2020年1月14日火曜日

労働法規の徹底理解~求職者支援法

今回から「就労支援サービス」を学んでいきます。

「就労支援サービス」と「更生保護制度」は,4問ずつの出題数のため,2科目で1群とみなし,8問のうち,1点が取れればよいことになっています。

しばしば「すべての科目で得点しなければならない」という声を聞きますが,「すべての科目」ではなく,「すべての科目群」です。

つまり,国家試験は「19科目」ではなく,「18科目群」だということになります。

国家試験終了後に「就労支援サービス(あるいは更生保護制度)が0点だった。不合格だ」と言う人がいますが,そうではありません。どちらかの科目で1点取れていれば,足切りに遭うことはありません。

さて,「就労支援サービス」は,第22回から始まった現在のカリキュラムによる国家試験で登場した科目です。

しかし,第37回から始まる新しいカリキュラムによる国家試験では,この科目はなくなります。独立した科目にせずとも,関連領域の科目で学ぶことができるからでしょう。

さて,「就労支援サービス」の第1回は,「求職者支援法」(職業訓練の実施等による特定求職者の就職の支援に関する法律)を学びましょう。

同法は,2011(平成23)年に成立した比較的新しい法です。

法の概要
雇用保険の失業等給付の受給資格のない「特定求職者」に対して,職業訓練の実施,当該職業訓練を受けることを容易にするための給付金の支給,その他の就職に関する支援措置を講ずる。


つまり,同法は雇用保険を補完するためのものです。
そのため,雇用保険を受給できる者は,職業訓練受講給付金を受給することができません。

一応,雇用保険も整理しておきましょう。


労働者
適用事業に雇用される労働者。
離職
被保険者が事業主との雇用関係が終了すること。
失業
被保険者が離職し,労働の意思及び能力を有するにもかかわらず,職業に就くことができない状態にあること。
雇用保険の適用条件
一週間の所定労働時間が20時間以上ある者。
同一の事業主の適用事業に継続して31日以上雇用されることが見込まれる者。

それでは,今日の問題です。

第29回・問題144 「求職者支援法」に基づく求職者支援制度の利用対象となり得る場合として,正しいものを2つ選びなさい。

1 個人事業を廃業した者が企業に就職したい場合

2 現在雇用保険の被保険者である者が転職したい場合

3 雇用保険に加入できずに企業で働いていたが,現在失業している者が職業訓練を受講したい場合

4 就労経験のない大学生が職業訓練を受講したい場合

5 現在失業している者が雇用保険の失業等給付を受給しながら職業訓練を受講したい場合


「求職者支援制度の利用対象となり得る場合」とは,雇用保険の失業等給付を受給できないものを指します。

正解は,

1 個人事業を廃業した者が企業に就職したい場合
3 雇用保険に加入できずに企業で働いていたが,現在失業している者が職業訓練を受講したい場合

雇用保険は,適用事業所に雇用される労働者のための社会保険なので,個人事業主は加入することはできません。
選択肢3は,「雇用保険に加入できなかった」と明記されています。


それでは,ほかの選択肢も見ていきましょう。


2 現在雇用保険の被保険者である者が転職したい場合

離職した場合は,失業等給付を受給できる可能性があります。


4 就労経験のない大学生が職業訓練を受講したい場合

大学生は,対象となりません。
ただし,大学を卒業しても就職が決まらなかった者は対象となります。


5 現在失業している者が雇用保険の失業等給付を受給しながら職業訓練を受講したい場合

雇用保険の失業等給付と求職者支援法の職業訓練受講給付金の併給はできません。
なぜなら,先に述べたように,求職者支援法は,雇用保険を補完するための法制度だからです。

ただし,失業等給付の支給期間を過ぎても仕事が決まらなかった場合は,職業訓練受講給付金を受給することができます。


<今日の一言>


法制度は,範囲を定めて法を適用します。
求職者支援法は,雇用保険を補完する法制度です。

これから数回にわたって,労働法規を学んだいきます。
たくさんの法制度が出てきますが,法の対象を意識して覚えると良いです。

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