2021年10月30日土曜日

生活保護法が規定する基本原理と原則

今回は,生活保護法が規定する基本原理と原則を取り上げます。


この学習部屋では過去に何度も取り上げて来ました。


理由は,わかりますか?


それだけ,出題が多いということです。


それにもかかわらず,覚えるのが面倒だからといった理由で,勉強をおろそかにする人が多いみたいです。


何ともったいないことをするのでしょう。


過去にかなり力を入れて整理した記事があるので,まずはそれを読んでみてください。


そしてここに戻ってきてください。

https://fukufuku21.blogspot.com/2018/09/1_9.html


私たちで分担して作りましたが,とてもわかりやすいのではないかと思います。


かなりの力作です。


それでは,今日の問題です。


第22回・問題60 生活保護法における基本原理及び原則に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 無差別平等の保護とは,生活に困窮した国民は無条件で保護を受ける資格があるという意味である。

2 保護の申請は,要保護者の扶養義務者には認められていない。

3 急迫した事由がある場合には,保護の要件を満たしていなくとも申請を受け付けた上で緊急的に保護を開始することができる。

4 保護は,個人を単位としているが,特別の場合には世帯を単位とすることもできる。

5 民法に定める扶養義務者の扶養及び他の法律に定める扶助は,生活保護法による保護に優先して行われる。


こういった問題を見ると,勉強をおろそかにしたくなる気持ちがわかるようです。


合格する人とそうでない人の違いは,このようなものを正解できるかできないかの違いです。


決して難しい問題を正解しなければ合格できないという試験ではありません。


今日の問題のように,出題頻度が高く,そして覚えにくいものを覚えた人は合格し,覚えられなかった人は,残念な結果となります。


悔しい思いをしたくなけれぱ,覚えにくいものこそ覚えるべきではないかと思います。


それでは,解説です。


1 無差別平等の保護とは,生活に困窮した国民は無条件で保護を受ける資格があるという意味である。


無差別平等は,無条件という意味では決してありません。生活保護法が定める要件が必要です。


2 保護の申請は,要保護者の扶養義務者には認められていない。


この選択肢は,国試の癖を考えたとき,とても重要なことを教えてくれます。


国家試験を作成する試験委員は「人」です。


多くの試験委員は,「無」から「有」を作り出すことはしません。


つまり元ネタがあって,そこから問題文を考えます。


この場合は,「要保護者の扶養義務者」も保護の申請をすることができる,という規定が元ネタです。


3 急迫した事由がある場合には,保護の要件を満たしていなくとも申請を受け付けた上で緊急的に保護を開始することができる。


うっかりすると間違ってしまいそうな選択肢です。


急迫,つまり放っておくと生死にかかわるような場合は,職権保護が行われます。


申請を受け付けて保護を開始することができるくらいなら,急迫した状況とは言えないと思いませんか。


急迫している場合は,申請がなくても保護します。


4 保護は,個人を単位としているが,特別の場合には世帯を単位とすることもできる。


世帯単位の原則です。


原則は,世帯単位です。必要な場合に世帯分離を行って,個人単位で保護することもあります。


5 民法に定める扶養義務者の扶養及び他の法律に定める扶助は,生活保護法による保護に優先して行われる。


これが正解です。


生活保護制度は,最も下に位置します。


ほかの制度では救済されない場合,最後の最後の切り札として,生活保護制度で救済します。

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