2022年6月30日木曜日

リーダーシップ理論の総まとめ(永久保存版)

リーダーシップ理論には,3つの流れがあります。

 

①特性理論

②行動理論

③状況適合理論(コンティンジェンシー理論)

 

特性理論は,昔のリーダーシップ理論です。

端的に言えば,優れた能力が持つ者がリーダーとなる。

リーダーシップは,生得的だというものです。

 

優れたリーダーはどのような資質を持っているのか,ということを研究していきます。

 

しかし,結論は出ることなく,特性理論にとって代わったのが「行動理論」です。

行動理論では,優れたリーダーは資質によるものではなく,行動が優れていると考えます。

 

PM理論,レヴィンらのリーダーシップ理論,マネジリアル・グリッドなどが行動理論となります。

行動理論の特徴は,優れたリーダーシップ行動は「〇〇だ」と提示していることです。

 

行動理論をもう一歩進めたものが「状況適合理論(コンティンジェンシー理論)」です。

コンティンジェンシー理論は,特定のリーダーシップ行動が優れているとするとするのではなく,適切なリーダーシップ行動は,状況によって変わると考えるものです。

 

フィードラー理論,SL理論,パスゴール理論などがコンティンジェンシー理論となります。

 

コンティンジェンシー理論の特徴は,先述のように,適切なリーダーシップ行動は状況によって変わるものなので,優れたリーダーシップ行動は「〇〇だ」とは言いません。


〈PM理論〉 行動理論















マネジリアル・グリッド〉 行動理論














PM理論では「PM型」,マネジリアル・グリッドでは「9・9型」が最も優れたリーダーシップであるとしています。「グリッド」は「格子」を意味しています。

PM理論を格子状に細かくしたものが,マネジリアル・グリッドだと押さえるとよいでしょう。


〈フィードラー理論〉  コンティンジェンシー理論














フィードラー理論は,コンティンジェンシー理論ですから,「タスク(仕事)志向型」と「人間関係志向型」のリーダーシップは,状況によって変わると考えるところに特徴があります。



〈SL理論〉  コンティンジェンシー理論














SL理論が着目しているのは,メンバーの仕事(タスク)に対する習熟度と意欲です。


この図の矢印は,メンバーの習熟度と意欲を表わしています。

<メンバーの習熟度と意欲>

低い → 教示的リーダーシップ
高い → 委任的リーダーシップ

この過渡期にあるものが,説得的リーダーシップであり,参加的リーダーシップです。



〈パス・ゴール理論〉 コンティンジェンシー理論



ブルームらの期待理論に基づき,魅力的なゴール(目標)に至る明確なパス(経路)を示すことがリーダーの役割だとします。



このほかに国家試験では,ウェーバーの支配システム,レヴィンらのリーダーシップ理論,オハイオ州立大学研究,ミシガン大学研究などが出題されています。


ウェーバーの支配システムはともかく,レヴィンらのリーダーシップ理論,オハイオ州立大学研究,ミシガン大学研究は,行動理論に位置づけられます。


それでは,今日の問題です。


第31回・問題120 リーダーシップの理論に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 パス・ゴール理論では,メンバーの目標達成のための道筋を明示することが,リーダーシップの本質であるとしている。

2 フィードラー理論に代表される「条件適合理論」において,リーダーの行動は「構造づくり」と「配慮」に集約される。

3 三隅二不二は,リーダーシップの行動面に注目して,集団の「目標達成行動」と「集団維持機能」の2次元で類型化したSL理論を示した。

4 カリスマ的リーダーシップでは,リーダーのスタイルを任務実行志向と人間関係志向に分類する。

5 マネジリアル・グリッドでは,「人に対する関心」と「業績に対する関心」の2軸で類型化し,「1・1型」が最も理想的なリーダーシップのスタイルであるとしている。



苦手だ,と思う人にとっては,ちんぷんかんぶんでしょう。

しかし,リーダーシップ理論の出題頻度は高いので,苦手だと思わず覚えるしかありません。

それでは解説です。

1 パス・ゴール理論では,メンバーの目標達成のための道筋を明示することが,リーダーシップの本質であるとしている。

これが正解です。

パス・ゴール理論は,コンティンジェンシー理論です。



2 フィードラー理論に代表される「条件適合理論」において,リーダーの行動は「構造づくり」と「配慮」に集約される。


リーダーの行動は「構造づくり」と「配慮」に集約されるとしたのは,オハイオ州立大学研究です。

オハイオ州立大学研究は,行動理論です。


3 三隅二不二は,リーダーシップの行動面に注目して,集団の「目標達成行動」と「集団維持機能」の2次元で類型化したSL理論を示した。

三隅先生が提唱したのは,PM理論です。

PM理論も行動理論です。



4 カリスマ的リーダーシップでは,リーダーのスタイルを任務実行志向と人間関係志向に分類する。

リーダーのスタイルを任務実行志向と人間関係志向に分類するのは,フィードラー理論です。


フィードラー理論は,コンティンジェンシー理論です。


5 マネジリアル・グリッドでは,「人に対する関心」と「業績に対する関心」の2軸で類型化し,「1・1型」が最も理想的なリーダーシップのスタイルであるとしている。

マネジリアル・グリッドが最も理想的なリーダーシップだとしたのは,「9・9型」です。

マネジリアル・グリッドは,行動理論です。

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