です。

 

生活介護

主として昼間において,障害者支援施設その他の主務省令で定める施設において行われる入浴,排せつ又は食事の介護,創作的活動又は生産活動の機会の提供その他を行う。

 

Gさんは,日中は創作活動などを行いながら自立生活をしていきたいと希望しています。

 

4 同行援護

 

Gさんは,身体障害者です。

同行援護は,視覚障害者を対象とします。

 

5 就労定着支援

 

就労定着支援

就労に向けた支援として主務省令で定めるものを受けて通常の事業所に新たに雇用された障害者に対して,主務省令で定める期間,当該事業所での就労の継続を図るために必要な当該事業所の事業主,障害福祉サービス事業を行う者、医療機関その他の者との連絡調整その他を行う。

 

Gさんは,一般就労していません。

 

〈今日の注意ポイント〉

 

同行援護と行動援護は,名前が似ているので,その違いを確実に押さえることが必要です。

 

同行援護  → 視覚障害者が対象

 

行動援護  → 知的障害者,精神障害者が対象

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