リーダーシップ理論には,3つの流れがあります。
①特性理論
②行動理論
③状況適合理論(コンティンジェンシー理論)
特性理論は,昔のリーダーシップ理論です。
端的に言えば,優れた能力が持つ者がリーダーとなる。
リーダーシップは,生得的だというものです。
優れたリーダーはどのような資質を持っているのか,ということを研究していきます。
しかし,結論は出ることなく,特性理論にとって代わったのが「行動理論」です。
行動理論では,優れたリーダーは資質によるものではなく,行動が優れていると考えます。
PM理論,レヴィンらのリーダーシップ理論,マネジリアル・グリッドなどが行動理論となります。
行動理論の特徴は,優れたリーダーシップ行動は「〇〇だ」と提示していることです。
行動理論をもう一歩進めたものが「状況適合理論(コンティンジェンシー理論)」です。
コンティンジェンシー理論は,特定のリーダーシップ行動が優れているとするとするのではなく,適切なリーダーシップ行動は,状況によって変わると考えるものです。
フィードラー理論,SL理論,パスゴール理論などがコンティンジェンシー理論となります。
コンティンジェンシー理論の特徴は,先述のように,適切なリーダーシップ行動は状況によって変わるものなので,優れたリーダーシップ行動は「〇〇だ」とは言いません。
〈PM理論〉 行動理論
〈マネジリアル・グリッド〉 行動理論
PM理論では「PM型」,マネジリアル・グリッドでは「9・9型」が最も優れたリーダーシップであるとしています。「グリッド」は「格子」を意味しています。
PM理論を格子状に細かくしたものが,マネジリアル・グリッドだと押さえるとよいでしょう。
〈フィードラー理論〉 コンティンジェンシー理論
フィードラー理論は,コンティンジェンシー理論ですから,「タスク(仕事)志向型」と「人間関係志向型」のリーダーシップは,状況によって変わると考えるところに特徴があります。
〈SL理論〉 コンティンジェンシー理論
SL理論が着目しているのは,メンバーの仕事(タスク)に対する習熟度と意欲です。
この図の矢印は,メンバーの習熟度と意欲を表わしています。
<メンバーの習熟度と意欲>
低い → 教示的リーダーシップ
高い → 委任的リーダーシップ
この過渡期にあるものが,説得的リーダーシップであり,参加的リーダーシップです。
〈パス・ゴール理論〉 コンティンジェンシー理論
ブルームらの期待理論に基づき,魅力的なゴール(目標)に至る明確なパス(経路)を示すことがリーダーの役割だとします。
このほかに国家試験では,ウェーバーの支配システム,レヴィンらのリーダーシップ理論,オハイオ州立大学研究,ミシガン大学研究などが出題されています。
ウェーバーの支配システムはともかく,レヴィンらのリーダーシップ理論,オハイオ州立大学研究,ミシガン大学研究は,行動理論に位置づけられます。
それでは,今日の問題です。
第31回・問題120 リーダーシップの理論に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 パス・ゴール理論では,メンバーの目標達成のための道筋を明示することが,リーダーシップの本質であるとしている。
2 フィードラー理論に代表される「条件適合理論」において,リーダーの行動は「構造づくり」と「配慮」に集約される。
3 三隅二不二は,リーダーシップの行動面に注目して,集団の「目標達成行動」と「集団維持機能」の2次元で類型化したSL理論を示した。
4 カリスマ的リーダーシップでは,リーダーのスタイルを任務実行志向と人間関係志向に分類する。
5 マネジリアル・グリッドでは,「人に対する関心」と「業績に対する関心」の2軸で類型化し,「1・1型」が最も理想的なリーダーシップのスタイルであるとしている。