社会福祉士の国家試験は,19科目18群(就労支援サービスと更生保護制度は2科目で1群)で実施されます。
問題の難易度によって合格基準点は補正されますが,6割程度がいわゆるボーダーラインとなります。
これを超えるために今まで勉強してきました。
今の国家試験は,残念ながら知識不足で合格できるものではありません。
知識をひたすら積み上げてきた人が合格できる試験です。
最低限の知識は,合格するための必要条件です。
しかし,十分条件ではありません。
確実な知識にプラスして必要なのは,問題を解く力です。
何度か国家試験を受験しても合格ラインに到達しない方に共通して言えることは,暗記することに力を入れすぎて,問題を解く力をつけることがおろそかになっている傾向があるように思います。
しかし,残念ながら問題を解く力をつけるには,時間がかかります。一朝一夕につくものではありません。
知識をつけるのは,即効性がありますが,問題を解く力はすぐつかないのです。
そこで,今まで紹介してきた主だった解答テクニックをまとめます。
人は嘘をつくとき饒舌になる。
あいまい表現に正解多し。
言い切り表現に正解少なし。
などたくさんあります。
チームfukufuku21からのプレゼントです。
解答テクニック集
https://fukufuku21.blogspot.com/2017/11/blog-post_16.html
https://fukufuku21.blogspot.com/2019/01/blog-post_25.html
https://fukufuku21.blogspot.com/2019/09/blog-post_4.html
https://fukufuku21.blogspot.com/2019/12/blog-post_2.html
https://fukufuku21.blogspot.com/2018/01/blog-post_19.html
https://fukufuku21.blogspot.com/2019/10/blog-post_9.html
https://fukufuku21.blogspot.com/2019/10/blog-post_8.html
https://fukufuku21.blogspot.com/2019/10/blog-post.html
https://fukufuku21.blogspot.com/2019/09/blog-post_20.html
https://fukufuku21.blogspot.com/2018/11/blog-post_13.html
https://fukufuku21.blogspot.com/2018/07/blog-post_19.html
https://fukufuku21.blogspot.com/2018/06/blog-post_14.html
https://fukufuku21.blogspot.com/2018/04/5_8.html
https://fukufuku21.blogspot.com/2018/04/31.html
https://fukufuku21.blogspot.com/2018/04/blog-post_5.html
https://fukufuku21.blogspot.com/2018/03/31_25.html
https://fukufuku21.blogspot.com/2018/02/30_16.html
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国家試験は,消去法が最も有効な解答テクニックです。
ぜひ参考にして,国試で確実に正解してください。
2020年1月31日金曜日
2020年1月30日木曜日
職場適応援助者(ジョブコーチ)の職務~その2
今回も職場適応援助者(ジョブコーチ)を学んでいきます。
職場適応援助者(ジョブコーチ)は,障害者が職場に適応できるよう職場に出向き,一定期間継続的に支援するとともに,職場の上司や同僚等にも必要な助言等を行います。
それでは,今日の問題です。
第30回・問題145 職場適応援助者(ジョブコーチ)の役割に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 事業所に対し,支援対象者のために新規の事業を用意するよう要求する。
2 事業所に代わって,職場外で支援対象者の職業訓練を行う。
3 事業所の求人ニーズに合わせて,求職者をあっせんする。
4 支援当初は支援対象者と職場で一緒にいる時間を少なくし,徐々にその時間を増やしていく。
5 支援対象者が職場の同僚とコミュニケーションを図ることができるよう調整する。
この問題は,それほど簡単ではありません。
就労支援サービスは,最後の方の科目なので,疲れ切った中で解かなければならないからです。
国試の文字数は,おそらく第31回と同じくらいのボリュームになるはずです。
第30回は近年では最も文字数が少なかった国試です。第31回からは,ちょっと文字数を増やしました。
問題文が長くなるということは,考えることが必要な問題になるということです。
さて,この問題の正解は,選択肢5です。
5 支援対象者が職場の同僚とコミュニケーションを図ることができるよう調整する。
素直に問題を読めないと,何か裏があるのではないかと疑心暗鬼になります。
十二分に気をつけましょう。
それでは,ほかの選択肢も見てみましょう。
1 事業所に対し,支援対象者のために新規の事業を用意するよう要求する。
こんなことまではしません。
2 事業所に代わって,職場外で支援対象者の職業訓練を行う。
職業訓練は行いません。
解答テクニック的に言えば,「〇〇に変わって,〇〇する」といった出題は多くの場合,正解にはなりません。
3 事業所の求人ニーズに合わせて,求職者をあっせんする。
あっせんはしません。
4 支援当初は支援対象者と職場で一緒にいる時間を少なくし,徐々にその時間を増やしていく。
最初にかかわる時間を長くとり,徐々に短くしていきます。
<今日の一言>
重箱の隅をつつくような
という表現があります。
社会福祉士の国家試験は,重箱の隅をつつくような出題はありません。
もし,細かい出題がなされるなら,それはおそらく正解選択肢にはなり得ないと言えます。
国試では,素直に読んで,素直に答えた方が,最終的には良い結果に結びつくことが多いようです。
今日の問題が,ちょっと高度である理由は,考えさせる問題だからです。
これからもこういったタイプの問題は出題されます。
ワーカーは多くの場合,誰かの判断を仰ぎながら活動するタイプの職種ではありません。
だからこそこのようなタイプの問題を出題します。
重箱の隅をつつくような問題よりも何倍の意義のある国試問題になります。
果たして今年はどんな問題が出題されることでしょうか。
私たちは,どんな問題にも対応できるように,様々な情報を実際の問題を解きながら提供してきました。
ずっと読んできていただいた方には深く感謝いたします。解答テクニックも存分に活用して,問題に立ち向かいましょう!
チームfukufuku21メンバー一同
職場適応援助者(ジョブコーチ)は,障害者が職場に適応できるよう職場に出向き,一定期間継続的に支援するとともに,職場の上司や同僚等にも必要な助言等を行います。
それでは,今日の問題です。
第30回・問題145 職場適応援助者(ジョブコーチ)の役割に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 事業所に対し,支援対象者のために新規の事業を用意するよう要求する。
2 事業所に代わって,職場外で支援対象者の職業訓練を行う。
3 事業所の求人ニーズに合わせて,求職者をあっせんする。
4 支援当初は支援対象者と職場で一緒にいる時間を少なくし,徐々にその時間を増やしていく。
5 支援対象者が職場の同僚とコミュニケーションを図ることができるよう調整する。
この問題は,それほど簡単ではありません。
就労支援サービスは,最後の方の科目なので,疲れ切った中で解かなければならないからです。
国試の文字数は,おそらく第31回と同じくらいのボリュームになるはずです。
第30回は近年では最も文字数が少なかった国試です。第31回からは,ちょっと文字数を増やしました。
問題文が長くなるということは,考えることが必要な問題になるということです。
さて,この問題の正解は,選択肢5です。
5 支援対象者が職場の同僚とコミュニケーションを図ることができるよう調整する。
素直に問題を読めないと,何か裏があるのではないかと疑心暗鬼になります。
十二分に気をつけましょう。
それでは,ほかの選択肢も見てみましょう。
1 事業所に対し,支援対象者のために新規の事業を用意するよう要求する。
こんなことまではしません。
2 事業所に代わって,職場外で支援対象者の職業訓練を行う。
職業訓練は行いません。
解答テクニック的に言えば,「〇〇に変わって,〇〇する」といった出題は多くの場合,正解にはなりません。
3 事業所の求人ニーズに合わせて,求職者をあっせんする。
あっせんはしません。
4 支援当初は支援対象者と職場で一緒にいる時間を少なくし,徐々にその時間を増やしていく。
最初にかかわる時間を長くとり,徐々に短くしていきます。
<今日の一言>
重箱の隅をつつくような
という表現があります。
社会福祉士の国家試験は,重箱の隅をつつくような出題はありません。
もし,細かい出題がなされるなら,それはおそらく正解選択肢にはなり得ないと言えます。
国試では,素直に読んで,素直に答えた方が,最終的には良い結果に結びつくことが多いようです。
今日の問題が,ちょっと高度である理由は,考えさせる問題だからです。
これからもこういったタイプの問題は出題されます。
ワーカーは多くの場合,誰かの判断を仰ぎながら活動するタイプの職種ではありません。
だからこそこのようなタイプの問題を出題します。
重箱の隅をつつくような問題よりも何倍の意義のある国試問題になります。
果たして今年はどんな問題が出題されることでしょうか。
私たちは,どんな問題にも対応できるように,様々な情報を実際の問題を解きながら提供してきました。
ずっと読んできていただいた方には深く感謝いたします。解答テクニックも存分に活用して,問題に立ち向かいましょう!
チームfukufuku21メンバー一同
2020年1月29日水曜日
職場適応援助者(ジョブコーチ)の職務
今回は,職場適応援助者(ジョブコーチ)を取り上げます。
職場適応援助者(ジョブコーチ)とは
それでは,今日の問題です。
第25回・問題146 障害者が職場に適応できるよう職場に出向き,一定期間継続的に支援するとともに,職場の上司や同僚等にも必要な助言等を行う職場適応援助者(ジョブコーチ)に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 職場適応援助者の就労支援の対象となる障害者は,障害者手帳を持つ者に限られる。
2 職場適応援助者は,地域障害者職業センターだけでなく,社会福祉法人等が設置する就労継続支援B型事業所や民間企業にも配置されている場合がある。
3 職場適応援助者の養成研修及び支援スキル向上研修を行っているのは,独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構だけである。
4 職場適応援助者による就労支援を受ける障害者は,障害者総合支援法に基づき,それに要する費用について,本人の収入に応じて一部負担が求められる。
5 職場適応援助者の資格要件については,障害者職業カウンセラーと同様,「障害者雇用促進法」で規定されている。
今は,このように,設問の中に説明を含めた出題はありません。
現在はおそらく問題文に文字数制限があるので,このような出題スタイルはとらないと思います。
この問題の正解は,選択肢2です。
2 職場適応援助者は,地域障害者職業センターだけでなく,社会福祉法人等が設置する就労継続支援B型事業所や民間企業にも配置されている場合がある。
「場合がある」は,「ことがある」と同様に正解になりやすい傾向があります。
覚えておきましょう。
それでは,ほかの選択肢も見てみましょう。
1 職場適応援助者の就労支援の対象となる障害者は,障害者手帳を持つ者に限られる。
障害者手帳を持たなくても支援対象になります。
3 職場適応援助者の養成研修及び支援スキル向上研修を行っているのは,独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構だけである。
「だけである」みたいな分かりやすい表現はもうされないと思いますが,もちろん「だけ」ではありません。
4 職場適応援助者による就労支援を受ける障害者は,障害者総合支援法に基づき,それに要する費用について,本人の収入に応じて一部負担が求められる。
職場適応援助者は,障害者雇用促進法に基づく就労支援サービスです。
一部負担なく,利用することができます。
5 職場適応援助者の資格要件については,障害者職業カウンセラーと同様,「障害者雇用促進法」で規定されている。
職場適応援助者の資格要件は,障害者雇用促進法では規定されていません。
<今日の一言>
今日の問題は,問題の質はあまり高くはありません。
日本語的に解けてしまうからです。
1 職場適応援助者の就労支援の対象となる障害者は,障害者手帳を持つ者に限られる。
2 職場適応援助者は,地域障害者職業センターだけでなく,社会福祉法人等が設置する就労継続支援B型事業所や民間企業にも配置されている場合がある。
3 職場適応援助者の養成研修及び支援スキル向上研修を行っているのは,独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構だけである。
4 職場適応援助者による就労支援を受ける障害者は,障害者総合支援法に基づき,それに要する費用について,本人の収入に応じて一部負担が求められる。
5 職場適応援助者の資格要件については,障害者職業カウンセラーと同様,「障害者雇用促進法」で規定されている。
この中で,日本語的に解けないのは,
4 職場適応援助者による就労支援を受ける障害者は,障害者総合支援法に基づき,それに要する費用について,本人の収入に応じて一部負担が求められる。
これだけは,知識が必要です。
しかし,それ以外の選択肢はすべて日本語的に解けてしまいます。
おそらくこのような出題はされないでしょう。
しかし,解答テクニック的にぜひ覚えておいてほしい問題です。
1 職場適応援助者の就労支援の対象となる障害者は,障害者手帳を持つ者に限られる。
2 職場適応援助者は,地域障害者職業センターだけでなく,社会福祉法人等が設置する就労継続支援B型事業所や民間企業にも配置されている場合がある。
3 職場適応援助者の養成研修及び支援スキル向上研修を行っているのは,独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構だけである。
5 職場適応援助者の資格要件については,障害者職業カウンセラーと同様,「障害者雇用促進法」で規定されている。
職場適応援助者(ジョブコーチ)とは
配置
|
地域障害者職業センター
福祉施設
一般企業
|
職務
|
障害者が職場に適応できるよう職場に出向き,一定期間継続的に支援するとともに,職場の上司や同僚等にも必要な助言等を行う
|
それでは,今日の問題です。
第25回・問題146 障害者が職場に適応できるよう職場に出向き,一定期間継続的に支援するとともに,職場の上司や同僚等にも必要な助言等を行う職場適応援助者(ジョブコーチ)に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 職場適応援助者の就労支援の対象となる障害者は,障害者手帳を持つ者に限られる。
2 職場適応援助者は,地域障害者職業センターだけでなく,社会福祉法人等が設置する就労継続支援B型事業所や民間企業にも配置されている場合がある。
3 職場適応援助者の養成研修及び支援スキル向上研修を行っているのは,独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構だけである。
4 職場適応援助者による就労支援を受ける障害者は,障害者総合支援法に基づき,それに要する費用について,本人の収入に応じて一部負担が求められる。
5 職場適応援助者の資格要件については,障害者職業カウンセラーと同様,「障害者雇用促進法」で規定されている。
今は,このように,設問の中に説明を含めた出題はありません。
現在はおそらく問題文に文字数制限があるので,このような出題スタイルはとらないと思います。
この問題の正解は,選択肢2です。
2 職場適応援助者は,地域障害者職業センターだけでなく,社会福祉法人等が設置する就労継続支援B型事業所や民間企業にも配置されている場合がある。
「場合がある」は,「ことがある」と同様に正解になりやすい傾向があります。
覚えておきましょう。
それでは,ほかの選択肢も見てみましょう。
1 職場適応援助者の就労支援の対象となる障害者は,障害者手帳を持つ者に限られる。
障害者手帳を持たなくても支援対象になります。
3 職場適応援助者の養成研修及び支援スキル向上研修を行っているのは,独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構だけである。
「だけである」みたいな分かりやすい表現はもうされないと思いますが,もちろん「だけ」ではありません。
4 職場適応援助者による就労支援を受ける障害者は,障害者総合支援法に基づき,それに要する費用について,本人の収入に応じて一部負担が求められる。
職場適応援助者は,障害者雇用促進法に基づく就労支援サービスです。
一部負担なく,利用することができます。
5 職場適応援助者の資格要件については,障害者職業カウンセラーと同様,「障害者雇用促進法」で規定されている。
職場適応援助者の資格要件は,障害者雇用促進法では規定されていません。
<今日の一言>
今日の問題は,問題の質はあまり高くはありません。
日本語的に解けてしまうからです。
1 職場適応援助者の就労支援の対象となる障害者は,障害者手帳を持つ者に限られる。
2 職場適応援助者は,地域障害者職業センターだけでなく,社会福祉法人等が設置する就労継続支援B型事業所や民間企業にも配置されている場合がある。
3 職場適応援助者の養成研修及び支援スキル向上研修を行っているのは,独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構だけである。
4 職場適応援助者による就労支援を受ける障害者は,障害者総合支援法に基づき,それに要する費用について,本人の収入に応じて一部負担が求められる。
5 職場適応援助者の資格要件については,障害者職業カウンセラーと同様,「障害者雇用促進法」で規定されている。
この中で,日本語的に解けないのは,
4 職場適応援助者による就労支援を受ける障害者は,障害者総合支援法に基づき,それに要する費用について,本人の収入に応じて一部負担が求められる。
これだけは,知識が必要です。
しかし,それ以外の選択肢はすべて日本語的に解けてしまいます。
おそらくこのような出題はされないでしょう。
しかし,解答テクニック的にぜひ覚えておいてほしい問題です。
1 職場適応援助者の就労支援の対象となる障害者は,障害者手帳を持つ者に限られる。
2 職場適応援助者は,地域障害者職業センターだけでなく,社会福祉法人等が設置する就労継続支援B型事業所や民間企業にも配置されている場合がある。
3 職場適応援助者の養成研修及び支援スキル向上研修を行っているのは,独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構だけである。
5 職場適応援助者の資格要件については,障害者職業カウンセラーと同様,「障害者雇用促進法」で規定されている。
選択肢5が正解なら,
5 職場適応援助者の資格要件については,「障害者雇用促進法」で規定されている。
でよいはずです。それをわざわざ「障害者職業カウンセラーと同様」と加えているのは,受験者を混乱させようとしているからです。
解答テクニック的には,
人は嘘をつく時は饒舌になる
というものです。
こういったところに気がつくと得点力は飛躍的に伸びます。
2020年1月28日火曜日
合格・不合格は紙一重~その差は何?
社会福祉士の国家試験は「公益財団法人 社会福祉振興・試験センター」が実施しています。
国家試験は,平成元年に始まりました。
第32回国家試験は節目の年になります。
そうです。第32回国家試験は,令和になって初めての試験です。
今後,ほかの人に説明する時,「私は令和最初の国家試験合格者です」と言えます。
さて,今日のテーマは「合格・不合格は紙一重~その差は何?」です。
結論を先に言えば,合格に向けた気持ちの強弱です。
「合格したい」という強い気持ちをもって,勉強してきましたか?
「はい」
と答えられる人は,自分に自信を持って国家試験に臨みましょう。
「いいえ」
と答える人は,発想の転換をしましょう。
いわゆるリフレーミングです。
受験できることは,自分では意識しないかもしれませんが,「合格したい」という気持ちがあるから実現したものです。
国家試験で実力を発揮する人は,自分に自信が持てる人です。
「合格したい」という強い気持ちをもって,勉強してきました?
の問いに対して,
気持ちだけでも良いので
はい,自分のできる範囲でベストを尽くしました。
と思いましょう。
勉強が足りないと思っても,「自分の中ではベストを尽くした」と思えると最後の最後に大きな力を発揮します。
それでは,繰り返しましょう。
「合格したい」という強い気持ちをもって,勉強してきましたか?
はい,自分のできる範囲でベストを尽くしました。
もう一度繰り返しましょう。
はい,自分のできる範囲でベストを尽くしました。
<今日の一言>
ネガティブ思考は捨てましょう。
社会福祉士の国家試験は,社会福祉士のあるべき姿を求めています。
自分自身にポジティブになれるワーカーは,クライエントに対してリフレーミングすることができます。
社会福祉振興・試験センターは,受験者の受験データは発表していませんが,模擬試験の実施団体が発表するデータを見る限り,平均点を中心とした正規分布を示しています。
そして,大半の人が,上位から30%の点数を基準として,プラスマイナス10点の範囲に入っています。
この得点分布は,国家試験でもおそらく一緒だと考えられます。
ネガティブ思考の人は,自分に自信が持てないので,せっかく正解を選んでも答えを変えて間違えます。
ポジティブ思考の人は,自分に自信あるので,最初に「答えはこれ!」と思ったものは,簡単には変えません。
多くの場合は最初に「答えはこれ!」と思うものが正解となります。
後から読んで答えを変えるのは,明らかに読み間違いをしていた時にとどめるのが適切です。
※今日の問題はお休みします。
国家試験は,平成元年に始まりました。
第32回国家試験は節目の年になります。
そうです。第32回国家試験は,令和になって初めての試験です。
今後,ほかの人に説明する時,「私は令和最初の国家試験合格者です」と言えます。
さて,今日のテーマは「合格・不合格は紙一重~その差は何?」です。
結論を先に言えば,合格に向けた気持ちの強弱です。
「合格したい」という強い気持ちをもって,勉強してきましたか?
「はい」
と答えられる人は,自分に自信を持って国家試験に臨みましょう。
「いいえ」
と答える人は,発想の転換をしましょう。
いわゆるリフレーミングです。
受験できることは,自分では意識しないかもしれませんが,「合格したい」という気持ちがあるから実現したものです。
国家試験で実力を発揮する人は,自分に自信が持てる人です。
「合格したい」という強い気持ちをもって,勉強してきました?
の問いに対して,
気持ちだけでも良いので
はい,自分のできる範囲でベストを尽くしました。
と思いましょう。
勉強が足りないと思っても,「自分の中ではベストを尽くした」と思えると最後の最後に大きな力を発揮します。
それでは,繰り返しましょう。
「合格したい」という強い気持ちをもって,勉強してきましたか?
はい,自分のできる範囲でベストを尽くしました。
もう一度繰り返しましょう。
はい,自分のできる範囲でベストを尽くしました。
<今日の一言>
ネガティブ思考は捨てましょう。
社会福祉士の国家試験は,社会福祉士のあるべき姿を求めています。
自分自身にポジティブになれるワーカーは,クライエントに対してリフレーミングすることができます。
社会福祉振興・試験センターは,受験者の受験データは発表していませんが,模擬試験の実施団体が発表するデータを見る限り,平均点を中心とした正規分布を示しています。
そして,大半の人が,上位から30%の点数を基準として,プラスマイナス10点の範囲に入っています。
この得点分布は,国家試験でもおそらく一緒だと考えられます。
ネガティブ思考の人は,自分に自信が持てないので,せっかく正解を選んでも答えを変えて間違えます。
ポジティブ思考の人は,自分に自信あるので,最初に「答えはこれ!」と思ったものは,簡単には変えません。
多くの場合は最初に「答えはこれ!」と思うものが正解となります。
後から読んで答えを変えるのは,明らかに読み間違いをしていた時にとどめるのが適切です。
※今日の問題はお休みします。
2020年1月27日月曜日
障害者雇用促進法が規定する就労支援
障害者の就労支援に関する法制度は,障害者総合支援法と障害者雇用促進法があります。
それぞれの事業は,簡単にでも説明できますか?
それでは,今日の問題です。
第24回・問題145 障害者雇用及び職業リハビリテーション関係機関等で就労支援に携わる専門職等の役割に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 「障害者雇用促進法」に基づき,5人以上の障害者を雇用する事業所で選任しなければならないとされる障害者職業生活相談員の主な役割は,事業所か障害者雇用率を達成できるよう,公共職業安定所と協力して,障害者の新規採用を進めることである。
2 障害者職業センターに配置されている障害者職業カウンセラーの主な役割は,就職先を探している重度障害者に対して,公共職業安定所に代わり,職業紹介をすることである。
3 障害者職業センターに配置されている職場適応援助者(ジョブコーチ)の主な役割は,事業所に出向いて障害者や事業主に対して,雇用の前後を通じて,障害特性を踏まえた専門的な援助を行うことである。
4 障害者就業・生活支援センターに配置される生活支援担当職員の主な役割は,事業主に対して障害者の就職後の雇用管理に係る助言等を行うことである。
5 就労移行支援事業に配置される就労支援員の主な役割は,同事業を利用している障害者が,就労継続支援事業に移行し,そこで就労できるよう支援することである。
国家試験は本当に難しいと思います。
この問題の正解は,選択肢3です。
3 障害者職業センターに配置されている職場適応援助者(ジョブコーチ)の主な役割は,事業所に出向いて障害者や事業主に対して,雇用の前後を通じて,障害特性を踏まえた専門的な援助を行うことである。
難しいと思う理由は,以下の選択肢があるからです。
1 「障害者雇用促進法」に基づき,5人以上の障害者を雇用する事業所で選任しなければならないとされる障害者職業生活相談員の主な役割は,事業所か障害者雇用率を達成できるよう,公共職業安定所と協力して,障害者の新規採用を進めることである。
この選択肢の間違いは,「障害者職業生活相談員」のところが正しくは「障害者雇用推進者」です。
どちらもあまりなじみのないものでしょう。
この選択肢を消去するためには,
障害者職業生活相談員の主な役割
障害者の新規採用を進めること
ここがそぐわないと思うことです。
障害者職業生活相談員がわからないと思うと試験委員が仕掛けたトラップにはまって,焦り混乱するので要注意です。
そのほかの選択肢も見てみましょう。
2 障害者職業センターに配置されている障害者職業カウンセラーの主な役割は,就職先を探している重度障害者に対して,公共職業安定所に代わり,職業紹介をすることである。
おそらく勉強不足の受験者は,この選択肢を選んだものと思います。
カウンセラー
職業紹介
が結び付いてしまうからです。
障害者職業カウンセラーは,地域障害者職業センターに配置されて,職業リハビリテーションにかかわります。
具体的には,職業評価,職業指導,職業準備訓練などを実施します。
この選択肢を消去するためのポイントは,
公共職業安定所に代わり
に着目することです。
法制度は,別の制度が適用されないときに,新しい法制度を作って補完します。
2つの制度が重なり合うようにはなりません。
これが「縦割り」という意味です。
4 障害者就業・生活支援センターに配置される生活支援担当職員の主な役割は,事業主に対して障害者の就職後の雇用管理に係る助言等を行うことである。
障害者就業・生活支援センターは,障害者の就業及び生活支援を行います。
就業にかかわるのは,就業支援担当職員です。
生活支援にかかわるのは,生活支援担当職員です。
5 就労移行支援事業に配置される就労支援員の主な役割は,同事業を利用している障害者が,就労継続支援事業に移行し,そこで就労できるよう支援することである。
就労移行支援事業に配置される就労支援員は,就労支援にかかわるのは正しいです。しかし,就労移行支援事業は,一般就労を目指すものです。
結果的には,一般就労に結び付かず,就労継続支援を利用することになる障害者もいるかもしれません。
しかし,最初から就労継続支援事業で就労を目指すというのは,就労移行支援事業の目的とは異なります。
一般就労できるように,企業実習などを行います。
<今日の一言>
国家試験で重要なのは,落ち着いて問題文を読むこと
基本的なことですが,意外と難しいものです。
なぜなら,今日の問題のように,最初の選択肢に難しめの選択肢があった場合,浮足立ってしまうからです。
障害者職業カウンセラーのように,職名から職務内容が推測しにくいものもありますが,多くの場合は,事業名や職名から,その内容が推測できるものがほとんどです。
知らないものが出題されても,決して浮足立つことなく,落ち着いて問題文を読んで,推測することが大切です。
障害者総合支援法に基づく就労支援事業
|
・就労移行支援
|
・就労継続支援(A型・B型)
|
・職場定着支援
|
障害者雇用促進法に基づく就労支援事業
|
・障害者職業センター
|
・障害者就業・生活支援センター
|
それぞれの事業は,簡単にでも説明できますか?
それでは,今日の問題です。
第24回・問題145 障害者雇用及び職業リハビリテーション関係機関等で就労支援に携わる専門職等の役割に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 「障害者雇用促進法」に基づき,5人以上の障害者を雇用する事業所で選任しなければならないとされる障害者職業生活相談員の主な役割は,事業所か障害者雇用率を達成できるよう,公共職業安定所と協力して,障害者の新規採用を進めることである。
2 障害者職業センターに配置されている障害者職業カウンセラーの主な役割は,就職先を探している重度障害者に対して,公共職業安定所に代わり,職業紹介をすることである。
3 障害者職業センターに配置されている職場適応援助者(ジョブコーチ)の主な役割は,事業所に出向いて障害者や事業主に対して,雇用の前後を通じて,障害特性を踏まえた専門的な援助を行うことである。
4 障害者就業・生活支援センターに配置される生活支援担当職員の主な役割は,事業主に対して障害者の就職後の雇用管理に係る助言等を行うことである。
5 就労移行支援事業に配置される就労支援員の主な役割は,同事業を利用している障害者が,就労継続支援事業に移行し,そこで就労できるよう支援することである。
国家試験は本当に難しいと思います。
この問題の正解は,選択肢3です。
3 障害者職業センターに配置されている職場適応援助者(ジョブコーチ)の主な役割は,事業所に出向いて障害者や事業主に対して,雇用の前後を通じて,障害特性を踏まえた専門的な援助を行うことである。
難しいと思う理由は,以下の選択肢があるからです。
1 「障害者雇用促進法」に基づき,5人以上の障害者を雇用する事業所で選任しなければならないとされる障害者職業生活相談員の主な役割は,事業所か障害者雇用率を達成できるよう,公共職業安定所と協力して,障害者の新規採用を進めることである。
この選択肢の間違いは,「障害者職業生活相談員」のところが正しくは「障害者雇用推進者」です。
どちらもあまりなじみのないものでしょう。
この選択肢を消去するためには,
障害者職業生活相談員の主な役割
障害者の新規採用を進めること
ここがそぐわないと思うことです。
障害者職業生活相談員がわからないと思うと試験委員が仕掛けたトラップにはまって,焦り混乱するので要注意です。
そのほかの選択肢も見てみましょう。
2 障害者職業センターに配置されている障害者職業カウンセラーの主な役割は,就職先を探している重度障害者に対して,公共職業安定所に代わり,職業紹介をすることである。
おそらく勉強不足の受験者は,この選択肢を選んだものと思います。
カウンセラー
職業紹介
が結び付いてしまうからです。
障害者職業カウンセラーは,地域障害者職業センターに配置されて,職業リハビリテーションにかかわります。
具体的には,職業評価,職業指導,職業準備訓練などを実施します。
この選択肢を消去するためのポイントは,
公共職業安定所に代わり
に着目することです。
法制度は,別の制度が適用されないときに,新しい法制度を作って補完します。
2つの制度が重なり合うようにはなりません。
これが「縦割り」という意味です。
4 障害者就業・生活支援センターに配置される生活支援担当職員の主な役割は,事業主に対して障害者の就職後の雇用管理に係る助言等を行うことである。
障害者就業・生活支援センターは,障害者の就業及び生活支援を行います。
就業にかかわるのは,就業支援担当職員です。
生活支援にかかわるのは,生活支援担当職員です。
5 就労移行支援事業に配置される就労支援員の主な役割は,同事業を利用している障害者が,就労継続支援事業に移行し,そこで就労できるよう支援することである。
就労移行支援事業に配置される就労支援員は,就労支援にかかわるのは正しいです。しかし,就労移行支援事業は,一般就労を目指すものです。
結果的には,一般就労に結び付かず,就労継続支援を利用することになる障害者もいるかもしれません。
しかし,最初から就労継続支援事業で就労を目指すというのは,就労移行支援事業の目的とは異なります。
一般就労できるように,企業実習などを行います。
<今日の一言>
国家試験で重要なのは,落ち着いて問題文を読むこと
基本的なことですが,意外と難しいものです。
なぜなら,今日の問題のように,最初の選択肢に難しめの選択肢があった場合,浮足立ってしまうからです。
障害者職業カウンセラーのように,職名から職務内容が推測しにくいものもありますが,多くの場合は,事業名や職名から,その内容が推測できるものがほとんどです。
知らないものが出題されても,決して浮足立つことなく,落ち着いて問題文を読んで,推測することが大切です。
2020年1月26日日曜日
今までの努力はあなたを裏切らない~その2
国家試験は,どのように出題されるのかが分からないので,どんなに勉強を重ねたとしても,本番では解けないのではないかという不安は残ります。
この不安は,どんなに勉強しても決してなくならないことでしょう。
不安から解放されるとすると,国家試験が終わってから解答速報で自己採点したときでしょう。
しかし,国家試験は,受験者の30%が90点を取れるように設計されています。
合格率が30%というととてつもなく難しい試験のように感じるかもしれませんが,実際には勉強をほとんどしないで受験する人も相当数います。
合格を目指して必死に勉強した人だけに限るとかなりの確率で合格します。
正しい努力をしてきた人は,合格をつかめます。
それでは,今日の問題です。
第26回・問題145 公共職業安定所(ハローワーク)の行う業務に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 総合支援資金の貸付
2 公共職業訓練のためのコースの開設
3 有料の職業紹介
4 無料職業紹介事業の許可
5 障害者雇用に対する技術的助言・指導
前回の問題と違って,難しい問題だと言えます。
前回の正解は,ハローワークは,雇用保険に関する業務を行っている,でした。
これはおそらく勉強しなくても,経験的に知っている人もいるでしょう。
今日の問題の正解は,選択肢5です。
5 障害者雇用に対する技術的助言・指導
障害者雇用率の届け出は,ハローワークに対して行います。
そして,未達成企業には,技術的助言や指導を行います。
ハローワークの業務について,もう一つ覚えておいてほしいことがあります。
外国人の雇用状況に関する届出もハローワークに対して行います。
<今日の一言ぷらす>
前回の問題は,以下のとおりです。
第29回・問題145 公共職業安定所(ハローワーク)に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 求職者に対して,有料で職業紹介を行っている。
2 各市町村にその設置が義務づけられている。
3 雇用保険に関する業務を行っている。
4 障害者に対して,職業能力開発促進法に基づく公共職業訓練を行っている。
5 生活保護のうち,生業扶助の支給に関する事務を行っている。
今日の問題です。
第26回・問題145 公共職業安定所(ハローワーク)の行う業務に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 総合支援資金の貸付
2 公共職業訓練のためのコースの開設
3 有料の職業紹介
4 無料職業紹介事業の許可
5 障害者雇用に対する技術的助言・指導
正解はそれぞれ
3 雇用保険に関する業務を行っている。
5 障害者雇用に対する技術的助言・指導
2つは異なります。
特に今日の問題の答えは難しいです。
今なら参考書に載っていると思いますが,その出題当時は載っていなかったはずです。
国家試験は,
少しずつ重なっていて少しずつ違う
新しいものを少しずつ加えながら,出題します。
重なっている部分は,
1 求職者に対して,有料で職業紹介を行っている。
3 有料の職業紹介
ちょっと違うのは
4 障害者に対して,職業能力開発促進法に基づく公共職業訓練を行っている。
2 公共職業訓練のためのコースの開設
ハローワークは,自らコースを開設したり,実施したりはしません。
5 生活保護のうち,生業扶助の支給に関する事務を行っている。
1 総合支援資金の貸付
違うのは
2 各市町村にその設置が義務づけられている。
4 無料職業紹介事業の許可
2つの問題で,正解するためのキーになるのは,この選択肢です。
2については,おそらく自信を持って消去できた人と正解にしてしまった人が分かれたと思います。
自信を持って消去できた人は,地方に住んでいる人。
正解にしてしまった人は,都市部に住んでいる人。
4については,許認可に関する事務は,主務大臣,あるいは都道府県知事の役割です。
地方分権で,指定都市や中核市も許認可に関する事務を行うものもありますが,そういったものをきちっと覚える必要はありません。
国家試験は,まったく同じ問題が出題されることはありません。
しかし,ほかの科目で勉強してきたことが結果的に正解に結びつきます。
合格するために必死で勉強した人は正解できるように国家試験は設計されています。
試験委員のほとんどは,大学教員です。
自分が担当した科目が難しすぎて,0点科目となってしまう人が続出してしまうと,自分の教え子も困ってしまいます。
努力しないで0点になってしまうのは仕方がないことですが,努力してきた人でも0点科目が出るような問題は不適切です。
第26回国家試験以降は,その辺りは実によく工夫されています。
必死で努力してきた人は,0点科目になることを恐れる必要もありません。
なお,就労支援サービスと更生保護制度は,2科目で1群となります。
8問中1点が取れればよいことになります。
努力を続けてきた人は,1点どころか,点数を稼ぐことができる科目になるはずです。
そう言い切れるのは,正しい努力を続けてきた人は,「少しずつ重なっていて少しずつ違う」の「少しずつ違う」に対応できる力をつけているからです。
自分の今までの努力を信じて,国試に臨むことが何よりも大切です。
今までのあなたの努力は,必ず得点力になっていますよ。
この不安は,どんなに勉強しても決してなくならないことでしょう。
不安から解放されるとすると,国家試験が終わってから解答速報で自己採点したときでしょう。
しかし,国家試験は,受験者の30%が90点を取れるように設計されています。
合格率が30%というととてつもなく難しい試験のように感じるかもしれませんが,実際には勉強をほとんどしないで受験する人も相当数います。
合格を目指して必死に勉強した人だけに限るとかなりの確率で合格します。
正しい努力をしてきた人は,合格をつかめます。
それでは,今日の問題です。
第26回・問題145 公共職業安定所(ハローワーク)の行う業務に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 総合支援資金の貸付
2 公共職業訓練のためのコースの開設
3 有料の職業紹介
4 無料職業紹介事業の許可
5 障害者雇用に対する技術的助言・指導
前回の問題と違って,難しい問題だと言えます。
前回の正解は,ハローワークは,雇用保険に関する業務を行っている,でした。
これはおそらく勉強しなくても,経験的に知っている人もいるでしょう。
今日の問題の正解は,選択肢5です。
5 障害者雇用に対する技術的助言・指導
障害者雇用率の届け出は,ハローワークに対して行います。
そして,未達成企業には,技術的助言や指導を行います。
ハローワークの業務について,もう一つ覚えておいてほしいことがあります。
外国人の雇用状況に関する届出もハローワークに対して行います。
<今日の一言ぷらす>
前回の問題は,以下のとおりです。
第29回・問題145 公共職業安定所(ハローワーク)に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 求職者に対して,有料で職業紹介を行っている。
2 各市町村にその設置が義務づけられている。
3 雇用保険に関する業務を行っている。
4 障害者に対して,職業能力開発促進法に基づく公共職業訓練を行っている。
5 生活保護のうち,生業扶助の支給に関する事務を行っている。
今日の問題です。
第26回・問題145 公共職業安定所(ハローワーク)の行う業務に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 総合支援資金の貸付
2 公共職業訓練のためのコースの開設
3 有料の職業紹介
4 無料職業紹介事業の許可
5 障害者雇用に対する技術的助言・指導
正解はそれぞれ
3 雇用保険に関する業務を行っている。
5 障害者雇用に対する技術的助言・指導
2つは異なります。
特に今日の問題の答えは難しいです。
今なら参考書に載っていると思いますが,その出題当時は載っていなかったはずです。
国家試験は,
少しずつ重なっていて少しずつ違う
新しいものを少しずつ加えながら,出題します。
重なっている部分は,
1 求職者に対して,有料で職業紹介を行っている。
3 有料の職業紹介
ちょっと違うのは
4 障害者に対して,職業能力開発促進法に基づく公共職業訓練を行っている。
2 公共職業訓練のためのコースの開設
ハローワークは,自らコースを開設したり,実施したりはしません。
5 生活保護のうち,生業扶助の支給に関する事務を行っている。
1 総合支援資金の貸付
違うのは
2 各市町村にその設置が義務づけられている。
4 無料職業紹介事業の許可
2つの問題で,正解するためのキーになるのは,この選択肢です。
2については,おそらく自信を持って消去できた人と正解にしてしまった人が分かれたと思います。
自信を持って消去できた人は,地方に住んでいる人。
正解にしてしまった人は,都市部に住んでいる人。
4については,許認可に関する事務は,主務大臣,あるいは都道府県知事の役割です。
地方分権で,指定都市や中核市も許認可に関する事務を行うものもありますが,そういったものをきちっと覚える必要はありません。
国家試験は,まったく同じ問題が出題されることはありません。
しかし,ほかの科目で勉強してきたことが結果的に正解に結びつきます。
合格するために必死で勉強した人は正解できるように国家試験は設計されています。
試験委員のほとんどは,大学教員です。
自分が担当した科目が難しすぎて,0点科目となってしまう人が続出してしまうと,自分の教え子も困ってしまいます。
努力しないで0点になってしまうのは仕方がないことですが,努力してきた人でも0点科目が出るような問題は不適切です。
第26回国家試験以降は,その辺りは実によく工夫されています。
必死で努力してきた人は,0点科目になることを恐れる必要もありません。
なお,就労支援サービスと更生保護制度は,2科目で1群となります。
8問中1点が取れればよいことになります。
努力を続けてきた人は,1点どころか,点数を稼ぐことができる科目になるはずです。
そう言い切れるのは,正しい努力を続けてきた人は,「少しずつ重なっていて少しずつ違う」の「少しずつ違う」に対応できる力をつけているからです。
自分の今までの努力を信じて,国試に臨むことが何よりも大切です。
今までのあなたの努力は,必ず得点力になっていますよ。
2020年1月25日土曜日
今までの努力はあなたを裏切らない
第32回の国家試験まであと1週間となりました。
焦りや不安が高まってきているところでしょう。
学習部屋に訪れる数が飛躍的に増えているので,受験が近くなっていることを実感します。
たくさんのことを勉強してきた人は,特に焦りが高まります。
覚えていないところが出てくるからです。
そこで調べてみると,制度が変わっていることを知ることもあります。
さらに,新しいデータが発表されていることもあります。
しかし,近年の国家試験では,制度が新しくなったばかりのものがすぐ出題されたことはほとんどありません。
多くの法制度は,成立してから施行されるまでにタイムラグがあります。
そのため,重要な制度改正は,すでに参考書に載っています。
今は新しいことを覚える時期ではありません。
合格不合格を分けるのは,そういうものではありません。
今まで勉強していてもしっかり定着していないことで,その問題を正解できないことが合否を分ける1点になります。
国試直前になったからといって,勉強方法を変えることはありません。
今まで行ってきた勉強をひたすら繰り返すのみです。
それでは,今日の問題です。
第29回・問題145 公共職業安定所(ハローワーク)に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 求職者に対して,有料で職業紹介を行っている。
2 各市町村にその設置が義務づけられている。
3 雇用保険に関する業務を行っている。
4 障害者に対して,職業能力開発促進法に基づく公共職業訓練を行っている。
5 生活保護のうち,生業扶助の支給に関する事務を行っている。
ハローワークに関する出題は,ハローワークにさまざまな役割を担わせる傾向にあります。
それらに惑わされてはいけません。
落ち着いて,問題を読むことができれば,
3 雇用保険に関する業務を行っている。
に気づくことができるのではないでしょうか。これが正解です。
<今日の一言ぷらす>
今日の問題は,それほど難しくはないものかもしれません。
しかし,実際に正解するのは,それほど簡単ではありません。
理由はいくつかありますが,その中で着目したいのは,
2 各市町村にその設置が義務づけられている。
です。
「ハローワークがどこに設置されているのかを勉強しなかった」と思います。
義務があることは,きっちり勉強してきた人なら,どこかで見たことがあるはずです。
それにもかかわらず,知らないのは,それが嘘の内容であるからかもしれません。
地方に住んでいる人は,自分の市町村にはハローワークがないということ経験的に知っているかもしれません。
しかし,都市に住んでいると,ハローワークが身近にあるものであることが普通だと思うので,「もしかすると市町村に設置義務があるのかも」と思ってしまいます。
自分をムリに納得させることでしかその選択肢を選べないのなら,多くの場合,その選択肢は,正解ではないと思っても良いでしょう。
「〇〇しなければならない」というのも同様です。
今までの勉強の中で出てこなかった「〇〇しなければならない」は,ムリにつくったものである可能性があります。
嘘っぱち選択肢の例
思い当たるものをザっと並べてみました。
こういったものを目にすると「あれだけ勉強したのにわからない」という気持ちになります。
しかし,わかるはずがありません。それぞれについてそんな規定はないからです。
多くの人は,こういったものを目の当たりにすると焦ることでしょう。そして,勉強不足だったと思うでしょう。
しかし,それは勉強不足だからではありません。そんな規定はないのをムリにつくっている可能性があるのです。
あなたの努力は,あなたを裏切ることはないでしょう。
最後の最後は,「いかに自分を信用できるか」にかかっていると言えるのかもしれません。
焦りや不安が高まってきているところでしょう。
学習部屋に訪れる数が飛躍的に増えているので,受験が近くなっていることを実感します。
たくさんのことを勉強してきた人は,特に焦りが高まります。
覚えていないところが出てくるからです。
そこで調べてみると,制度が変わっていることを知ることもあります。
さらに,新しいデータが発表されていることもあります。
しかし,近年の国家試験では,制度が新しくなったばかりのものがすぐ出題されたことはほとんどありません。
多くの法制度は,成立してから施行されるまでにタイムラグがあります。
そのため,重要な制度改正は,すでに参考書に載っています。
今は新しいことを覚える時期ではありません。
合格不合格を分けるのは,そういうものではありません。
今まで勉強していてもしっかり定着していないことで,その問題を正解できないことが合否を分ける1点になります。
国試直前になったからといって,勉強方法を変えることはありません。
今まで行ってきた勉強をひたすら繰り返すのみです。
それでは,今日の問題です。
第29回・問題145 公共職業安定所(ハローワーク)に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 求職者に対して,有料で職業紹介を行っている。
2 各市町村にその設置が義務づけられている。
3 雇用保険に関する業務を行っている。
4 障害者に対して,職業能力開発促進法に基づく公共職業訓練を行っている。
5 生活保護のうち,生業扶助の支給に関する事務を行っている。
ハローワークに関する出題は,ハローワークにさまざまな役割を担わせる傾向にあります。
それらに惑わされてはいけません。
落ち着いて,問題を読むことができれば,
3 雇用保険に関する業務を行っている。
に気づくことができるのではないでしょうか。これが正解です。
<今日の一言ぷらす>
今日の問題は,それほど難しくはないものかもしれません。
しかし,実際に正解するのは,それほど簡単ではありません。
理由はいくつかありますが,その中で着目したいのは,
2 各市町村にその設置が義務づけられている。
です。
「ハローワークがどこに設置されているのかを勉強しなかった」と思います。
義務があることは,きっちり勉強してきた人なら,どこかで見たことがあるはずです。
それにもかかわらず,知らないのは,それが嘘の内容であるからかもしれません。
地方に住んでいる人は,自分の市町村にはハローワークがないということ経験的に知っているかもしれません。
しかし,都市に住んでいると,ハローワークが身近にあるものであることが普通だと思うので,「もしかすると市町村に設置義務があるのかも」と思ってしまいます。
自分をムリに納得させることでしかその選択肢を選べないのなら,多くの場合,その選択肢は,正解ではないと思っても良いでしょう。
「〇〇しなければならない」というのも同様です。
今までの勉強の中で出てこなかった「〇〇しなければならない」は,ムリにつくったものである可能性があります。
嘘っぱち選択肢の例
地域福祉計画の策定に当たっては,要援護者への意見聴取をしなければならないと規定されている。
市町村は,地域福祉計画の策定において,福祉サービス利用者の意見聴取をしなければならない。
市民後見人による後見開始に当たり,被後見人は市民後見人と契約を締結しなければならない。
自立支援プログラムの支援対象者は,提供されるプログラムを「選択・決定」しなければならない。
「地方財政健全化法」に基づき財政健全化計画が定められた地方公共団体は,法律上設置が義務づけられていない公の施設を閉鎖しなければならないものとされている。
次世代育成支援対策推進法では,市町村行動計画の策定に当たって,市町村はあらかじめ,地方公共団体,住民,事業者等の意見を反映させるため,次世代育成支援対策地域協議会を設置しなければならないと定めている。
高額療養費の申請を受け付けた場合,受診した月から少なくとも1か月で支給しなければならない。
社会福祉士は,要介護者に福祉用具に関する助言を提供する場合,医師からの助言の下で実施しなければならない。
地方公共団体は,被保険者が住み慣れた地域で自立生活を営めるよう,その求めに応じて居住先を確保しなければならない。
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思い当たるものをザっと並べてみました。
こういったものを目にすると「あれだけ勉強したのにわからない」という気持ちになります。
しかし,わかるはずがありません。それぞれについてそんな規定はないからです。
多くの人は,こういったものを目の当たりにすると焦ることでしょう。そして,勉強不足だったと思うでしょう。
しかし,それは勉強不足だからではありません。そんな規定はないのをムリにつくっている可能性があるのです。
あなたの努力は,あなたを裏切ることはないでしょう。
最後の最後は,「いかに自分を信用できるか」にかかっていると言えるのかもしれません。
2020年1月24日金曜日
問題を解く勘についての一考察
この記事を書いているのは,2020年1月24日です。
第32回国家試験の一週間前のことです。
国家試験を前にして緊張感が高まっているところでしょう。
努力は裏切らない
今の国家試験は,勉強をきっちりしてきた人は,合格基準点を超えられます。
大丈夫!!
ずっとずっと努力してきたことは,必ず得点力につながっていますよ。
今の国家試験は,言い回しで引っ掛けるような出題はほとんどないので,知識は得点に直結するのです。
さて,そのうえで大切なのは,問題を解く勘についてです。
国家試験の選択肢は5つあります。
選択肢を確実に消去できることができれば,得点力はアップします。
自分で問題を作ってみれば分かりますが,それっぽく問題をつくるのは難しいものです。
それでは,今日の問題です。
第27回・問題146 障害者雇用率制度に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 「障害者雇用促進法」の改正により,精神障害者が法定雇用率の算定基礎に加えられることになった。
2 障害者雇用納付金を納付すれば,障害者雇用義務が免除される。
3 身体障害者手帳1級を所持する障害者を雇用した場合,1人をもって3人分として実雇用率を算定できる。
4 法定雇用率が未達成の場合には,自動的に企業名が公表される。
5 特例子会社とは,事業内容を勘案して障害者の雇用義務を課さないと認められた子会社のことである。
前回の問題とそっくりです。
正解は,選択肢1です。
1 「障害者雇用促進法」の改正により,精神障害者が法定雇用率の算定基礎に加えられることになった。
前回の問題
第30回・問題143 障害者雇用率制度に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 2018年(平成30年)4月1日から,法定雇用率の算定基礎の対象に精神障害者が含まれることになっている。
2 重度身体障害者は,障害者雇用率の算定上,一人をもって三人とみなされる。
3 特例子会社とは,事業内容を勘案して障害者の雇用義務を課さないと認められた子会社のことである。
4 法定雇用率未達成の事業主は,利益率に応じて障害者雇用納付金を納付しなければならない。
5 国や地方公共団体には,一般の民間企業より低い法定雇用率が課せられている。
この問題の正解も選択肢1です。
2つの問題を並べてみて,対応するものを確認します。
1 「障害者雇用促進法」の改正により,精神障害者が法定雇用率の算定基礎に加えられることになった。
1 2018年(平成30年)4月1日から,法定雇用率の算定基礎の対象に精神障害者が含まれることになっている。
→ 正解
3 身体障害者手帳1級を所持する障害者を雇用した場合,1人をもって3人分として実雇用率を算定できる。
2 重度身体障害者は,障害者雇用率の算定上,一人をもって三人とみなされる。
→ トリプルカウントはありません。ダブルカウントです。
5 特例子会社とは,事業内容を勘案して障害者の雇用義務を課さないと認められた子会社のことである。
3 特例子会社とは,事業内容を勘案して障害者の雇用義務を課さないと認められた子会社のことである。
→ この2つは,まったく同じ文章ですね。手抜きなのか,プールされている問題を使ったのかは分かりませんが,特例子会社ではありません。
異なるのは,
2 障害者雇用納付金を納付すれば,障害者雇用義務が免除される。
4 法定雇用率が未達成の場合には,自動的に企業名が公表される。
4 法定雇用率未達成の事業主は,利益率に応じて障害者雇用納付金を納付しなければならない。
5 国や地方公共団体には,一般の民間企業より低い法定雇用率が課せられている。
第27回の問題も第30回の問題もしっかり勉強してきた人なら,正解するのはそれほど難しい問題ではありません。
多くの問題は,これらの問題のように正解が明確にわかるものではありません。
勉強したことがないものを含めて出題してくるので,正解するのは難しいのです。
ここで,発揮されるのが問題を解く勘です。
それぞれを解説します。
2 障害者雇用納付金を納付すれば,障害者雇用義務が免除される。
4 法定雇用率が未達成の場合には,自動的に企業名が公表される。
この2つの選択肢は,矛盾しています。
法定雇用率が達成されていなくても,障害者雇用納付金を納付することで障害者雇用義務が免除されるなら,法定雇用率が達成できない企業名を公表する必然性はありません。
一つの選択肢だけに集中していると,このような選択肢間の矛盾に気づくのは難しいです。
問題全体を俯瞰してみることが,問題を解く勘につながります。
4 法定雇用率未達成の事業主は,利益率に応じて障害者雇用納付金を納付しなければならない。
営利企業は,利潤を追求します。
そのため,障害者を雇用することは,生産性を下げるものだと考える事業主ももしかすると存在するかもしれません。
そのため,「利益率に応じて」というのは,いかにもそれっぽい表現のように思う人もいるでしょう。問題の作り方が上手だと思います。
「利益率に応じて」だと産業界からのコンセンサスも得られやすそうです。
しかし,実際には,「利益率に応じて」といった温いものではありません。
法定雇用率に達しなかった不足分の人数に応じて,障害者雇用納付金を納付します。
5 国や地方公共団体には,一般の民間企業より低い法定雇用率が課せられている。
勘を働かせるのは,容易ではない選択肢だと言えます。
知識がものを言います。
しかし,あえて言えば,障害者優先調達推進法のように,国や地方公共団体が模範になるような法制度があることを思い出すことができれば,法定雇用率が一般企業よりも低く設定されていることはなさそうだ,と推測することができます。
<今日の一言>
何度受験しても合格点に達しないという人がいます。
がちがちになった気持ちをちょっと緩めてみることをおすすめします。
これは現役受験者も同じです。
国家試験問題は,まったく同じスタイルでは出題されることはありません。
今日の問題のように,まったく同じ表現で出題されることは,極めて珍しいです。
気持ちを緩めることで,ちょっと変化させて出題したときに対応できる可能性が上がります。
これこそが「問題を解く勘」につながります。
国家試験では,リラックスできるように心がけましょう。
みんながすぐ解けるような問題は,国家試験には向きません。
きちっと覚えてきた人が,様々な知識を活用して,正解できるように問題は作られます。
リラックスすることができれば,国試当日には実力を発揮することができるでしょう。
第32回国家試験の一週間前のことです。
国家試験を前にして緊張感が高まっているところでしょう。
努力は裏切らない
今の国家試験は,勉強をきっちりしてきた人は,合格基準点を超えられます。
大丈夫!!
ずっとずっと努力してきたことは,必ず得点力につながっていますよ。
今の国家試験は,言い回しで引っ掛けるような出題はほとんどないので,知識は得点に直結するのです。
さて,そのうえで大切なのは,問題を解く勘についてです。
国家試験の選択肢は5つあります。
選択肢を確実に消去できることができれば,得点力はアップします。
自分で問題を作ってみれば分かりますが,それっぽく問題をつくるのは難しいものです。
それでは,今日の問題です。
第27回・問題146 障害者雇用率制度に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 「障害者雇用促進法」の改正により,精神障害者が法定雇用率の算定基礎に加えられることになった。
2 障害者雇用納付金を納付すれば,障害者雇用義務が免除される。
3 身体障害者手帳1級を所持する障害者を雇用した場合,1人をもって3人分として実雇用率を算定できる。
4 法定雇用率が未達成の場合には,自動的に企業名が公表される。
5 特例子会社とは,事業内容を勘案して障害者の雇用義務を課さないと認められた子会社のことである。
前回の問題とそっくりです。
正解は,選択肢1です。
1 「障害者雇用促進法」の改正により,精神障害者が法定雇用率の算定基礎に加えられることになった。
前回の問題
第30回・問題143 障害者雇用率制度に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 2018年(平成30年)4月1日から,法定雇用率の算定基礎の対象に精神障害者が含まれることになっている。
2 重度身体障害者は,障害者雇用率の算定上,一人をもって三人とみなされる。
3 特例子会社とは,事業内容を勘案して障害者の雇用義務を課さないと認められた子会社のことである。
4 法定雇用率未達成の事業主は,利益率に応じて障害者雇用納付金を納付しなければならない。
5 国や地方公共団体には,一般の民間企業より低い法定雇用率が課せられている。
この問題の正解も選択肢1です。
2つの問題を並べてみて,対応するものを確認します。
1 「障害者雇用促進法」の改正により,精神障害者が法定雇用率の算定基礎に加えられることになった。
1 2018年(平成30年)4月1日から,法定雇用率の算定基礎の対象に精神障害者が含まれることになっている。
→ 正解
3 身体障害者手帳1級を所持する障害者を雇用した場合,1人をもって3人分として実雇用率を算定できる。
2 重度身体障害者は,障害者雇用率の算定上,一人をもって三人とみなされる。
→ トリプルカウントはありません。ダブルカウントです。
5 特例子会社とは,事業内容を勘案して障害者の雇用義務を課さないと認められた子会社のことである。
3 特例子会社とは,事業内容を勘案して障害者の雇用義務を課さないと認められた子会社のことである。
→ この2つは,まったく同じ文章ですね。手抜きなのか,プールされている問題を使ったのかは分かりませんが,特例子会社ではありません。
異なるのは,
2 障害者雇用納付金を納付すれば,障害者雇用義務が免除される。
4 法定雇用率が未達成の場合には,自動的に企業名が公表される。
4 法定雇用率未達成の事業主は,利益率に応じて障害者雇用納付金を納付しなければならない。
5 国や地方公共団体には,一般の民間企業より低い法定雇用率が課せられている。
第27回の問題も第30回の問題もしっかり勉強してきた人なら,正解するのはそれほど難しい問題ではありません。
多くの問題は,これらの問題のように正解が明確にわかるものではありません。
勉強したことがないものを含めて出題してくるので,正解するのは難しいのです。
ここで,発揮されるのが問題を解く勘です。
それぞれを解説します。
2 障害者雇用納付金を納付すれば,障害者雇用義務が免除される。
4 法定雇用率が未達成の場合には,自動的に企業名が公表される。
この2つの選択肢は,矛盾しています。
法定雇用率が達成されていなくても,障害者雇用納付金を納付することで障害者雇用義務が免除されるなら,法定雇用率が達成できない企業名を公表する必然性はありません。
一つの選択肢だけに集中していると,このような選択肢間の矛盾に気づくのは難しいです。
問題全体を俯瞰してみることが,問題を解く勘につながります。
4 法定雇用率未達成の事業主は,利益率に応じて障害者雇用納付金を納付しなければならない。
営利企業は,利潤を追求します。
そのため,障害者を雇用することは,生産性を下げるものだと考える事業主ももしかすると存在するかもしれません。
そのため,「利益率に応じて」というのは,いかにもそれっぽい表現のように思う人もいるでしょう。問題の作り方が上手だと思います。
「利益率に応じて」だと産業界からのコンセンサスも得られやすそうです。
しかし,実際には,「利益率に応じて」といった温いものではありません。
法定雇用率に達しなかった不足分の人数に応じて,障害者雇用納付金を納付します。
5 国や地方公共団体には,一般の民間企業より低い法定雇用率が課せられている。
勘を働かせるのは,容易ではない選択肢だと言えます。
知識がものを言います。
しかし,あえて言えば,障害者優先調達推進法のように,国や地方公共団体が模範になるような法制度があることを思い出すことができれば,法定雇用率が一般企業よりも低く設定されていることはなさそうだ,と推測することができます。
<今日の一言>
何度受験しても合格点に達しないという人がいます。
がちがちになった気持ちをちょっと緩めてみることをおすすめします。
これは現役受験者も同じです。
国家試験問題は,まったく同じスタイルでは出題されることはありません。
今日の問題のように,まったく同じ表現で出題されることは,極めて珍しいです。
気持ちを緩めることで,ちょっと変化させて出題したときに対応できる可能性が上がります。
これこそが「問題を解く勘」につながります。
国家試験では,リラックスできるように心がけましょう。
みんながすぐ解けるような問題は,国家試験には向きません。
きちっと覚えてきた人が,様々な知識を活用して,正解できるように問題は作られます。
リラックスすることができれば,国試当日には実力を発揮することができるでしょう。
2020年1月23日木曜日
障害者雇用促進法に規定される障害者雇用率(法定雇用率)
今回は,障害者雇用率(法定雇用率)です。
2018年は,障害者雇用促進法にとって大きな改正があったにもかかわらず,この年に起きた障害者雇用の「水増し問題」の関係で,第31回国家試験には出題されませんでした。
しかし,さすがに第32回では,出題されてくるのではないでしょうか。
2018年の改正では,精神障害者が雇用義務化されたことで,障害者雇用率の算定基礎に精神障害者が加わり,雇用率が引き上げられています。
障害者雇用率は,従来よりもそれぞれ0.2%ずつ引き上げられています。
しかし,正確に数値を覚える必要はありません。数年後には,もう一度引き上げられるからです。
数値を覚えるよりも,民間企業よりも国等の機関の方が高い障害者雇用率が設定されていることを覚えておくだけでよいと思います。
101人以上の従業員がいる民間企業には,障害者雇用納付金制度があります。
国等には適用されません。
障害者雇用納付金制度とは,障害者雇用率を達成できなかった企業が,不足した人数分を納付するものです。
納付金はペナルティなので,納付金を払ったからといって,雇用義務が免除されるわけではないことに注意しましょう。
障害者雇用の算定する際,1人の障害者であるにもかかわらず,
重度障害者の場合は,1人を2人と数える「ダブルカウント」
短時間労働の場合は,1人を0.5人と数える「ハーフカウント」
という仕組みがあります。
この部分は,本当は少し複雑ですが,ダブルカウントとハーフカウントという仕組みがあることが分かっていれば十分です。
もう一つ,特例子会社という制度もあります。
子会社やグループ企業で雇用した障害者をそのグループ全体の障害者雇用の算定に使える制度です。
企業の中には,障害者が従事しやすい仕事があるものがあります。
そういったところで,障害者を多く雇用して,グループ全体の雇用率にするのです。
生産性を重視する企業のコンセンサスを得るために,役人は様々な工夫をしたことがよく分かるような制度だと思いませんか?
それでは,今日の問題です。
第30回・問題143 障害者雇用率制度に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 2018年(平成30年)4月1日から,法定雇用率の算定基礎の対象に精神障害者が含まれることになっている。
2 重度身体障害者は,障害者雇用率の算定上,一人をもって三人とみなされる。
3 特例子会社とは,事業内容を勘案して障害者の雇用義務を課さないと認められた子会社のことである。
4 法定雇用率未達成の事業主は,利益率に応じて障害者雇用納付金を納付しなければならない。
5 国や地方公共団体には,一般の民間企業より低い法定雇用率が課せられている。
正解は,選択肢1です。
1 2018年(平成30年)4月1日から,法定雇用率の算定基礎の対象に精神障害者が含まれることになっている。
制度が変わる前からこのように出題したものの,実際に制度が変わったら,先述のように「水増し問題」が表面化したことで,第31回国試には出題できなかったのは皮肉なものです。
それでは,ほかの選択肢も確認します。
2 重度身体障害者は,障害者雇用率の算定上,一人をもって三人とみなされる。
トリプルカウントというものはありません。ダブルカウントです。
3 特例子会社とは,事業内容を勘案して障害者の雇用義務を課さないと認められた子会社のことである。
特例子会社とは,子会社やグループ企業で雇用した障害者をそのグループ全体の障害者雇用の算定に使える制度です。
4 法定雇用率未達成の事業主は,利益率に応じて障害者雇用納付金を納付しなければならない。
「利益率に応じて」ではなく,「不足人数分に応じて」が正解です。
5 国や地方公共団体には,一般の民間企業より低い法定雇用率が課せられている。
国等のほうが高い法定雇用率が課せられています。
<今日の一言>
障害者雇用率に関して,達成できなかった企業は,障害者雇用納付金を納付します。
その財源を使って,障害者雇用率を達成した企業には,障害者雇用調整金が給付されます。
2018年は,障害者雇用促進法にとって大きな改正があったにもかかわらず,この年に起きた障害者雇用の「水増し問題」の関係で,第31回国家試験には出題されませんでした。
しかし,さすがに第32回では,出題されてくるのではないでしょうか。
2018年の改正では,精神障害者が雇用義務化されたことで,障害者雇用率の算定基礎に精神障害者が加わり,雇用率が引き上げられています。
対象
|
障害者雇用率
|
国・地方公共団体,特殊法人(44人以上)
|
2.5%
|
都道府県等の教育委員会(50人以上)
|
2.4%
|
一般の民間企業(45.5人以上)
|
2.2%
|
障害者雇用率は,従来よりもそれぞれ0.2%ずつ引き上げられています。
しかし,正確に数値を覚える必要はありません。数年後には,もう一度引き上げられるからです。
数値を覚えるよりも,民間企業よりも国等の機関の方が高い障害者雇用率が設定されていることを覚えておくだけでよいと思います。
101人以上の従業員がいる民間企業には,障害者雇用納付金制度があります。
国等には適用されません。
障害者雇用納付金制度とは,障害者雇用率を達成できなかった企業が,不足した人数分を納付するものです。
納付金はペナルティなので,納付金を払ったからといって,雇用義務が免除されるわけではないことに注意しましょう。
障害者雇用の算定する際,1人の障害者であるにもかかわらず,
重度障害者の場合は,1人を2人と数える「ダブルカウント」
短時間労働の場合は,1人を0.5人と数える「ハーフカウント」
という仕組みがあります。
この部分は,本当は少し複雑ですが,ダブルカウントとハーフカウントという仕組みがあることが分かっていれば十分です。
もう一つ,特例子会社という制度もあります。
子会社やグループ企業で雇用した障害者をそのグループ全体の障害者雇用の算定に使える制度です。
企業の中には,障害者が従事しやすい仕事があるものがあります。
そういったところで,障害者を多く雇用して,グループ全体の雇用率にするのです。
生産性を重視する企業のコンセンサスを得るために,役人は様々な工夫をしたことがよく分かるような制度だと思いませんか?
それでは,今日の問題です。
第30回・問題143 障害者雇用率制度に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 2018年(平成30年)4月1日から,法定雇用率の算定基礎の対象に精神障害者が含まれることになっている。
2 重度身体障害者は,障害者雇用率の算定上,一人をもって三人とみなされる。
3 特例子会社とは,事業内容を勘案して障害者の雇用義務を課さないと認められた子会社のことである。
4 法定雇用率未達成の事業主は,利益率に応じて障害者雇用納付金を納付しなければならない。
5 国や地方公共団体には,一般の民間企業より低い法定雇用率が課せられている。
正解は,選択肢1です。
1 2018年(平成30年)4月1日から,法定雇用率の算定基礎の対象に精神障害者が含まれることになっている。
制度が変わる前からこのように出題したものの,実際に制度が変わったら,先述のように「水増し問題」が表面化したことで,第31回国試には出題できなかったのは皮肉なものです。
それでは,ほかの選択肢も確認します。
2 重度身体障害者は,障害者雇用率の算定上,一人をもって三人とみなされる。
トリプルカウントというものはありません。ダブルカウントです。
3 特例子会社とは,事業内容を勘案して障害者の雇用義務を課さないと認められた子会社のことである。
特例子会社とは,子会社やグループ企業で雇用した障害者をそのグループ全体の障害者雇用の算定に使える制度です。
4 法定雇用率未達成の事業主は,利益率に応じて障害者雇用納付金を納付しなければならない。
「利益率に応じて」ではなく,「不足人数分に応じて」が正解です。
5 国や地方公共団体には,一般の民間企業より低い法定雇用率が課せられている。
国等のほうが高い法定雇用率が課せられています。
<今日の一言>
障害者雇用率に関して,達成できなかった企業は,障害者雇用納付金を納付します。
その財源を使って,障害者雇用率を達成した企業には,障害者雇用調整金が給付されます。
2020年1月22日水曜日
障害者総合支援法における就労支援のポイント
第37回国家試験から社会福祉士は新しいカリキュラムによる国家試験に移行します。
新しいカリキュラムでは,「就労支援サービス」はなくなります。
この科目の内容のほとんどは他科目で学ぶものであり,この科目のみで学ぶものはかなり少ないです。
新しいカリキュラムでは,「福祉行財政と福祉計画」もなくなります。
福祉制度の縦割りではなく,横に貫く科目だったこの2つがなくなるのは,ちょっと残念ですが,受験生にとっては,ちょっぴり勉強しやすくなるのかもしれませんね。
それでは,今日の問題です。
第22回・問題146 障害者自立支援法に基づく,就労移行支援事業及び就労継続支援事業に関する次の記述のうち,正しいものを一つ選びなさい。
1 就労移行支援事業及び就労継続支援事業は,旧制度に基づき障害別に設置されていた福祉工場や授産施設などを,障害種別にかかわらず,目的別に再編成することを意図して制度化されたものである。
2 就労移行支援事業は,就職に向けての訓練を中心とした事業であることから,利用申込みの窓口は,公共職業安定所になっている。
3 就労継続支援A型事業,B型事業とも,利用者は原則として最低賃金法など労働法の適用を受ける。
4 就労継続支援事業についても,利用者の一般就職が最終目標とされることから,利用期間には期限が設けられている。
5 就労継続支援A型事業で雇用されている利用者は,職場適応援助者によるジョブコーチ支援を受けなければならない。
障害者自立支援法は2012年に改正されて,現在の障害者総合支援法に至ります。
それはさておき・・・
さすがは第22回らしい国家試験問題だと思います。
第22回国家試験問題を目にする機会はないかもしれませんが,第22回は,現在のカリキュラムでの第1回の国家試験です。
そのため,「これからこの科目ではこのように問題を出題しますよ」と宣言している内容となっているのが特徴です。
第22回の内容は,そのあとも繰り返し繰り返し出題されてきています。
今見ても古さを感じないと思いませんか?
第31回国試攻略のための勉強法~第22回国試が現行カリキュラムの国試問題の基本形
https://fukufuku21.blogspot.com/2018/03/3122.html
さて,この問題の正解は,選択肢1です。
1 就労移行支援事業及び就労継続支援事業は,旧制度に基づき障害別に設置されていた福祉工場や授産施設などを,障害種別にかかわらず,目的別に再編成することを意図して制度化されたものである。
わが国の障害者福祉の歴史は,1949(昭和24)年の身体障害者福祉法に始まり,障害別に発展してきました。
それを再編成したのが,「障害者自立支援法」です。
この時に,ようやく精神障害者も含めて,一元化されています。
2003~2005年には,支援費制度という制度が取り入れられましたが,その時はまだ精神障害者は対象となっていませんでした。
覚えるのはいつの時代も大変ですが,今の制度のほうがシンプルだと言えます。
それでは,ほかの選択肢も確認します。
2 就労移行支援事業は,就職に向けての訓練を中心とした事業であることから,利用申込みの窓口は,公共職業安定所になっている。
就労移行支援事業に限らず,障害者総合支援法は基本的に市町村の役割です。
利用申し込みは市町村に対して行います。
この大前提をしっかり覚えておきたいです。
精神通院医療の実施は都道府県の役割です。
さて,精神通院医療の支給申請の窓口はどこでしょう?
答えは,市町村です。
実施が都道府県でも窓口は市町村です。
3 就労継続支援A型事業,B型事業とも,利用者は原則として最低賃金法など労働法の適用を受ける。
就労継続支援のA型とB型の違いは,雇用契約を締結するかどうかの違いです。
労働法の適用を受けるのは,雇用契約を締結するA型です。
4 就労継続支援事業についても,利用者の一般就職が最終目標とされることから,利用期間には期限が設けられている。
利用期間に期限があるのは,就労移行支援です。
就労移行支援に期限があるのは,職業能力などのアセスメントを行う期間だからです。
アセスメントの結果,一般就労に結びつけば,そのあとは必要によって,職場定着支援を利用します。
一般就労に結び付かなかった場合は,就労継続支援を利用します。
そんなことから,就労継続支援は,一般就労を目指すことは最終目標とはなりません。
5 就労継続支援A型事業で雇用されている利用者は,職場適応援助者によるジョブコーチ支援を受けなければならない。
ジョブコーチ支援は,必要だったら利用するものです。義務ではありません。
<今日の一言>
国家試験問題のぜい肉
今なら今日の問題のような,ぜい肉たっぷりの問題はほとんどないかもしれません。
ぜい肉とは,無駄な部分のことをいいます。
今日の問題のぜい肉は,アンダーラインの部分です。
2 就労移行支援事業は,就職に向けての訓練を中心とした事業であることから,利用申込みの窓口は,公共職業安定所になっている。
4 就労継続支援事業についても,利用者の一般就職が最終目標とされることから,利用期間には期限が設けられている。
間違いをなんとか正解に見せかけようと必死です。
もし,これらが正解なら・・・
2 就労移行支援事業の利用申込みの窓口は,公共職業安定所になっている。
4 就労継続支援事業には,利用期間には期限が設けられている。
これでよいはずです。
余計な言い回しをしているのは,間違いを正解に見せかけようとしているからです。
今の国家試験の問題文はダイエットが進んでいるので,ぜい肉はあまりないかもしれません。
しかし,覚えていて損はないでしょう。
現在のカリキュラムでの社会福祉士の国家試験は,第36回まで実施されます。第37回から新しいカリキュラムによる国家試験となります。
現在のものは第32回も含めてあと5回もありますが,できれば今回で合格をつかみ取りたいものです。
第32回の国家試験の合格発表は,3月13日(金)です。
1か月半後のその日に朗報が届くように,あともうひと頑張りです。
新しいカリキュラムでは,「就労支援サービス」はなくなります。
この科目の内容のほとんどは他科目で学ぶものであり,この科目のみで学ぶものはかなり少ないです。
新しいカリキュラムでは,「福祉行財政と福祉計画」もなくなります。
福祉制度の縦割りではなく,横に貫く科目だったこの2つがなくなるのは,ちょっと残念ですが,受験生にとっては,ちょっぴり勉強しやすくなるのかもしれませんね。
それでは,今日の問題です。
第22回・問題146 障害者自立支援法に基づく,就労移行支援事業及び就労継続支援事業に関する次の記述のうち,正しいものを一つ選びなさい。
1 就労移行支援事業及び就労継続支援事業は,旧制度に基づき障害別に設置されていた福祉工場や授産施設などを,障害種別にかかわらず,目的別に再編成することを意図して制度化されたものである。
2 就労移行支援事業は,就職に向けての訓練を中心とした事業であることから,利用申込みの窓口は,公共職業安定所になっている。
3 就労継続支援A型事業,B型事業とも,利用者は原則として最低賃金法など労働法の適用を受ける。
4 就労継続支援事業についても,利用者の一般就職が最終目標とされることから,利用期間には期限が設けられている。
5 就労継続支援A型事業で雇用されている利用者は,職場適応援助者によるジョブコーチ支援を受けなければならない。
障害者自立支援法は2012年に改正されて,現在の障害者総合支援法に至ります。
それはさておき・・・
さすがは第22回らしい国家試験問題だと思います。
第22回国家試験問題を目にする機会はないかもしれませんが,第22回は,現在のカリキュラムでの第1回の国家試験です。
そのため,「これからこの科目ではこのように問題を出題しますよ」と宣言している内容となっているのが特徴です。
第22回の内容は,そのあとも繰り返し繰り返し出題されてきています。
今見ても古さを感じないと思いませんか?
第31回国試攻略のための勉強法~第22回国試が現行カリキュラムの国試問題の基本形
https://fukufuku21.blogspot.com/2018/03/3122.html
さて,この問題の正解は,選択肢1です。
1 就労移行支援事業及び就労継続支援事業は,旧制度に基づき障害別に設置されていた福祉工場や授産施設などを,障害種別にかかわらず,目的別に再編成することを意図して制度化されたものである。
わが国の障害者福祉の歴史は,1949(昭和24)年の身体障害者福祉法に始まり,障害別に発展してきました。
それを再編成したのが,「障害者自立支援法」です。
この時に,ようやく精神障害者も含めて,一元化されています。
2003~2005年には,支援費制度という制度が取り入れられましたが,その時はまだ精神障害者は対象となっていませんでした。
覚えるのはいつの時代も大変ですが,今の制度のほうがシンプルだと言えます。
それでは,ほかの選択肢も確認します。
2 就労移行支援事業は,就職に向けての訓練を中心とした事業であることから,利用申込みの窓口は,公共職業安定所になっている。
就労移行支援事業に限らず,障害者総合支援法は基本的に市町村の役割です。
利用申し込みは市町村に対して行います。
この大前提をしっかり覚えておきたいです。
精神通院医療の実施は都道府県の役割です。
さて,精神通院医療の支給申請の窓口はどこでしょう?
答えは,市町村です。
実施が都道府県でも窓口は市町村です。
3 就労継続支援A型事業,B型事業とも,利用者は原則として最低賃金法など労働法の適用を受ける。
就労継続支援のA型とB型の違いは,雇用契約を締結するかどうかの違いです。
労働法の適用を受けるのは,雇用契約を締結するA型です。
4 就労継続支援事業についても,利用者の一般就職が最終目標とされることから,利用期間には期限が設けられている。
利用期間に期限があるのは,就労移行支援です。
就労移行支援に期限があるのは,職業能力などのアセスメントを行う期間だからです。
アセスメントの結果,一般就労に結びつけば,そのあとは必要によって,職場定着支援を利用します。
一般就労に結び付かなかった場合は,就労継続支援を利用します。
そんなことから,就労継続支援は,一般就労を目指すことは最終目標とはなりません。
5 就労継続支援A型事業で雇用されている利用者は,職場適応援助者によるジョブコーチ支援を受けなければならない。
ジョブコーチ支援は,必要だったら利用するものです。義務ではありません。
<今日の一言>
国家試験問題のぜい肉
今なら今日の問題のような,ぜい肉たっぷりの問題はほとんどないかもしれません。
ぜい肉とは,無駄な部分のことをいいます。
今日の問題のぜい肉は,アンダーラインの部分です。
2 就労移行支援事業は,就職に向けての訓練を中心とした事業であることから,利用申込みの窓口は,公共職業安定所になっている。
4 就労継続支援事業についても,利用者の一般就職が最終目標とされることから,利用期間には期限が設けられている。
間違いをなんとか正解に見せかけようと必死です。
もし,これらが正解なら・・・
2 就労移行支援事業の利用申込みの窓口は,公共職業安定所になっている。
4 就労継続支援事業には,利用期間には期限が設けられている。
これでよいはずです。
余計な言い回しをしているのは,間違いを正解に見せかけようとしているからです。
今の国家試験の問題文はダイエットが進んでいるので,ぜい肉はあまりないかもしれません。
しかし,覚えていて損はないでしょう。
現在のカリキュラムでの社会福祉士の国家試験は,第36回まで実施されます。第37回から新しいカリキュラムによる国家試験となります。
現在のものは第32回も含めてあと5回もありますが,できれば今回で合格をつかみ取りたいものです。
第32回の国家試験の合格発表は,3月13日(金)です。
1か月半後のその日に朗報が届くように,あともうひと頑張りです。
2020年1月21日火曜日
根拠法令を意識していますか? ~障害者総合支援法&障害者雇用促進法
事業の内容を覚えることに躍起になっていると根拠法令を押さえることがおろそかになってしまう恐れがあります。
特に障害者に関する就労支援は,障害者総合支援法と障害者雇用促進法があるので,うっかりすると間違えやすいので要注意です。
前回のおさらいです。
それでは,今日の問題です。
第31回・問題145 就労支援を担う機関などに関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 障害者就業・生活支援センターは,社会福祉法に基づき支援対象障害者からの相談に応じ,関係機関との連絡調整を行っている。
2 障害者職業能力開発校は,学校教育法に基づき支援対象者の能力に適応した職業訓練を行っている。
3 就労移行支援事業所は,「障害者総合支援法」に基づき無料の職業紹介を行っている。
4 地域障害者職業センターは,「障害者雇用促進法」に基づき職業リハビリテーションに関する技術的事項について関係機関に対し助言を行っている。
5 公共職業安定所(ハローワーク)は,職業安定法に基づき最低賃金の減額適用の許可に関する事務を行っている。
正解は,選択肢4です。
4 地域障害者職業センターは,「障害者雇用促進法」に基づき職業リハビリテーションに関する技術的事項について関係機関に対し助言を行っている。
極めて素直な出題です。
ほかの選択肢も見てみましょう。
1 障害者就業・生活支援センターは,社会福祉法に基づき支援対象障害者からの相談に応じ,関係機関との連絡調整を行っている。
障害者就業・生活支援センターは,障害者雇用促進法に基づいているものです。
2 障害者職業能力開発校は,学校教育法に基づき支援対象者の能力に適応した職業訓練を行っている。
障害者職業能力開発校は,職業能力開発促進法に基づいています。
3 就労移行支援事業所は,「障害者総合支援法」に基づき無料の職業紹介を行っている。
就労移行支援事業所の根拠法令は,障害者総合支援法であるのは正しいですが,無料の職業紹介は行いません。
5 公共職業安定所(ハローワーク)は,職業安定法に基づき最低賃金の減額適用の許可に関する事務を行っている。
公共職業安定所(ハローワーク)の根拠法令は,職業安定法であるのは正しいですが,最低賃金の減額適用の許可に関する事務を行いません。
<今日の一言>
今日の問題は,実に示唆に富んだ問題です。
根拠法令の後に「,」が入っていないことで,この問題の難易度が増していると考えられます。
以下のように「,」を打ってみると,根拠法令が浮かび上がります。
1 障害者就業・生活支援センターは,社会福祉法に基づき,支援対象障害者からの相談に応じ,関係機関との連絡調整を行っている。
2 障害者職業能力開発校は,学校教育法に基づき,支援対象者の能力に適応した職業訓練を行っている。
3 就労移行支援事業所は,「障害者総合支援法」に基づき,無料の職業紹介を行っている。
4 地域障害者職業センターは,「障害者雇用促進法」に基づき,職業リハビリテーションに関する技術的事項について関係機関に対し助言を行っている。
5 公共職業安定所(ハローワーク)は,職業安定法に基づき,最低賃金の減額適用の許可に関する事務を行っている。
このようにすると目が流れず,根拠法令が浮き彫りになります。
難易度を上げるために,読点を省いたわけではないとは思います。
しかし,結果的にたったこれだけの違いで,難易度が変わると考えられます。
国家試験が終わった後に問題を見たくないという人も多いと思います。
勇気を振り絞って,自己採点してみると
なんでこんな問題を間違ったのか
と思う問題もあり,とてもがっかりしてしまうこともあります。
できれば,こういったことはできるだけ少なくしたいものです。
問題が適切に読めない理由はいくつか考えられます。
①文章が目に入ってこない。
②勉強してこなかったものが出題されて,混乱してしまう。
②についての対策は,とにかく落ち着いて問題文を読むことです。
勉強をしっかり行ってきたにもかかわらず,知らないものが出題された場合は,ほかの受験生もみんな一緒で,みんな混乱しています。
しかし,落ち着いて問題文を読んでみると,勉強して来なかったものではなく,意外とスタンダードなところに答えがあることが多いです。
今日の問題で言えば,
障害者職業能力開発校は,もしかするとノーマークだったものかもしれません。
障害者職業能力開発校は知っていたとしても,根拠法までは押さえていなかった,という人が大半だったと言えます。
そこで焦っては,答えが正しく見えてきません。
落ち着いて読めば,学校教育法ではなさそうだと推測できる可能性があります。
過去問に出ているものは,多くはワークブックなどの参考書にも掲載されていることでしょう。
しかし,毎年一定数,そこからはみ出た問題は出題されています。
多くの受験生はそのことを知りません。
そのために,知らないものが出題されたら,焦って混乱します。
そういった問題が出題されたら
受験生みんなも知らないのだ
と開き直って,とにかく落ち着いて,その問題を読むようにしましょう。
そうすれば,「後から問題を見たら解けた」ということはかなり減らせるはずです。
国試が終わった後には,「勉強不足だった」という感想を述べる人が多いようです。
勉強不足では,合格をつかむことができませんが,勉強を積み重ねてきたにもかかわらず,合格点に達することができないのは,勉強不足よりも,問題文をきっちり読み切れてないことが原因だったりします。
とにかく落ち着いて読めば,しっかり勉強してきた人は,合格点は超えられます。
昨今の国家試験の問題は,そのように作られています。
第32回の国家試験の合格発表は,3月13日(金)です。
その日に大輪の花を咲かせることができるように,あともう一息,頑張りましょう。
特に障害者に関する就労支援は,障害者総合支援法と障害者雇用促進法があるので,うっかりすると間違えやすいので要注意です。
前回のおさらいです。
法制度
|
内容
|
障害者総合支援法
|
就労移行支援事業
|
就労継続支援事業
|
|
就労定着支援事業
|
|
障害者雇用促進法
|
障害者職業センター
・障害者職業カウンセラー
・職場適応援助者(ジョブコーチ)
|
障害者就業・生活支援センター
|
|
発達障害者支援法
|
発達障害者支援センター
|
それでは,今日の問題です。
第31回・問題145 就労支援を担う機関などに関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 障害者就業・生活支援センターは,社会福祉法に基づき支援対象障害者からの相談に応じ,関係機関との連絡調整を行っている。
2 障害者職業能力開発校は,学校教育法に基づき支援対象者の能力に適応した職業訓練を行っている。
3 就労移行支援事業所は,「障害者総合支援法」に基づき無料の職業紹介を行っている。
4 地域障害者職業センターは,「障害者雇用促進法」に基づき職業リハビリテーションに関する技術的事項について関係機関に対し助言を行っている。
5 公共職業安定所(ハローワーク)は,職業安定法に基づき最低賃金の減額適用の許可に関する事務を行っている。
正解は,選択肢4です。
4 地域障害者職業センターは,「障害者雇用促進法」に基づき職業リハビリテーションに関する技術的事項について関係機関に対し助言を行っている。
極めて素直な出題です。
ほかの選択肢も見てみましょう。
1 障害者就業・生活支援センターは,社会福祉法に基づき支援対象障害者からの相談に応じ,関係機関との連絡調整を行っている。
障害者就業・生活支援センターは,障害者雇用促進法に基づいているものです。
2 障害者職業能力開発校は,学校教育法に基づき支援対象者の能力に適応した職業訓練を行っている。
障害者職業能力開発校は,職業能力開発促進法に基づいています。
3 就労移行支援事業所は,「障害者総合支援法」に基づき無料の職業紹介を行っている。
就労移行支援事業所の根拠法令は,障害者総合支援法であるのは正しいですが,無料の職業紹介は行いません。
5 公共職業安定所(ハローワーク)は,職業安定法に基づき最低賃金の減額適用の許可に関する事務を行っている。
公共職業安定所(ハローワーク)の根拠法令は,職業安定法であるのは正しいですが,最低賃金の減額適用の許可に関する事務を行いません。
<今日の一言>
今日の問題は,実に示唆に富んだ問題です。
根拠法令の後に「,」が入っていないことで,この問題の難易度が増していると考えられます。
以下のように「,」を打ってみると,根拠法令が浮かび上がります。
1 障害者就業・生活支援センターは,社会福祉法に基づき,支援対象障害者からの相談に応じ,関係機関との連絡調整を行っている。
2 障害者職業能力開発校は,学校教育法に基づき,支援対象者の能力に適応した職業訓練を行っている。
3 就労移行支援事業所は,「障害者総合支援法」に基づき,無料の職業紹介を行っている。
4 地域障害者職業センターは,「障害者雇用促進法」に基づき,職業リハビリテーションに関する技術的事項について関係機関に対し助言を行っている。
5 公共職業安定所(ハローワーク)は,職業安定法に基づき,最低賃金の減額適用の許可に関する事務を行っている。
このようにすると目が流れず,根拠法令が浮き彫りになります。
難易度を上げるために,読点を省いたわけではないとは思います。
しかし,結果的にたったこれだけの違いで,難易度が変わると考えられます。
国家試験が終わった後に問題を見たくないという人も多いと思います。
勇気を振り絞って,自己採点してみると
なんでこんな問題を間違ったのか
と思う問題もあり,とてもがっかりしてしまうこともあります。
できれば,こういったことはできるだけ少なくしたいものです。
問題が適切に読めない理由はいくつか考えられます。
①文章が目に入ってこない。
②勉強してこなかったものが出題されて,混乱してしまう。
②についての対策は,とにかく落ち着いて問題文を読むことです。
勉強をしっかり行ってきたにもかかわらず,知らないものが出題された場合は,ほかの受験生もみんな一緒で,みんな混乱しています。
しかし,落ち着いて問題文を読んでみると,勉強して来なかったものではなく,意外とスタンダードなところに答えがあることが多いです。
今日の問題で言えば,
障害者職業能力開発校は,もしかするとノーマークだったものかもしれません。
障害者職業能力開発校は知っていたとしても,根拠法までは押さえていなかった,という人が大半だったと言えます。
そこで焦っては,答えが正しく見えてきません。
落ち着いて読めば,学校教育法ではなさそうだと推測できる可能性があります。
過去問に出ているものは,多くはワークブックなどの参考書にも掲載されていることでしょう。
しかし,毎年一定数,そこからはみ出た問題は出題されています。
多くの受験生はそのことを知りません。
そのために,知らないものが出題されたら,焦って混乱します。
そういった問題が出題されたら
受験生みんなも知らないのだ
と開き直って,とにかく落ち着いて,その問題を読むようにしましょう。
そうすれば,「後から問題を見たら解けた」ということはかなり減らせるはずです。
国試が終わった後には,「勉強不足だった」という感想を述べる人が多いようです。
勉強不足では,合格をつかむことができませんが,勉強を積み重ねてきたにもかかわらず,合格点に達することができないのは,勉強不足よりも,問題文をきっちり読み切れてないことが原因だったりします。
とにかく落ち着いて読めば,しっかり勉強してきた人は,合格点は超えられます。
昨今の国家試験の問題は,そのように作られています。
第32回の国家試験の合格発表は,3月13日(金)です。
その日に大輪の花を咲かせることができるように,あともう一息,頑張りましょう。
2020年1月20日月曜日
障害者に対する就労支援
今回は,障害者に対する就労支援を学んでいきたいと思います。
各法における就労支援に関する事業のまとめ
それでは,今日の問題です。
第23回・問題145 障害者就労支援制度に関する次の記述のうち,正しいものを一つ選びなさい。
1 就労移行支援事業は,「障害者雇用促進法」に基づく支援である。
2 障害者就業・生活支援センターは,障害者総合支援法に基づく支援サービスである。
3 地域障害者職業センターによる職場適応援助者(ジョブコーチ)支援事業は,発達障害者支援法に基づく支援サービスである。
4 地域障害者職業センターの職業準備訓練は,「障害者雇用促進法」に基づく支援である。
5 就労継続支援A型事業は,「障害者雇用促進法」に基づく支援サービスである。
答えは,
4 地域障害者職業センターの職業準備訓練は,「障害者雇用促進法」に基づく支援である。
<今日の一言>
法制度はすぐ得点力に変わる
法制度は,文章の言い回しでけむに巻くようなことはありません。
制度を正しく押さえていれば,得点できます。
得点力を伸ばすために即効性のあるものは,法制度だと断言できます。
各法における就労支援に関する事業のまとめ
法制度
|
内容
|
障害者総合支援法
|
就労移行支援事業
|
就労継続支援事業
|
|
就労定着支援事業
|
|
障害者雇用促進法
|
障害者職業センター
|
障害者就業・生活支援センター
|
|
発達障害者支援法
|
発達障害者支援センター
|
それでは,今日の問題です。
第23回・問題145 障害者就労支援制度に関する次の記述のうち,正しいものを一つ選びなさい。
1 就労移行支援事業は,「障害者雇用促進法」に基づく支援である。
2 障害者就業・生活支援センターは,障害者総合支援法に基づく支援サービスである。
3 地域障害者職業センターによる職場適応援助者(ジョブコーチ)支援事業は,発達障害者支援法に基づく支援サービスである。
4 地域障害者職業センターの職業準備訓練は,「障害者雇用促進法」に基づく支援である。
5 就労継続支援A型事業は,「障害者雇用促進法」に基づく支援サービスである。
答えは,
4 地域障害者職業センターの職業準備訓練は,「障害者雇用促進法」に基づく支援である。
<今日の一言>
法制度はすぐ得点力に変わる
法制度は,文章の言い回しでけむに巻くようなことはありません。
制度を正しく押さえていれば,得点できます。
得点力を伸ばすために即効性のあるものは,法制度だと断言できます。
2020年1月19日日曜日
生活困窮者自立支援法の自立相談支援事業の徹底理解
生活困窮者自立支援法は,平成25年に成立したものですが,平成30年に早速改正されています。
生活困窮者自立支援法の平成30年改正の概要
さて,今回のテーマは「自立相談支援事業」です。
生活困窮者自立支援法の実施主体は,市及び福祉事務所を設置する町村又は都道府県です。
市及び福祉事務所を設置する町村又は都道府県の必須事業
それでは今日の問題です。
第30回・問題144 生活困窮者自立支援法による自立相談支援事業を行う責務を有する組織・機関として,正しいものを1つ選びなさい。
1 公共職業安定所(ハローワーク)
2 市及び福祉事務所を設置する町村又は都道府県
3 児童相談所
4 都道府県労働局
5 障害者職業センター
正解は,「2 市及び福祉事務所を設置する町村又は都道府県」です。
<今日のまとめ>
平成30年の改正によって,実施主体となっていない町村(福祉事務所を設置事務がないため)も,自立相談支援を行った場合に国からの補助がされるようになっています。
これで分かるように,生活困窮者自立支援法はまだ成立して新しい制度ですが,極めて重要な位置づけにあります。
就労準備支援事業及び家計改善支援事業を努力義務化したのは,自立相談支援事業と一体的に実施するためです。
生活困窮者自立支援法の平成30年改正の概要
改正の目的
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生活困窮者に対する包括的な支援体制の強化
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改正の内容
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就労準備支援事業及び家計改善支援事業の努力義務化。
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学習支援のみならず,生活習慣・育成環境の改善に関する助言等を追加して「子どもの学習・生活支援事業」とする。
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地域社会から孤立している者に対する「見守り・生活支援」の創設。
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さて,今回のテーマは「自立相談支援事業」です。
生活困窮者自立支援法の実施主体は,市及び福祉事務所を設置する町村又は都道府県です。
自立相談支援事業
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就労の支援その他の自立に関する情報の提供及び助言,関係機関との連絡調整。
認定生活困窮者就労訓練事業の利用のあっせん。ほか
|
住居確保給付金
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離職によって,住むべき家を失った者などに対して,住居を確保するための給付金。
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それでは今日の問題です。
第30回・問題144 生活困窮者自立支援法による自立相談支援事業を行う責務を有する組織・機関として,正しいものを1つ選びなさい。
1 公共職業安定所(ハローワーク)
2 市及び福祉事務所を設置する町村又は都道府県
3 児童相談所
4 都道府県労働局
5 障害者職業センター
正解は,「2 市及び福祉事務所を設置する町村又は都道府県」です。
<今日のまとめ>
平成30年の改正によって,実施主体となっていない町村(福祉事務所を設置事務がないため)も,自立相談支援を行った場合に国からの補助がされるようになっています。
これで分かるように,生活困窮者自立支援法はまだ成立して新しい制度ですが,極めて重要な位置づけにあります。
就労準備支援事業及び家計改善支援事業を努力義務化したのは,自立相談支援事業と一体的に実施するためです。
2020年1月18日土曜日
生活保護受給者に対する就労支援~被保護者就労準備支援事業
今回から,生活保護受給者に対する就労支援を学んでいきましょう。
今回は,2015(平成27)年から実施されている「被保護者就労準備支援事業」を取り上げます。
まずは,事業の内容を概観してみましょう。
被保護者就労準備支援事業
自立には,
「日常生活自立」
「社会生活自立」
「就労自立」
が含まれているのは,自立支援プロムと同じです。
生活保護法の目的は「最低生活保障」と「自立の助長」です。
自立の助長と言えば,就労による経済的自立をイメージする人も多いかもしれません。
しかし,一足飛びで経済的自立を実現するのは,極めて困難です。
それでは,今日の問題です。
第31回・問題144 被保護者就労準備支援事業(一般事業分)に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 日常生活自立に関する支援は含まれない。
2 公共職業安定所(ハローワーク)に求職の申込みをすることが義務づけられている。
3 社会生活自立に関する支援が含まれている。
4 公共職業訓練の受講が義務づけられている。
5 利用するためには医師の診断書の提出が義務づけられている。
第31回国家試験を受験した人は,この問題を見て,「被保護者就労準備支援事業は,勉強していなかった。あれだけ勉強したのに・・・」という無力感を味わったのではないでしょうか。
国家試験では,毎回一定数,新しいものが出題されます。
しかし,焦ることなく,問題を読めば,答えが見えて来ます。
正解は,選択肢3です。
3 社会生活自立に関する支援が含まれている。
この事業を知らなくても,選択肢1に「日常生活自立」,そして選択肢3に「社会生活自立」があるので,自立支援プログラムを連想することができます。
国家試験は,しっかり勉強を重ねてきた人は,得点できるように作っています。
それほど意地悪な出題はしないのが,近年の国家試験です。
自立支援プログラムを連想することができたか否かによって,この問題で正解する確率は大きく変わってくると考えられます。
つまり,自立支援プログラムを知っていることが,この問題を正解するためのカギだったと言えます。
それでは,ほかの選択肢も見てみましょう。
1 日常生活自立に関する支援は含まれない。
被保護者就労準備支援事業の対象として,以下のような人を想定しています。
①決まった時間に起床・就寝できない等,生活習慣の形成・改善が必要な人。
②他者との関わりに不安を抱えて,コミュニケーション能力などの社会参加に必要な能力の形成・改善が必要な人。
③自尊感情や自己有用感を必ずしも十分持てていない人。
④就労の意思が希薄な人
⑤長期間にわたってひきこもりの生活を送っている等,就労経験,社会経験が乏しい人
⑥求職活動が一定期間うまくいかない人であって,その背景として生活習慣や社会参加に向けた課題があると思われる人。
等です。
①の人は,日常生活自立が優先されるでしょう。
②③の人は,社会生活自立が優先されるでしょう。
④⑤⑥の人は,就労自立が優先されるでしょう。
2 公共職業安定所(ハローワーク)に求職の申込みをすることが義務づけられている。
4 公共職業訓練の受講が義務づけられている。
義務はありません。
最終的には,就労自立を目指すとしても,その準備ができていていないものが,求職の申し込みや公共職業訓練の受講をしても,かえって悪い方向に向かってしまう恐れもあるでしょう。
5 利用するためには医師の診断書の提出が義務づけられている。
このような規定はありません。
<今日の一言>
第32回国家試験の試験委員は,3分の2が入れ替わりました。
この入れ替わり率は,現行カリキュラムになってから初めての大幅入れ替えです。
そのため,高度な問題を出題するのは難しいと思われます。
高度な問題とは,例えば,文末がそろっているものです。
この問題で言えば,すべて「義務づけられている」で統一されていたら,とんでもなく難しい問題になります。
しかし,この問題は,バラつきがあります。
しかも正解は「社会生活自立に関する支援が含まれている」です。
「含まれていない」は,間違いになりやすいですが,「含まれている」は極めて正解になりやすいものです。
被保護者就労準備支援事業は知らなくても,「含まれている」に着目すれば,正解する確率がぐ~んと上がったことでしょう。
第32回国家試験は,問題をつくるのに熟達していないメンバー中心,しかも試験委員長は新任の岩崎晋也先生(法政大学教授)です。
ここにチャンスがあると考えています。どんな問題を出題してくれるのか,とても楽しみです。
今回は,2015(平成27)年から実施されている「被保護者就労準備支援事業」を取り上げます。
まずは,事業の内容を概観してみましょう。
被保護者就労準備支援事業
目的
|
就労意欲が低い者や基本的な生活習慣に課題を有する者等の支援。
|
対象
|
就労に向けた複合的な課題を抱えて,直ちに就職することが困難な被保護者で,生活習慣の形成・改善を行い,社会参加に必要な基礎技能等を習得することで就労が見込まれる者であり,本事業への参加を希望する者。
|
内容
|
日常生活自立に関する支援(適切な生活習慣の形成の促し)。
|
社会生活自立に関する支援(社会的能力の形成の促し)。
|
|
就労自立に関する支援(一般就労に向けた技法や知識の習得等の促し)
|
自立には,
「日常生活自立」
「社会生活自立」
「就労自立」
が含まれているのは,自立支援プロムと同じです。
生活保護法の目的は「最低生活保障」と「自立の助長」です。
自立の助長と言えば,就労による経済的自立をイメージする人も多いかもしれません。
しかし,一足飛びで経済的自立を実現するのは,極めて困難です。
それでは,今日の問題です。
第31回・問題144 被保護者就労準備支援事業(一般事業分)に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 日常生活自立に関する支援は含まれない。
2 公共職業安定所(ハローワーク)に求職の申込みをすることが義務づけられている。
3 社会生活自立に関する支援が含まれている。
4 公共職業訓練の受講が義務づけられている。
5 利用するためには医師の診断書の提出が義務づけられている。
第31回国家試験を受験した人は,この問題を見て,「被保護者就労準備支援事業は,勉強していなかった。あれだけ勉強したのに・・・」という無力感を味わったのではないでしょうか。
国家試験では,毎回一定数,新しいものが出題されます。
しかし,焦ることなく,問題を読めば,答えが見えて来ます。
正解は,選択肢3です。
3 社会生活自立に関する支援が含まれている。
この事業を知らなくても,選択肢1に「日常生活自立」,そして選択肢3に「社会生活自立」があるので,自立支援プログラムを連想することができます。
国家試験は,しっかり勉強を重ねてきた人は,得点できるように作っています。
それほど意地悪な出題はしないのが,近年の国家試験です。
自立支援プログラムを連想することができたか否かによって,この問題で正解する確率は大きく変わってくると考えられます。
つまり,自立支援プログラムを知っていることが,この問題を正解するためのカギだったと言えます。
それでは,ほかの選択肢も見てみましょう。
1 日常生活自立に関する支援は含まれない。
被保護者就労準備支援事業の対象として,以下のような人を想定しています。
①決まった時間に起床・就寝できない等,生活習慣の形成・改善が必要な人。
②他者との関わりに不安を抱えて,コミュニケーション能力などの社会参加に必要な能力の形成・改善が必要な人。
③自尊感情や自己有用感を必ずしも十分持てていない人。
④就労の意思が希薄な人
⑤長期間にわたってひきこもりの生活を送っている等,就労経験,社会経験が乏しい人
⑥求職活動が一定期間うまくいかない人であって,その背景として生活習慣や社会参加に向けた課題があると思われる人。
等です。
①の人は,日常生活自立が優先されるでしょう。
②③の人は,社会生活自立が優先されるでしょう。
④⑤⑥の人は,就労自立が優先されるでしょう。
2 公共職業安定所(ハローワーク)に求職の申込みをすることが義務づけられている。
4 公共職業訓練の受講が義務づけられている。
義務はありません。
最終的には,就労自立を目指すとしても,その準備ができていていないものが,求職の申し込みや公共職業訓練の受講をしても,かえって悪い方向に向かってしまう恐れもあるでしょう。
5 利用するためには医師の診断書の提出が義務づけられている。
このような規定はありません。
<今日の一言>
第32回国家試験の試験委員は,3分の2が入れ替わりました。
この入れ替わり率は,現行カリキュラムになってから初めての大幅入れ替えです。
そのため,高度な問題を出題するのは難しいと思われます。
高度な問題とは,例えば,文末がそろっているものです。
この問題で言えば,すべて「義務づけられている」で統一されていたら,とんでもなく難しい問題になります。
しかし,この問題は,バラつきがあります。
しかも正解は「社会生活自立に関する支援が含まれている」です。
「含まれていない」は,間違いになりやすいですが,「含まれている」は極めて正解になりやすいものです。
被保護者就労準備支援事業は知らなくても,「含まれている」に着目すれば,正解する確率がぐ~んと上がったことでしょう。
第32回国家試験は,問題をつくるのに熟達していないメンバー中心,しかも試験委員長は新任の岩崎晋也先生(法政大学教授)です。
ここにチャンスがあると考えています。どんな問題を出題してくれるのか,とても楽しみです。
2020年1月17日金曜日
労働法規の徹底理解~日本国憲法の規定
今回は,日本国憲法を学びましょう。
労働に関する日本国憲法の規定
労働に関する日本国憲法の規定
第27条
|
すべて国民は,勤労の権利を有し,義務を負ふ。
|
2
|
賃金,就業時間,休息その他の勤労条件に関する基準は,法律でこれを定める。
|
3
|
児童は,これを酷使してはならない。
|
第28条
|
勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は,これを保障する。
|
日本国憲法で労働に関する規定は,たった4つのみです。
第28条は,それぞれ「団結権」「団体交渉権」「団体行動権」と呼ばれます。
それでは,今日の問題です。
第24回・問題143 日本国憲法が規定する規定に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 憲法は,国民は勤労の義務を負うと規定しているが,勤労の権利を有するとする規定はない。
2 憲法は,賃金,就業時間に関する基準を明記している。
3 憲法が規定する勤労者の権利は,団体交渉権,団体行動権の2つである。
4 憲法は,児童はこれを酷使してはならないと規定している。
5 憲法は,男女同一賃金の原則を明記している。
日本国憲法を実際に通して読むことはめったにないので,このような問題が出題されるとドキッとしてしまいますが,こんな時こそ落ち着かなければなりません。
正解は,選択肢4です。
4 憲法は,児童はこれを酷使してはならないと規定している。
この選択肢と同じものが第21回にも出題されています。
そのことについては,<今日の一言>で紹介します。
それでは,ほかの選択肢も見てみましょう。
1 憲法は,国民は勤労の義務を負うと規定しているが,勤労の権利を有するとする規定はない。
「すべて国民は,勤労の権利を有し,義務を負ふ。」と規定されています。
2 憲法は,賃金,就業時間に関する基準を明記している。
「賃金,就業時間,休息その他の勤労条件に関する基準は,法律でこれを定める」と規定されています。それが「労働基準法」や「最低賃金法」などです。
日本国憲法で細かい規定をしたら,基準が変わるたびに憲法改正をしなければならなくなってしまいます。それはとても面倒なことです。
3 憲法が規定する勤労者の権利は,団体交渉権,団体行動権の2つである。
憲法が規定する勤労者の権利は,団結権,団体交渉権,団体行動権の3つです。
5 憲法は,男女同一賃金の原則を明記している。
男女同一賃金の原則を定めているのは,労働基準法です。
<今日の一言>
今日の問題の正解は,
4 憲法は,児童はこれを酷使してはならないと規定している。
でした。
第21回の国家試験問題です。
問題63 人権に関する次の記述のうち,日本国憲法の条文として規定されていないものを一つ選びなさい。
1 すべて国民は,法の下に平等であって,人種,信条,性別,社会的身分又は門地により,政治的,経済的又は社会的関係において,差別されない。
2 すべて国民は,個人として尊重される。生命,自由及び幸福追求に対する国民の権利については,公共の福祉に反しない限り,立法その他の国政の上で,最大の尊重を必要とする。
3 家族は,社会の自然かつ基礎的な単位であり,社会及び国による保護を受ける権利を有する。
4 国は,すべての生活部面について,社会福祉,社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。
5 児童は,これを酷使してはならない。
日本国憲法の条文として規定されていないのは,
3 家族は,社会の自然かつ基礎的な単位であり,社会及び国による保護を受ける権利を有する。
これは,国際人権規約(B規約)の条文だそうです。
この問題は,旧カリキュラム時代にあった「法学」で出題されたものです。
今のカリキュラムで,法学がなくなって,「権利擁護と成年後見制度」に変わりました。
「法学」時代は本当に難しいものでした。
今の科目も簡単ではないですが,「法学」よりも難易度は高くありません。
必ず突破口はあります。
<おまけ>
日本国憲法の改正について
第九十六条 この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。
○2 憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する。
憲法改正には,まず国会議員の3分の2以上の賛成が必要です。
このように,普通の法律よりも改正するのが難しい憲法のことを「硬性憲法」と言います。
2020年1月16日木曜日
労働法規の徹底理解~労働基準法
今回は,労働基準法を学びます。
わが国で,最初の労働者保護の法制度となったのは,1911(明治44)年の工場法です。
法の対象は,極めて限定的でしたが,戦後,労働基準法が成立するまで存続しました。
さて,労働基準法は,日本国憲法の労働の権利を保障するために1947(昭和22)年に成立したものです。
労働基準法の主な規定
それでは,今日の問題です。
第25回・問題143 労働基準法に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 労働関係の当事者は,労働基準法の基準を理由に現状の労働条件を引き下げることができる。
2 労働者とは,職業の種類を問わず,事業又は事務所に使用される者で,賃金を支払われる者をいう。
3 労働することを条件として,使用者が金銭を前貸しして,後日,賃金と相殺することが認められている。
4 都道府県労働局長は,労働基準法の規定により労使双方又は一方から紛争解決援助を求められた場合,必要な助言又は指導を行う。
5 使用者は,労働契約の不履行について,違約金を定めたり,損害賠償を予定する契約を結ぶことができる。
合格基準点が過去最低の72点となった「魔の第25回国試」らしく難しい問題です。
正解は,選択肢2です。
2 労働者とは,職業の種類を問わず,事業又は事務所に使用される者で,賃金を支払われる者をいう。
正しく覚えていれば答えられると思いますが,消去法では正解するのが難しいのです。
その理由の1つは,
2 労働者とは,職業の種類を問わず,事業又は事務所に使用される者で,賃金を支払われる者をいう。
この文章は,法の条文そのものですが,アンダーラインを引いた「職業の種類を問わず」という部分が,普通なら余分な文章だからです。
解答テクニックを駆使すると「誤り」だと認識してしまうことになります。
2つめの理由は,
4 都道府県労働局長は,労働基準法の規定により労使双方又は一方から紛争解決援助を求められた場合,必要な助言又は指導を行う。
この問題で正解できなかった人は,この選択肢を選んだ人が多かったのではないかと思います。
この選択肢を消去できたとしたら,必要な助言又は指導を行うのは,「都道府県労働局長」ではなく,「労働基準監督署長」ではないかと認識した場合くらいではないでしょうか。
どちらにしても,労働局長でも労働基準監督署長でもなく,労働基準法にはこのような規定はないのです。
それでは,ほかの選択肢も確認しましょう。
1 労働関係の当事者は,労働基準法の基準を理由に現状の労働条件を引き下げることができる。
わが国で,最初の労働者保護の法制度となったのは,1911(明治44)年の工場法です。
法の対象は,極めて限定的でしたが,戦後,労働基準法が成立するまで存続しました。
さて,労働基準法は,日本国憲法の労働の権利を保障するために1947(昭和22)年に成立したものです。
労働基準法の主な規定
労働条件の原則
|
労働条件は,労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない。
この法律で定める労働条件の基準は最低のものであるから,労働関係の当事者は,この基準を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより,その向上を図るように努めなければならない。
|
労働条件の決定
|
労働条件は,労働者と使用者が,対等の立場において決定すべきものである。
労働者及び使用者は,労働協約,就業規則及び労働契約を遵守し,誠実に各々その義務を履行しなければならない。
|
労働者の定義
|
職業の種類を問わず,事業又は事務所に使用される者で,賃金を支払われる者。
|
男女同一賃金の原則
|
使用者は,労働者が女性であることを理由として,賃金について,男性と差別的取扱いをしてはならない。
|
この法律違反の契約
|
この法律で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は,その部分については無効とする。
|
労働条件の明示
|
使用者は,労働契約の締結に際し,労働者に対して賃金,労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。
|
賠償予定の禁止
|
使用者は,労働契約の不履行について違約金を定め,又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。
|
前借金相殺の禁止
|
使用者は,前借金その他労働することを条件とする前貸の債権と賃金を相殺してはならない。
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産前産後の規定
|
使用者は,6週間以内に出産する予定の女性が休業を請求した場合においては,その者を就業させてはならない。
使用者は,産後8週間を経過しない女性を就業させてはならない。ただし,産後6週間を経過した女性が請求した場合,医師が支障がないと認めた業務に就かせることは,差し支えない。
使用者は,妊産婦が請求した場合においては,深夜業をさせてはならない。
|
それでは,今日の問題です。
第25回・問題143 労働基準法に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 労働関係の当事者は,労働基準法の基準を理由に現状の労働条件を引き下げることができる。
2 労働者とは,職業の種類を問わず,事業又は事務所に使用される者で,賃金を支払われる者をいう。
3 労働することを条件として,使用者が金銭を前貸しして,後日,賃金と相殺することが認められている。
4 都道府県労働局長は,労働基準法の規定により労使双方又は一方から紛争解決援助を求められた場合,必要な助言又は指導を行う。
5 使用者は,労働契約の不履行について,違約金を定めたり,損害賠償を予定する契約を結ぶことができる。
合格基準点が過去最低の72点となった「魔の第25回国試」らしく難しい問題です。
正解は,選択肢2です。
2 労働者とは,職業の種類を問わず,事業又は事務所に使用される者で,賃金を支払われる者をいう。
正しく覚えていれば答えられると思いますが,消去法では正解するのが難しいのです。
その理由の1つは,
2 労働者とは,職業の種類を問わず,事業又は事務所に使用される者で,賃金を支払われる者をいう。
この文章は,法の条文そのものですが,アンダーラインを引いた「職業の種類を問わず」という部分が,普通なら余分な文章だからです。
解答テクニックを駆使すると「誤り」だと認識してしまうことになります。
2つめの理由は,
4 都道府県労働局長は,労働基準法の規定により労使双方又は一方から紛争解決援助を求められた場合,必要な助言又は指導を行う。
この問題で正解できなかった人は,この選択肢を選んだ人が多かったのではないかと思います。
この選択肢を消去できたとしたら,必要な助言又は指導を行うのは,「都道府県労働局長」ではなく,「労働基準監督署長」ではないかと認識した場合くらいではないでしょうか。
どちらにしても,労働局長でも労働基準監督署長でもなく,労働基準法にはこのような規定はないのです。
それでは,ほかの選択肢も確認しましょう。
1 労働関係の当事者は,労働基準法の基準を理由に現状の労働条件を引き下げることができる。
労働条件の原則
|
労働条件は,労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない。
この法律で定める労働条件の基準は最低のものであるから,労働関係の当事者は,この基準を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより,その向上を図るように努めなければならない。
|
3 労働することを条件として,使用者が金銭を前貸しして,後日,賃金と相殺することが認められている。
前借金相殺の禁止
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使用者は,前借金その他労働することを条件とする前貸の債権と賃金を相殺してはならない。
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5 使用者は,労働契約の不履行について,違約金を定めたり,損害賠償を予定する契約を結ぶことができる。
賠償予定の禁止
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使用者は,労働契約の不履行について違約金を定め,又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。
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選択肢1・3・5は,法の条文を知らなくても消去することができるでしょう。
<今日の一言>
近年の国家試験は,今日の問題のように,完全にでたらめな選択肢を入れ込むことはほとんどありません。
完全にでたらめな選択肢を1つ含むだけで,正解するのが極めて難しくなります。
おそらく,「魔の第25回国試」の教訓ではないかと思います。
実は,第30回国試が過去最高の「99点」になったことで,第31回は,完全にでたらめな選択肢を入れることで問題の難易度を上げるだろうと予測していました。
しかし,第31回で難易度を上げるために使われた手法は,
①問題の文字数を増やすこと
②2つ選ぶ問題を増やすこと
でした。
第32回国家試験の試験委員は,試験委員長を始め,メンバーの3分の2が入れ替わっていますが,この2つの手法は,第32回も引き継がれるのではないでしょうか。
でたらめな選択肢が入ると勉強を積み重ねてきた人も間違いやすくなるので,国家試験に向かないと言えます。そのため,ホッと安堵しています。
国家試験の理想
勉強してきた人は解ける。
勉強不足の人は解けない。
今の国家試験は,勉強をきっちり積み重ねてきた人は,報われるものであると言えます。
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