2019年12月2日月曜日

児童の権利に関する条約(児童権利条約)の攻略法~その2

児童の権利に関する条約(児童権利条約)は,国際連合によって,1989年に採択されたものです。

日本は1994(平成6)年に批准しています。

批准とは,条約を国内に適用させます,と宣言するものです。
そのあと,条約を締結します。

このように,条約と批准と締結は,ちょっと違ったものですが,国家試験ではそこの違いを問われることは絶対にあり得ません。

それはさておき,日本が批准するまでに5年の歳月を要しています。

理由は,批准するためには国内法を整備する必要があるからです。
条約は,法的拘束力をもつので,国内法で条約の内容に反するものがあった場合,条約違反となってしまいます。

さて,児童権利条約の骨子は,受動的権利と能動的権利を保障していることです。
それでは,今日の問題です。

第29回・問題138 「児童の権利に関する条約」に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 第1回ホワイトハウス会議で採択された。

2 日本政府は,この条約を批准するための検討を進めている。

3 児童の権利を,能動的権利と受動的権利に関する節に分けて規定している。

4 「児童とは,20歳未満のすべての者をいう」と規定している。

5 「自由に自己の意見を表明する権利の確保」について規定している。


正解は,選択肢5です。

5 「自由に自己の意見を表明する権利の確保」について規定している。

これが能動的権利そのものです。

ほかの選択肢のどこが間違っているのかは,次回で学んでもらうにして,間違えそうなものは,

3 児童の権利を,能動的権利と受動的権利に関する節に分けて規定している。

能動的権利と受動的権利を規定しているのは適切です。

おそらく,この問題は,

3 児童の権利を,能動的権利と受動的権利に関する節に分けて規定している。
5 「自由に自己の意見を表明する権利の確保」について規定している。

で迷う人がいたと思います。

しかし,ここで引っ掛けられてはいけません。

児童権利条約は,能動的権利を規定していることが特徴です。
「自由に自己の意見を表明する権利の確保」は,能動的権利そのものです。

これを自信もって正解にしなければなりません。

選択肢3を見たとき,児童権利条約を読んだことがない,わからない,と思ったら間違えます。
国家試験は,深い知識を求めるような出題はしません。
これは断言できます。

選択肢3が正解なら,

3 児童の権利として,能動的権利と受動的権利を規定している。

でよいはずです。

「節を分けて」という部分が余分です。

これが,チームfukufuku21が提唱している

人は,嘘をつくとき,饒舌になる

という解答テクニックです。

このテクニックを身につけることは難しいかもしれませんが,ここに気がつくことができれば,得点力は大幅にアップします。

3年の過去問を3回解いても,合格する知識は絶対につきません。これは断言します。
3年の過去問を3回解くことに意味があるとしたら,こういったところに気がつくことと言えるでしょう。

国家試験は人が作成します。そのため,よくよく問題文を見ると,間違い選択肢には,ほころびを生じていることがあるのです。


<今日の一言>

今,過去問を解いている人は多いと思います。

3年間の過去問の知識では,国家試験に合格するためには不足します。

社会福祉士の国家試験は,正しいもの(あるいは適切なもの)を選び出すものです。

それ以外は,間違い選択肢ということになります。
間違い選択肢をそれっぽく見せるのは,とても高度な技術を要します。
多くの場合は,文章のどこかに破綻を来しているものです。

しかし,そんな問題は実はそんなに多くはありません。

基礎力が絶対に必要です。

それにもかかわらず,本当に3年間の過去問だけで合格できた人がいたとしたら,それは運がよかったにすぎません。

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